念願のフジゲンの工場見学


初めて弾いたギターは、兄の所有のグレコEG-460でした。成毛滋のロックギターレッスンでゼップ
のリフを弾いたのが僕のギターの原点です。その後オーダーくずれのEG-1000を購入し、長い間僕の
メインのギターの座に君臨していました。今でもこのギターはネックも真っ直ぐで良い出来のギター
だと思います。この2本のギターは、いずれも松本の富士弦楽器で制作されたものです。現在は社名
もフジゲン株式会社に変わり、松本から大町へギター制作の拠点を移しましたが、まだまだハイクォ
リティなギターを作り続けています。社会人になり、勤め先の工場が豊科にあり、松本が身近になっ
て、何時かフジゲンの工場見学に行きたいなぁと思って早30年でした。(爆)なかなか機会に恵まれ
ず、たまたま娘の高校(大町)の保護者会で会社を休むことになり、午後時間が取れそうだったので、
勤め先の営業部長(昔日伸音波で設計をやっていた!)にお願いしフジゲンの今福さんにアポを取っ
て頂いて念願のフジゲンの工場を案内して頂きました。


フジゲンの今福さんというと渋谷店にいらっしゃったんですが、お話をするのは、この日が初めてで
した。フェンダージャパンを作り始めた翌年にモーリスからフジゲンへ移籍されたそうで、Jギター
の歴史をいろいろと教えていただきました。初対面でいきなり僕が所有するグレコやGRのカタログで
こんなギター持っていますみたいな話を自己紹介代わりにしてた後、さっそくショールームの建物へ
移動しました。


ショールームの建物は、入口にでっかい木材乾燥炉(煙突もありますが、現在は動かない)が備えて
あり、なかなか風情があります。展示品はギターを中心にウクレレなどが並んでいますが、実は気に
なったのは、虎杢バリバリの銘木材の山でした。(爆)タイムレステンバーの材料もあり確かに鳴り
が良さそうな印象でした。驚いたのは、マホガニーのタイムレステンバーに相当する古材もあるとい
う事で、どんな音がするのか?非常に気になりました。これらの銘木は材量ベースで普通の材料と比
べ10倍くらいのコストなんだそうです。それでも材料費より加工費の方が大きいのでギターの価格は
それほど高くはならないとのことでした。

現在、木材の乾燥工程(昔大町でやっていた)は、北海道に移っているそうで、含水率5%程度の材料
の加工が行なわれていました。面白いのは過乾燥はNGらしく、加湿器が活躍していたところです。
I社のネックの木取りで出た端材がでっかくて勿体ないので記念に1個もらって帰りました。(笑)

ネックとかボディの加工は、NCルーターを使用しており、平面のみならず曲面もスムーズに加工でき
るようになっていました。フレットの溝切り工作機も実物を初めて見ましたが、サークレフレットの
ものは、秘密とのことでした。アコギ制作の部署もあり、力木をトップに貼り付ける治具などを見せ
てもらいました。メイプルやマホガニーの素材の匂いが工場に立ち込めており、ちょっとテンション
あがりました。(笑)

細工物は、レーザー加工も活躍しているものの、手作業がメインで細かいインレイやバインディング
加工を見せてもらいました。細工物の次は塗装工程で、塗装ブースを部屋の外から見る事ができまし
た。できたらサンバーストの塗布をい見たかったんですが、当日は単色系の塗装ばかりでした。


塗装が終わったら、P.U.などの部品の組込・調整です。興味深かったのは、検品というか検査の方は
某メーカーから派遣されている人だったことです。いまいち信頼されていないか?品質の最後の砦と
いうところでしょうか?

フジゲンブランドだと、リストプライスで16万円以上20〜30万円程度ですが、なかなか買えないです
ね。30〜50万円だとsugiギターとかもあるので、信州ブランドのギターは、凄いと思います。
工場見学の後、さらに2時間ほどお話を伺いましたが、うちの営業部長と今福さんの話が盛り上がって
面白かったです。MI業界は狭くて、あの人があそこへ移籍したとか、「あのひとは今」大会でした。
そうこうしているうちに娘の高校の保護者会の時間が迫ってきたので、後ろ髪を引かれつつ帰りまし
た。お土産に(爆)I社のネック取りの端材を一個頂いて帰りました。メイプルをマホガニーでラミ
ネートした材料で、なかなかいい感じの材料です。その数日後ネックを折ってしまったガットギター
の修理の材料に使用しようと思っています。(神様のお導き?)


ガットギターのネック折れは、塗装をやり直した3カ月ほど後に一度やっており、今回は再発だったり
しますが、同様の修理は接着剤の部分でもあるため、一度ネックをボディから取り外してから、色々
と修正を施して、上記のネック端材を削りだしてネックの補強材を作って再組立を行うつもりです。
だんだん大事になっているのが、笑ってしまいますが、ギターを弾くより修理とかしている時間の方
が多いんじゃないか?とちょっと思います。(爆)まぁ、それも僕の趣味の範疇なんですけどね。

2015年5月1日

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