亡くなった日本人技術者の方々のご冥福をお祈りします


アルジェリアで殺害された日本人技術者のニュースに触れて色々な思い出
が蘇りました。80年代後半社会人になった僕は中近東、イラク、サウジア
ラビア、クエートへ何度か出張した経験があったからです。

会社でどういう適性を判断したのか?分かりませんが、入社2年で当時戦
争中のイラクのバクダッドへ出張しました。海外出張時には、旅行保険を
会社が僕に掛けるのですが、たった半月の滞在で死亡時の保証が¥1千万
円だったのにその掛け金が¥20万円以上だった事です。その金額を聞いた
際、「絶対生きて帰ってくるからそのお金を僕にください」と総務と交渉
しようかとまじで思いました。(爆)

まぁ、実際には、戦争中とはいえイラン-イラク戦争に於いては制空権を
イラクが押さえていたため、国境近くのプラントなどとは違い、空爆など
の危険性はほとんど無く、平和なものでした。特に出張が7月と異常に暑い
時期ということもあり、戦況もほとんど休戦状態であり、ある意味最も安
全な時期を選んだと言う事が言えるかもしれません。

バクダッドへの移動は、もう日本へは飛んでいないイラク航空でバンコク
経由(給油でカラチへも降りたかも)で行くのですが、飛行機で一緒にな
った方が現在の日輝みたいな仕事をやられていたようなんです。
食事の後、お酒も入って技術者同士(といっても僕の方は新米くんですが
・・)ということでいろんな話を聞きました。驚いたのは、出張手当の高
さで、当時の僕の年収の3〜4倍くらいだったようです。僕の想像ですが
日輝の方々は、手当てなどを含めると年収1000万円くらいあったので
はないでしょうか?

初めての海外出張で感じたのは「日本人技術者」という立場の凄さでした。
現地の方々が、非常に敬意を払ってくれた事が忘れられません。話を聞く
と多くのエピソートが、日本人に色々と助けられたとか世話になったとい
うものだったので、現地の方々の義理堅さとともに名も知らない先輩技術
者(というか多分日本人の先輩)に感謝せずにはいられませんでした。
その後、いろんな国で同様の話を聞いたんですが、数年後みんな「日の丸」
を背負って働いていたんじゃないか?と思うようになりました。

正直ろくな環境ではありませんでした。当然ですがその環境でベストもしく
はベターなプランを現場で作って行きました。もう少しなんとかしたかった
ものもありましたが、僕がベストを尽くして頑張った姿勢を認めてくれる事
が多かったと思います。機材トラブルで帰国を延期して立ち上げた工事では
帰国時に涙目でハグしてくれた現地の担当者が印象的でした。

そういう仕事とは別にして、セキュリティの感覚が日本とは全く違うことに
も気づかされました。銃器がかなり身近でした。数年前フィリピンへ出張し
た際にも工場団地やホテルの入り口のガードマンが自動小銃で武装していた
のには、緊張しました。ですが、今回の砂漠のガスプラントでそれほど危険
な意識を持っていたのか?正直疑問です。セキュリティの専門家ならば、リ
ビアから流れた武器が、アフリカに拡散したという事情を知っていたとは思
いますが、マリのテロリストがアルジェリアの辺境のガスプラントを襲うと
いう想像ができたかどうか疑問です。そういう意味では時代の犠牲者なのか
もしれません。ただ、僕は思うに日輝の方々は、みんな「日の丸」を背負っ
て働いていたと確信します。靖国神社にお祀りしたい、そんな資格があると
個人的には、思っています。

あと、マスコミのニュースの中に日本人が狙われたとか現地での評判が悪い
とか、かなり頭が悪いんじゃないの?としか思えない記事がありました。
ろくな取材もしていないのに脳内でテキトーな思い込み記事を書く日本のマ
スコミは、滅亡してもOKです。

今回のテロ行為は、誘拐ビジネス集団によるものであり、BPと日輝の幹部を
マリへ拉致して身代金を要求しようと計画したものです。念のために書いて
おきますが、日本人技術者はほとんど全ての現場でその勤勉さ、仕事に対す
るコミットと姿勢に尊敬を集めていると思います。もちろん全員そうである
とは言いませんが、かなりの割合でそうだと思います。それがジャパン・ク
オリティなんです。いつも興味深い文章をブログで提供してくれている、
張り投資家さんの"ワイルドインベスターズ ブログ 「それを教えちゃマ
ズイだろ!」"で「売国道」
というナイスな言葉をご紹介していましたが、
上記の頭の悪そうな記事を書いているマスコミの関係者(当然記者本人のみ
ならず公開を許可した責任者なども全部)は、自分が何を書いているのかや
っているのか分かっていないように思います。

最後に今一度、亡くなった日本人技術者の方々のご冥福をお祈りします。

2013年2月1日

平川丈二は最近こんなことを考えている!
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