ガットギター修理大作戦 その3


6月にネックのブロックを切りだしてエレべーテッドネック構造にする目処がたってから、
夏の色々なイベントで忙しくすっかり放置していたんですが、秋になりイベントもひと段
落した事もあり、再びガットギター修理大作戦を再開しました。


ネックのヒールを作るブロックを合わせてみました。 (ネックの下の方を誤って削ってしまったため、白い木で補修しています。)

今回は、ネック分解時に切り刻んだヒールの代わりのヒールを自分で材料から切りだして
作るという工程です。今年フジゲンの大町工場で頂いたイバニーズのネックの端材を組み
合わせてヒールの材料にしました。まず材料をブロック状に切りだして、ヒールの形にタ
イトボンドで貼り合わせます。積み木状にしっかり接着出来たら、ヒールのシェープに合
わせて大まかに鋸で角を切り落とし、やすりでネックの接着面に合わせて削っていきます。


ブロック状につないだ材料を削ってヒールの形へ変えます。
                   ↓

メイプルを削るのは大変です。

どうも丈夫な構造のものが好きなせいか、やたらとごついものになってしまいました。
コア材のメイプルに両側をマホガニーでサンドイッチしている構造にもかかわらず、この
でかさです。オリジナルのヒールの5倍ほどの強度がありそうです。(爆)

ボディとの接着は、強度を上げるために8mmのダボを4本使います。
その前に元々トラスロッドが通っていた穴を角材で埋めて、ネックの接触面を補います。
あまり真剣に作っていませんが、ボディトップが平らになっていたらOKです。


ボディトップにトラスロッドが通っていた部分の穴が残っています。
                   ↓

テキトーですが角材を削りだして穴を埋めました。これで接着面の減少を補えます。

ネックのブロックを指板を真っ直ぐな状態を保ったまま、ネックと指板に接着します。
(微妙にボディの上にくる部分に角度が付くように固めます。)


一見ネックアイロンに見えますが、只の鉄の角材です。

ヒールの削りだしの次は、波打っている(号泣)指板の矯正です。ネックアイロンな
どの道具も持っていないので、ホームセンターで選別した鉄の角材に指板をクランプ
で押し当てた状態で+80℃で2時間加熱し直します。結果はネック起き対策でちょ
っと12フレットのところに角度を付けたんですが、角度が思ったより大きく仕上が
りました。orz 仕方が無いのでネックのブロックを削って合わせました。(爆)


ネックの取付位置がダメだったら大変なので、接着しながらもオクターブと弦の位置を確認。

6月にやったようにネックをクランプで固定し、実際に1弦と6弦を張ってオクター
ブ・チューニングが合っている場所であることを確認し、ネックとボディをタイトボ
ンドで接着します。クランプで抑えながら1弦と6弦を張ってオクターブがあってい
る事を確認してまた弦を緩めます。

先月の作業はここまで。

今月の予定としては・・・。

ヒールとネック、ボディの取付部分の合わせ込み(所謂削って合わせる!)を行い、
ダボ穴に取り付けた「ダボマーカー」でヒールに下穴のマーキングをします。結構こ
こが重要で、ネックのブロックもこれが無かったらしっかりできなかったかも?
ヒールに空ける穴も垂直が出るように治具を作って空ける予定です。

前加工が終わったら今度はヒールをボディとネックに接着します。

今回、ネックの構造を変更したため、これまで使ってきたガットギター用にハードケ
ースが使えなくなります。orz そのために新たにソフトケースを購入して今後はこの
ケースを使っていくことになります。

ヒールの接着が終わったら仕上げのサンディングをやって塗装ですが、これは翌月の
お楽しみです。塗装は、セラック・ニスでやってありますが、ヒール部と今回補修し
たネックの一部はラッカーで塗ろうと思っています。理由は、丈夫そうだから。(爆)
あ〜、しかし、早く弾いてみたいです。雪が降るまでには、完成させたいです。

2015年11月1日

平川丈二は最近こんなことを考えている!
Back to 平川丈二Home