中華製レスポール・キット 制作2


中華製レスポールタイプ完成の図

オックスブラッドもどきとして、いろいろと改造して遊ぶことを目的に購入した
ギター製作キット。一見、良さげなんですが、流石はお安い(¥14,500円くらい)
だけあってかなり適当です。(爆)まぁ、遊びなんでそういうのもお楽しみと思
わないとダメだと思います。かなりチャレンジャーな戦いでしたが、実使用に耐
える状態までできたので、制作レポートをまとめます。


もともとのキット、初心者の方にはとてもお薦めできません。

☆やりたかった事
・ティルピースブリッジのレスポール。
・リアピックアップをオックスブラッド(ジェフ・ベック!)みたいに傾ける。
・全体の塗装をシェラックのみで行う。
・ピックアップは、ハム-シングル切替られるようにする。
・ナットの溝をナットファイルを使って自分で調整する。

まぁ、大まかに言えば、オックスブラッドみたいなギターです。
本当だったらギブソンのレプリカを買えばいいんでしょうが結構なお値段ですし、
改造をするのも躊躇してしまいます。ベースのキットが、¥14,500円なので、や
りたい放題で遊べると考えました。(笑)

まずは、ティルピース・ブリッジの取り付け位置
寸法的には、確認してあるんですが、本当にオクターブが合うのか?心配だった
ので、1弦と6弦だけ張ってオクターブが合うところと寸法でマーキングしたとこ
ろが合致するか?どうか確かめました。結果ほぼ大丈夫でした。


オクターブの位置の確認

安心してネックをタイトボンドで接着したんですが、ティルピース・ブリッジの取
り付け穴を空けて気づいたんですが、普通に上手く加工ができたと思ったら、ネッ
クが微妙に傾いて付いており、穴を横方向へ5mm程移動させました。orz



結構違和感大なんですが、実験なので・・。

オックスブラッドは、54年のレスポールにハンバッカーを載せたものなんですが、
何故か?リアピックアップが、普通のレスポールよりブリッジ側へずれている上に
少し斜めになっています。多分両側へ穴を広げなければいけないのを片側だけを穴
を広げたんじゃないか?と思います。(爆)とりあえず、穴をブリッジ側へ広げて
みました。案の定P.U.を傾けたら穴がエスカッションから丸見えになったので適当
な材木で塞ぎました。かなりださいですが、音的には、3〜4弦の倍音が、増えた
ように感じられます。

穴を加工しながら気づいたのは、このキットは、「レスポール型」であり、レス
ポールじゃないんですね。トップのメープルが突き板のみでした。(爆)スタン
ダードというよりスペシャルですね。orz

大まかな加工が終わったので、塗装に入りました。塗装はシェラックのみで行いま
した。非常に脆く定期的な塗り替えが必要ですが、あまり神経質にならなければ、
大丈夫だと思っています。約2カ月くらいかけて塗装を重ねました。ついでにヘッ
ドは薄いメイプルの突き板を貼ってデカールで"Gibsan" と入れときました。おま
けに”レスポール・モデル”ではなく”ジェフ・ベックモデル”にしときました。 完全に受け狙いのギターです。

塗装後、各パーツを取付ました。
塗装の時点でネックがかなりの逆反りであることに気づいており、弦を張ってから
調整すべきと考えました。で、実際に弦を張ってみてトラスロッドをゆるゆるにし
ても全く駄目だという事が分かりました。仕方が無いので、以前ガットギターの修
理で使用した、簡易型ネック・アイロンで無理矢理矯正しました。(爆)


家庭用アイロンでネック・アイロンをかけるの図

別に購入したティルピース・ブリッジのアールとネックのアールが合わなかったん
で削って合わせました。かなり大雑把にやったので、本当は微調整した方が良いと
思っています。(汗)



この後ナットファイルで溝を切りました。

付属の電気パーツも配線材もちょっと使いたくないレベルの物だったので手持ちの
お安い部品へ変更。特にトーンのコンデンサの容量が0.022じゃなかったのが印象
的でした。トーンのポットを切替SW付きのものにしてハム-シングルを切替られる
ようにしました。

ナット取付溝の加工が傾いており、修正のために水平出ししたら、溝が異様に深く
なり、購入しておいたナットの高さが不足して別のを購入する必要がでてきました。
細かい苦難が多過ぎです。

チューニングが非常に安定してなく、ナットのみならず、ペグの影響もありそう
でした。結局ロック・ペグへ交換しました。ペグを交換したらチューニングがまぁ
まぁ安定したので、ナットはそのまま使っています。(ナット・ファイルも買った
んですけどね。)指板にレモンオイルとか塗っていい感じになりました。

その他も苦難の連続でした。P.U.セレクターの裏ぶたのネジ穴がNGでした。そ
のまま穴を開けてネジを締めたらキャビティへネジが3本中2本逃げて実質1本で
留ってます。(爆) おまけにキャビティの蓋の成型がダメで、かなり削らないとギ
ターに嵌らなかった! 成型品とは思えない精度です。(大汗)

という訳で、音出し可能になったので、スタジオに持ち込んで爆音でチェックしま
した。どうも、P.U.が好みの音ではなく、幾つかお安いものに交換しましたが、現
在は、その中で一番ましだったYibuyのゼブラ型に落ち着いています。



ブリッジが傾いているのに気付いた時は、目眩がしました。

暫く使っていたら、なんとティルピース・ブリッジのスタッドが傾いたため、スタ
ッドを自作して立て直しました。オリジナルの1.5倍程の深さを確保したので多分大
丈夫だと思います。ボディに穴を空けて、スタッドの径を微妙に圧入程度に削って
取り付けました。エポキシで固定するので、底の蓋代わりにネジを4山ほど入れて
カットしました。心なしか音がグレードアップしているような気がしました。(爆)

ティルピース・ブリッジを大きなボルトに取り付けているのでボルトの反対側をナ
ットで固定しました。最も音(というより鳴り!)に影響を与えたと感じるのは、
ティルピース・ブリッジをボルトとナットで締めこんでいるところです。普通のテ
ィルピース・ブリッジは、結構なガタがあって、弦のテンションで固定されていま
すが、このギターは、ボルトとナットでがっちり固定してあるので、生音の鳴りが
異常に大きいです。スタッドが傾かなかったら、ナットで固定とかやらなかったと
思います。

正直言って、もっと改良の余地はあるもののこの状態で暫く使っていますが、セッ
ションやOB会のライブなどで使用した範囲では、概ね好評です。誰もベースが¥14,
500円の中華ギターキットで交換部品を入れても\3万円以下であると思わないと思い
ます。(使った工数は除く)とてもオールマイティーなギターではありませんが、
そこそこ使えて3.5kgというレスポール型としては、非常に軽量なギターであるの
で、普段使いで使って行きます。

2019年11月1日

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