深圳訪問の感想を書いたブログ的なもの (MakeBlock編)
深圳には、IT系の工場やベンチャー企業がたくさんあります。これらを巡る見学ツアーに参加しましたので、その感想を書きたいと思います。
MakeBlockは
深圳にたくさんある企業のうち、比較的成功している企業で、社長さんも社員さんもわかく、オフィス内もシリコンバレーのような感じです。MakeBlockは会社の名前でもあり、製品の名前でもあります。
MakeBlockはは、一言で言うと、ロボットがつくれるブロックです。
レゴなどの従来のブロックでは、ロボットの形をした人形を作ることはできますが、本当に動くロボットは作ることはできません。幼児用のため、プラスチックでできていて、カラフルな色がついていることがほとんどです。
10年くらい前からレゴは、マインドストームという、ロボットを組み立てられるブロックも販売しています。モータやセンサーをブロックにしたものと、それらを動かすためのプログラム作成ツールがセットに入っています。この製品は教育用として使用されていて、私も帝塚山大学(堺のほう)で非常勤をしていたときに使っていました。
MakeBlockははマインドストームより後にでてきた製品だと思いますが、なぜ、ちょっと成功した感じになっているのかをものづくりに対する姿勢という点から考えてみました。
MakeBlockには、MakeBlockをまねして作られたいわゆるパッチもんの製品が数多く市場に出回っているようです。
実際に、見学ツアーで訪問した会社の中に、パッチもんを作っている会社もありました。コピーしていることに抵抗はないらしく、「これはMakeBlockです」と堂々と、言ってきます。MakeBlock、MakeBlockのぱっちもん、マインドストームとそれぞれのユーザー層を比べてみると下記の感じになるかと思います。
[マインドストーム] |
ターゲットは子供(小学校高学年から)。機能のないパーツ(ブロック)は安価に追加できる。(モータなどはそれなりに高価。) ブロックはプラスチックでできているため、強度がなく不安定。また、赤、青などカラフルな色合いは、人目で、子供用とわかり、作ったものは、子供のおもちゃという印象を与える。 |
[MakeBlock] |
大人に売れている。パーツであるブロックはアルマイト(青しかない)されていて、しっかりと成型されている。綺麗に組めば、製品という印象の仕上がりになる。 |
[MakeBlockのぱっちもん] |
MakeBlockと同じことを安上がりでしたい人がターゲット。アルマイトが甘いらしく、はげているものを多くみかけた。(もしかすると塗装なのかもしれない。)アルミの角の仕上げ、その他の細部の仕上げが雑で、見てすぐにぱっちもんとわかる。(そもそもアルミの成型手法が違うらしい。) やすっぽいというより、実際に安く仕上げているので、ちゃちく見えるのであろう。 |
ものをつくる場合、雑でもはやくつくりたい場合と、時間はかかっても丁寧につくりたいという場合の両方があると思います。ロボットのようなものを作って人にみせびらかす際、雑だと、かっこいいという印象を与えられません。
たとえば、レゴでロボットを作っても、出来たものはかっこよくはないのです。(でもロボットの仕組みについて勉強するには役に立ちますし、授業が終わったあとバラすのも簡単です。)
MakeBlockを使う人の目的はいろいろだと思いますが、ロボットを作ってみようという大人は素材や質感など、見た目にこだわる人も多いと思います。少しぐらい高くても本物を買う人は多いでしょう。
さて、私は最近、スチームパンク風のロボットを作っています。
他のロボットはアクリルや、3Dプリンターでつくった樹脂パーツも混じっていますし、わりと雑なつくりなんですが、スチームパンク・ロボットは
かなり質感にこだわってつくっています。
樹脂なども塗装すれば、金属っぽく見せることは可能で、簡単に作れるのでしょうが、やはりなんか違いますし、やりたくない気がするんです。
実際、そのように作ったものはどうしても安っぽくなってしまうでしょうし、スチームパンクな世界観が損なわれてしまうでしょう。
最初はいつものアルミではなく真鍮で製作しようと思ったんですが、手持ちのCNCでは切削が難しい事がわかったので、結局、アルミを切削したものを真鍮の色にアルマイトしています。本物の真鍮と並べてみても、区別はつかないんですが、問題は、アルミは真鍮のように錆びないということです。真鍮のさびほどレトロ感を演出するものはありません。
さびているっぽい感じは塗装でつくれるんですが、するかどうか、ちょっと悩んでいるところです。
胸や頭につけている歯車は、真鍮のものをわざわざ探してきて取り付けています。(実際に機能しないパーツをつけるのはあまり好きではないのですが、今回は飾りだけのパーツをつけてみました。)
MakeBlockは青しか販売されていないようなんですが、試作用につくったらしいゴールドのパーツもみかけました。ゴールドのパーツだと、チームパンク・ロボットにも馴染みそうで欲しかったんですが。。。
MakeBlockには、ブロックを動かすためのプログラムを作成するツールがついてきます。ロボットのプログラム開発ツールでよくある、処理を表すタイルを並べる感じのものですが、
線で結ぶのではなく、縦に並べていくようで、タイルというよりバーと言ったほうがいいかもしれません。(実は、ツールは、あまりよく見ませんでした。)
プログラムにあまり馴染みの無い人でも簡単に作れるようになっているんでしょうが、見た目が、いまいちでした。ちょっと子供向けといった印象です。
このあたりは、もっとカッコよく画面をデザインしてもよかったのではないかと思います。
MakeBlockにはパーツを組み合わせるためのネジ穴がたくさんあいています。レゴだとブロック上面の突起を別のブロックの下部の穴に差し込んで組み立てていくと思いますが、MakeBlockではネジ(ボルト)を使って組み立てていきます。
ホビー用ロボットだとM2のネジが使われていることが多いと思いますが、MakeBlockのネジ穴は5〜6mmあるように見えました。
どのパーツも、いたるところにこのネジ穴があけられています。もちろん、自由にネジの位置を変えられるようにするためです。サイズのバリエーションをすべて作っていられないのでこうなっているわけですが、それでもパーツは500種類くらいあるようです。
ちなみに、私のロボットは、個別にパーツの図面を作成し、切削していますので、基本的に使う部分にだけネジ穴があいていればいいのですが、
それでも汎用性をもたせるために、複数個所に穴をあけています。
私が気にいったのは、真横にもすすめるタイヤのパーツです。(だいぶ前からロボットの乗る車を作ろうと思っていて、それにぴったりです。)MakeBlockのパーツを組み合わせると3Dプリンタの作成も可能です。また、ドローンを作れるAirBlockというのも最近、出したようです。
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