無能政府


被災した東北を支えるためにも他の地域の経済活動を支援しなければ
いけない政府は全くの無策。このまま節電を「均等」に押し付けて
産業・経済活動に大きな打撃を与える流れになっています。

震災後、電力不足が明らかになった時点で原発の安全点検や地方自治体
との交渉・広報などを行い、復興の流れを作るべきだったのに全く逆に
放射能被害を増大させ、国民を被爆させ、自らの地位のために「脱原発
解散・選挙」を画策しているという管直人に怒りを感じます。

哀しい事に、このような菅民主党内閣の支持率が20%もあり、一般的には
「政争はやめろ!」というイメージが大きいということです。
誰がどれだけ日本を苦しめているのか?全日本国民は、理解すべきです。

ぼやきくっくり
■6/29放送「アンカー」青山繁晴の“ニュースDEズバリ”
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1021.html#sequel

青山繁晴
「あの人が総理やってるからこう困るとは、穏やかな人だからおっしゃらなかったけど、
それは僕らに気持ち伝わりますよね。その、その質問って今まで受けたことなかったん
ですが、その、さっき映像でも出ましたけど、隣りにたまたま、その小野寺さんて議員
がいて、もう一回言いますが、その、自民とか民主とかそういう問題じゃなくてですね、
彼は本当に良心的に動いてることは間違いはありません、あの、この時ですね(VTR
で町長との面会リプレイ)、で、小野寺さんが、まず、佐藤仁町長は、プロの政治家で
ある小野寺議員に訊いたわけですよ。ま、僕よりも。そしたら小野寺議員が、いや、そ
れは菅さんがちょっと狂ってしまってるんじゃないでしょうか、よく分かりませんがそ
うとしか思えませんと言ったら、佐藤さんは、そんな説明になってないなって顔を当然
されて、で、僕はプロの政治家を前に僭越だったけれども、いや、狂ってるんじゃない
んですと。菅さんは、全く、その、昔の菅さんのまま、菅さん42歳の時から、僕は政治
記者として取材を始めました。以後22年ですよね。もう普段からああであって、菅さん
は狂ってしまったというような言い方が適切なんじゃなくてですね、本当は、あくまで
も菅直人らしくやってるんですよ。それはどういうことかというと、こうです」

村西利恵
「総理側近によると、『菅さんは自分をヒーローだと思っている。そのわけは、浜岡原
発の停止要請から“菅おろし”が始まったと思い込んでいるから』」

山本浩之
「ええっ(笑)」

青山繁晴
「これね、あの、まず首相側近、これあの、菅さんにも側近っているんですよ(一同苦笑)」

村西利恵
「いるでしょう、うん」

青山繁晴
「例えばね、総理補佐官をやってた人。側近なのに、なぜかどんどん外されちゃうって
ことが起きるんですが、これだから、本当は元側近と言うべきでね。もうみんなどんど
ん離れ始めてるから、本当はこうなんだってことを、これ一人じゃなくて何人もが、も
う話すようになってるんですよ。で、今スタジオの中に、あの、笑いが漏れましたが、
その通りで、これ、浜岡原発を止めてから菅おろしが始まったんじゃなくて、3月11日
に震災があって、その翌日の朝7時11分に、福島第一原発に乗り込んでしまって、その
ために色んなことがストップして、大災害になったんじゃないかって疑いを含めてです
よ、もうずいぶん前から、菅さん代わってもらわなきゃいけないって話になってるのに、
自分でストーリーを作ってですよ、本当はこの番組で言った通り、アメリカの圧力で浜
岡原発の停止もしたのに(5/12放送分参照)、自分は脱原発を言ったので、経産省と電
力業界がグルになって、俺を悪辣にも引きずり下ろそうとしてるんだっていう、こうス
トーリーを作って、その中に住んでるんですよ。それ昔から菅さんはそうです。本当に
市民運動家だったのかっていうの僕は改めて、疑問に思ってます。その、市民運動とい
うのも実は、自分で作った、権力に上るためのストーリーだったんじゃないかなと思う
んですが。話を戻しますとですよ、こういう菅さんが、皆さん、あの、起きたばっかり
の、いわばエセ内閣改造、官房長官は内閣改造じゃないって言ってるけども、どう見て
も内閣改造にしか見えないことをやりましたよね。その中身見てもらうと、この、菅さ
んのほんとに考えてることっていうのは、かなり見えてくるんですね。はい、ちょっと
出して下さい」


村西利恵
「失敗の閣僚人事ということですが、今回の内閣改造はポストが2つ新設されました。
それが上の2つですね。原発事故収束・再発防止担当大臣に細野豪志さん。そして東日
本大震災からの復興担当大臣に松本龍さんが就任しています。それから国民新党・亀井
代表は首相補佐官に、元自民党参議院議員の浜田和幸さんは、復興担当の総務政務官に
就任しています」

青山繁晴
「はい、これ実はですね、その、色んな報道されてるけれども、ま、もう一度申します
が、間近に見てきたその菅さんの姿からするとですよ、自分をヒーローにするために、
すっごく、こう、したたかに仕組んでるんですよね。要するに脱原発で自分をヒーロー
に仕立てたいから、その、脱原発に関しては、このかっこいい細野さんね、まだ39歳で
すよ。民主党で30代で入閣したのは彼が初めてですね。そして海江田さんはなかなか言
うことを聞いてくれない。そして海江田さんのイメージはあまり良くない。だからここ
で、その細野さんの、このスマートさもね、使って、その、反原発、脱原発っていうね、
のを、こう自分に印象付けたいと。しかし復興全体で言うとですよ、これ松本龍さん、
すごく地味な方ですよ。というか、言い方変えると、あんまりしゃしゃり出ない人です
よね。わりと親分肌で、後ろに引っ込む方が好きな人で。ということは、復興が仮に進
み出したら、この人の功績になるんじゃなくて、やっぱり自分の功績にしたい。そうい
う人事ですよね(一同笑&ざわ)」

村西利恵
「あんまり目立つ人だと自分の手柄にならないからと」

青山繁晴
「嫌なんですよ。新聞には色々書いてあったけど、ほんとは最初からこの松本龍さん狙
ってたと思いますよ。総理に対してはあんまり文句言ってないし」

山本浩之
「何度も断ったのに最終的に…」

青山繁晴
「そうです。3度目でやっと言うことを聞いてもらったんですが、それにはそういう底
意が、もう十分に感じられるし、さっきの、元側近たちも実はそうだと言ってるわけで
すよね。それからさらにこの一番下(浜田和幸)を見ていただくとね、何でわざわざ自
民党を怒らすのかと。ね。そして浜田和幸さん、復興担当の総務政務官って言ってるけ
ども、この総務大臣の片山さんがですよ、私の知らない人事だから興味ないっていうこ
とを言ってるんですよね」

山本浩之
「うん」

青山繁晴
「あの人、元お役人ですよ?それが言うってことは、浜田さん仕事させてもらえないって
ことでしょ。だから何にも効果は出ないのに、自民党が怒っちゃったから、しかも参議院
に手を突っ込んだんだから」

岡安譲
「そうですよねー」

青山繁晴
「参議院では野党が多数派なんですから、何もこれ法律通らないでしょ。つまりそうい
うことなんですよ。法律通さないつもりですよ」

山本浩之
「それが狙いなんですか?」

岡安譲
「やっぱりそうなんですか、そこが狙い…」 青山繁晴
「そうなんです。だって法律通ったら辞めるけども、法律通らない限りは、特に再生可
能エネルギー法案ね、それは自分が通すんだと言ってるから、通らないでずっとこう揉
めた方がいいということになるわけですよ。ところがここ(モニターの見出し)に失敗
って書いたのはですよ、そうやってこう、つまり、こういう人たち(細野、松本ら)相
手にはそれ、うまく通用したけど、通用しなかった人が一人いるわけですよ」

村西利恵
「それが亀井さん…」

青山繁晴
「亀井さんに、要するにリスクを半分背負ってくれと、つまり副総理になってくれと、
ね。あなたは、その、郵政民営化でも頑張りたいんでしょみたいなことを持ちかけたけ
ど、亀井さんはそれを蹴っ飛ばして、何をやったかというと、総理補佐官。ね。ま、あ
の、あえて言うと、これだけの大物が総理補佐官になるんですよ?総理補佐官て、しか
しね、その、閣僚と何が違うかというと、閣僚は閣内一致しなきゃいけないから、最終
的には意見違っても、総理大臣の言うこと聞かなきゃいけないけど、総理補佐官という
のは、言いたいことを言うわけですから、こうしろああしろっていうふうにですね。だ
から亀井さんフリーハンドを取っちゃったんですよ。だから本当はものすごい失敗の、
いわば、あの、やがて失敗になるような自爆装置を体内に持ってしまったような実は内
閣改造なわけですね。で、この辺もやっぱり、菅さんは僕は総理大臣の器じゃないと、
すみません、この『アンカー』で何度も申しましたが、自ら宰相の器じゃないことを自
覚して、お辞めになるべきだということを当初から申してきたんで、別に浜岡を止めた
から、この『アンカー』でもそういう話になったわけじゃないわけですよね。そして、
その菅さんが、さらに、いわば、菅さんなりの将棋の駒を進めたのが、まずこれですね」

村西利恵
「菅総理はおととい(27日)の会見で、『エネルギー政策について、国民に信を問う考
えはあるか』という記者の質問に対して、解散を否定しませんでした」

青山繁晴
「これ僕はおとといびっくりしたんですよね。というのは、これ、国民に信を問う考え
っていうのは、これ紋切り型の質問なんですよ。これ、僕は政治記者の時も、僕自身も
何度も総理に訊きましたよ。これ何言ってるかというと、衆議院解散しますかと、訊い
てるんでね。で、解散しますなんて言うわけないけど、紋切り型ってのは必ずこれ誰か
が訊かなきゃいけないんですよ。で、必ず総理大臣ていうのは、そんなことは念頭にあ
りませんと。どうしてかというと、衆議院解散して民意を問うっていうのはとても大切
なことだけれども、しかし、それで仕事は、まあ普通考えても1カ月はできなくなっち
ゃうわけだから、だから今の仕事に専念すると、その、答えて、それと同時に解散権は
総理大臣だけが持ってるんだから、いつでも抜けますよって雰囲気だけでいいわけです
よ。それが、これ否定しなかったんで、えっ、ここまでやるかと僕は思ったら、それど
ころじゃない。きのうはもっと、もっとすごいことあったんですね。それはこれです」

青山繁晴
「総理は、きのう(28日)の両院議員総会で、『エネルギー政策をどのような方向に持
っていくかは、次期国政選挙でも最大の争点になる』と話しました」

青山繁晴
「これは、僕はほんとに、椅子から転げ落ちましたよ。これあの、誇張して言ってんじゃ
なくて、ほんとに椅子からこうガクッとね、膝が割れて転がり落ちたんですよね、転がり
落ちそうになったんですよ。それ、どうしてかというとですよ、いやしくも内閣総理大臣
が、次の国政選挙では、こういうことが争点になります、つまり俺は、俺の言うこと聞か
なかったら解散するぞっていうふうにね、しかも与党議員に対して。野党を牽制するなら
まだしも、自分の与党議員に対して、これしかも両院議員総会の冒頭にやったんですよ、
これ。それ脅しかけてですよ、そして例えば今朝の新聞見ていただくと、それからさっき
のVTR(ストレートニュース)の印象もね、こう、けっこう総理に対して文句言ってる
じゃないかって感じするでしょ?それ実態違います。これあえて言うとね、今朝の朝刊各
紙では産経だけが一番正確に書いてたと思うけど、冒頭それをぶちかまされて、民主党の
議員はもうシューンとなってですよ」

山本浩之
「みんな腰が砕けちゃった」

青山繁晴
「で、選挙が比較的強いと思ってる人だけが声挙げたわけですよ。選挙に不安ある人はみ
んな一発でこう静かになってしまった。だからこれあえて言うと菅さんだけじゃなくて、
この番組ご覧になってるかもしれない国会議員の方に申すと、選挙、負けたらば、違う人
生歩めばいいじゃないですか。そんなに議員の仕事守りたいんですか。議員てのは本当は
人のために自分を犠牲にする仕事なんであってね。あの両院議員総会は語るに落ちたけど
も、その、人間のそういう卑しいところを突いてくる、内閣総理大臣てのはほんとに子供
たちの教育にも悪いと思うんですよ。しかし問題は、じゃあその、単なる脅しなのか。ほ
んとに衆議院解散総選挙、この、被災地も含めた総選挙をやるのかどうかっていうのが、
最大の疑問ですね。だから後半はそれを考えたいんですけれども、キーワードはこれです
(フリップ出す)」

村西利恵
「ここでズバリキーワードは『穴ねらい』。果たして菅総理の狙いとは。解散総選挙は本
当にあるのか。CMのあと詳しく話していただきます」

(いったんCM)

山本浩之
「ま、今、衆議院を解散して総選挙に踏み切ったら、一番不利なのは菅総理自身ではない
かなっていうふうな、思いはするんですけれども、それでも、本当に今後、解散総選挙、
できるのか。えー、2つめのキーワードは『穴ねらい』でした。お願いします」

青山繁晴
「はい。あの、今、ヤマヒロさんがおっしゃったね、山本浩之アナがおっしゃってくれた、
その、解散ってほんとにできるのかと。こういうのってね、政治家に訊いてもダメなんで
すよ。もう、もう自分のことで頭いっぱいになっちゃってるから。で、常に、この、普段
からずーっと情報を少しずつ少しずつ集めて、いつでも何でも知っている機関が日本にあ
りますよね。日本のインテリジェンス。だから当然それにまず訊いてみました。答えはこ
うです」

村西利恵
「日本の情報当局者によると、『本気で“脱原発解散”をするつもりだ』」

青山繁晴
「はい、これほんとは3人に訊きました。えー、年代も、すごく上の人から、わりと若手の
最前線まで3人に訊いた。もうこれ3人っての、絶対最低限必要なんですよね。ウラ、オモ
テ、真ん中が必要だから。で、そうしますとピタリと一致してて、いや、青山さん全く本気
ですよと、菅総理は。で、僕も当然ね、その、元政治記者のはしくれとしても、今、総選挙
やったら、どう考えても、まあ自民党もあまりしっかりしてないけれども、民主党が勝つと
は思えないけどって訊いたら、こういう人たちってのは選挙情勢ってのも実はずいぶん調べ
てますよね。だから脱原発っていうことを、ほんとに前面に上手に出した場合は、ギリギリ
勝てるんじゃないかというのを、いや、彼らが思ってるんじゃなくて、菅さんはそう判断し
てると。ね。だから少なくとも、その、菅さんが単なる脅しじゃなくて、本気でやろうとし
てるんだと。で、僕はそういう感覚だけじゃなくて、もし総選挙をほんとにやろうとしてる
んだったら、準備してる役所がありますねと訊いたら、この情報当局者たちは、あ、我々は、
準備してると考えてるよと言われたんで、じゃあその準備してるはずの役所そのものに訊き
ました。はい出して下さい」

村西利恵
「総務省の幹部によると、『総選挙の準備はしている』」

青山繁晴
「はい。これはもう、明言したんですね。で、これも複数ですが、一番明言した人は実は1
人であって、この人は、わりと、幹部ではありますけど、若手です。どうしてかというと、
この総選挙の準備っていうのは、実は総務省が判断することじゃなくて、官邸から降りてき
たら、もうその、若手を中心に、若手中堅を中心に実務者が、ブワーッと動かないといけな
いんですよ。膨大な準備するから。だからこういう場合は必ず総務省の若手に訊くべきであ
って、そうすると彼は、彼は僕はとても良心的な人だと思ってるんですが、ま、そのかわり
役所辞めたいって悩んでる人でもあるんですが、彼がはっきり、してますと言われたんです
よ。で、僕はこの辺(こめかみ)がちょっとだけプチッと切れてですよ、だって南三陸から
帰ったばかりですから」

一同
「うんうん…」

青山繁晴
「あの南三陸町、皆さんさっきの映像見ていただいたでしょう?あそこで総選挙やるんです
か?と。さっき、瓦礫を積んだトラック走ってましたが、あそこを選挙カーが走ったら、暴
動が起きますよ!と」

村西利恵
「ほんとですね」

青山繁晴
「本当は菅さんに言いたいとこですが、この気の毒な若手幹部に、あの、僕はけっこう怒鳴
ったところ、いや、青山さん、そう言われるのは分かるけど、しかし理論…(南三陸町の瓦
礫積んだトラック走ってるVTRが出る)、このかわりに選挙カーが走る姿を考えてみて下
さい、皆さん。いや、もう、世界からじゃなくて、もうほんとにみんなが見捨ててしまいま
すよ、この国を。ところが、その総務省幹部は、気持ちは分かるけれども、理論的には可能
ですと。つまり投票率がドーンと落ちるだろうけれども」

山本浩之
「はあー」

青山繁晴
「例えば投票所の工夫によっては、ある程度の、例えば20%程度の投票率が何とか維持でき
たら、その選挙、衆議院が解散されてしまったら、ほっとくわけにいかないんだから、総務
省としてはそういう準備をしているということなんですよね。で、こういう話が出たから、
当然僕は、実は、その佐藤町長に会う前から、会う前からもこういう話聞いてたから、その、
佐藤町長にも訊いてみたんですね。そうすると、答えはこうでした」

村西利恵
「佐藤町長によると、『総選挙なんて、とんでもない』と」

山本浩之
「そりゃそうでしょう」

青山繁晴
「これね、あの、佐藤さんもう、このアップ通りで、ほんとに温厚な人なんですよ。穏やか
な人で。そしてこの佐藤町長って皆さんご存知ですね、さっきの防災庁舎の一番屋上で、こ
のポールにしがみついてて、何とか生き延びたっていう、もうほんとに、九死に一生を得た
人ですが、そういうことを顔に出さない人ですよ。ね。そして、例えば遠藤未希さんだけじ
ゃなくて、生き残った、あの、職員のことも本当に考えてくれる、ね、あの、一人だけをヒ
ーローにしないっていう意味でも、とてもこのバランスのとれた人なんですが、この時だけ
はね、とんでもないですよ!と。ね。もう顔つきが、もう一瞬だけど、もうあの、夜叉のよ
うに変わってですね、とんでもないですよ!そんなことは、そんなことはとんでもないです
よ!と言われてもう、言葉を失われたわけですよ。ところが菅さん何を考えてるかというと、
さっきキーワードで穴ねらいって出しましたね。その穴って何の穴かというと、もう岡安さ
んも色々考えたでしょうが、これ何の穴ですか?」

岡安譲
「何か抜け穴、ですか。例えば法律とかの抜け穴とか」

青山繁晴
「ああ、さすがですね。まあ法律の抜け穴、その通りなんですよ。で、しかもこれはただの
法律じゃなくて、例えば公職選挙法の抜け穴とかじゃなくて、憲法の抜け穴なんですよ」

一同
「えっ」

青山繁晴
「憲法に、あの、憲法は色んな議論ありますが、日本国憲法に欠けてるものが実は2つあっ
てですね。ひとつは、内閣総理大臣を辞めさせる手段がない。つまり、任期がないんです。
任期ってその、人の気と書く人気じゃなくて、期限ですね。任期の定めがないから、本人が
辞めない(「辞める」の間違い?)と言わない限りは、いつまでもできてしまうって世にも
稀なる憲法なわけですよ。で、ひとつだけ手段があって、それは内閣不信任案を可決するこ
と、あるいは内閣信任案を否決すること、同じことです。ま、要は、信任しないっていうの
を国会がやること。ところがそれ、こないだ葬ってしまったじゃないですか。菅さんがサギ
を働いて。辞めるかのように見せて。そして同じ国会では、一回しかこの内閣不信任案は出
せないっていうのが国会の慣行で。慣行なら破れると思うかもしれないけど、国会ってのは
慣行で動いてるから、それ破るわけにいかない。それを見抜いてるから、延長延長というふ
うに、菅さんは主張したわけですよ。つまりはっきり言うと、日本国憲法が想定してなかっ
た、つまり総理大臣というのは、例えば上に国の象徴の天皇陛下もいらっしゃるし、その、
民意と、あの、全部合わせて、自分は退くべきだと思ったら辞めるでしょうというのが、憲
法の予想してることなのに、こうやって辞めない人を想定してないから規定がないわけです
よね。それを、実はその穴を、悪用してるわけですよ。そうすると今日の、最初のキーワー
ドの、みんなへの緊急提案ていうのは、実はそんなすごい、かっこいい提案じゃなくて、ま
ず国会がやらなきゃいけないと思うのは、つまり、政治家では、この解散総選挙を止めるこ
とができないんですよ。法律で、憲法で止まらない。止められるのは、これ本当に有権者だ
けです。民意だけです。ね。こんな時に解散総選挙をしちゃいけない。そして、それをやっ
たら菅さんは脱原発掲げようとも、それとはまた別問題で、その政治判断そのものを、私た
ち認めないってことを事前に民意で示す以外にはこれ、止められないんですよ。そして皆さ
ん、これは、僕の緊急提案、実は意味があるんじゃないかと思うのは、まず有権者が国を動
かすってことにもなるし、まずはこのおかしな解散総選挙を止めることから、実は政治が自
ら顧みるきっかけにもなるかもしれないと思うので、今日は、その提案をさせていただきま
した」

「すっから菅総理」のスタンドプレー
飯島 勲 「リーダーの掟」
http://president.jp.reuters.com/article/2011/06/11/77BE92C8-9277-11E0-B097-061F3F99CD51.php

なぜ不信任案が出されたのか

6月2日、菅内閣への不信任決議案が否決された。被災地から「なぜこのタイミングで政争を
するのか」と批判の声が上がったが、私は直ちに菅内閣が退陣することが、東北の復興にと
って近道であると信じている。被災地と永田町にこれだけの温度差が出てしまうのは、菅直
人総理の繰り出すスタンドプレーが原因だ。

国家備蓄としてガソリンがあるにもかかわらず、被災地には届かない。タンクローリーが手
配できない海江田万里経済産業大臣の指導力不足として、以前、この問題を本連載で指摘し
たが、結局被災地へガソリンを届けたのは、野党自民党の二階俊博衆議院議員だった。二階
議員は業界団体に迅速に連絡を取り、経産省と被災地を結んだのだ。このことは、複数の関
係者から証言を得ているが、二階議員はその成果について表立って誇るようなことをしてい
ない。菅直人総理も、このような姿勢をとれば、官僚はこの人のために命をささげようと決
意するものだ。しかし、自分の延命ばかりが気になって、部下の手柄を取り、怒鳴り散らす
ようでは人心は離れていく。浜岡原発停止、総理視察、太陽光発電など、PRに執念を燃やせ
ば、その場の評価を得られる。ただ、政まつりごと事は一歩も進むことはできない。この数
カ月間、そんな菅総理の実像を永田町や霞が関は嫌というほど見せられてきた。だから不信
任決議案を出したのだ。

最悪のカイワレ事件は、なぜか菅総理の美談に……。
菅総理は、1996年に厚生大臣に就任し、薬害エイズ、カイワレ大根問題を通して広くマスコ
ミに注目されるようになった。菅総理にとって唯一の「栄光の時代」について、今回私は真
実を明らかにしたい。スタンドプレーの原型が、まさにこのときにできあがったのだ。

薬害エイズ訴訟は、95年にまだ十代の少年だった川田龍平さん(現参議院議員)が原告団の
一人として実名を公表してからマスメディアでも注目が高まった。当時は自社さ連立政権で、
対応にあたったのは日本社会党(現・社民党)の森井忠良厚生大臣だった。

森井大臣はこの事件を厚生省創設以来の危機ととらえて、どこかへ消えてしまった薬害エイ
ズに関する資料を探し、毎日少しでも時間があると省内を歩いて回っていた。大臣の真摯な
姿勢に打たれ、ヘタをすれば自分たちを不利な立場に追い込みかねない官僚たちも次第に協
力するようになった。

当時、荒賀泰太薬務局長は、仕事を終え、退庁を示すランプをつけた後で局内を探し回って
いた。

さらにその資料の捜索に、全省のノンキャリアが動きだした。官僚の働きについて、キャリ
ア官僚ばかりが注目されがちだが、実務を担当するノンキャリアの実力は侮れない。ノンキ
ャリアの人事には、大臣も事務次官も官房長も口を出せない慣習になっていて、その裁量は
ノンキャリアの“ボス”に任されている。どんなに優秀なキャリア官僚でも、ノンキャリア
をバカにするような態度をとれば、仕事ができない部下を集められ、出世レースから脱落し
てしまうのだ。ノンキャリアの支えがあって初めて、日本の行政機構は機能する。

95年末には厚生省のノンキャリアの“ボス”の指示により、全省が一斉に薬害エイズ資料を
血眼になって探し始めたのだ。森井大臣と荒賀局長の執念がノンキャリアを動かしたのだ。

しかし、年が明けた96年1月11日、村山総理の退陣を受けて橋本内閣が発足。森井大臣は退任
し、菅厚生大臣が誕生する。

大臣が代わっても、資料捜索は続いていた。2月に入り、とうとう官僚の一人が“郡司ファイ
ル”を見つけた。背表紙にボールペンの手書きで「エイズ」と記されていたのを、当時のニ
ュース映像で見た人も多いかもしれない。発見場所は、薬務局から遠く離れた保健医療局の
地下の倉庫の資料棚の裏。古い木造の建物から現在の合同庁舎5号館に引っ越しする際に、棚
の裏に置き忘れられていたらしい。

このファイルは薬害事件発生当時の生物製剤課長・郡司篤晃氏が私的にまとめていたメモで、
ファイルにはナンバリングもなく、公文書でないことは明らかだった。発見当時の多田宏事務
次官と山口剛彦官房長(2008年、元厚生事務次官宅連続襲撃事件で死亡)は、資料の分析の必
要性があるとみて、官房会議にかけようと、新しく就任した菅大臣に報告に行った。

しかし、菅大臣は資料を取り上げ、内容を分析することもなく、記者会見で「官僚がずっと隠
していたものが、私が就任したから見つかった」とファイルを公表した。もし、ずっと隠した
いのなら、菅大臣に報告をする必要はない。菅大臣が官僚を裏切り、スタンドプレーに走った
のは明白だ。

以来「総理にふさわしい人」として菅大臣はマスコミの寵児となった。一方でファイル探しに
汗を流した前大臣は無能呼ばわりされ、キャリアとノンキャリの壁を超えて探し回った官僚た
ちは情報隠ぺいの犯人扱い。菅大臣はこのときから他人の手柄を横取りし、自らが発表すると
いう手法を確立していたのだ。

厚生大臣時代を振り返るとき、もう一つ忘れてならないのが、カイワレ大根の風評被害事件だ
ろう。

薬害エイズで人気絶頂となった菅大臣をO-157の食中毒問題が襲った。果断な発表は支持率アッ
プにつながると、2匹目のドジョウを狙い「O-157の原因としてカイワレ大根の可能性が否定で
きない」と記者会見した。

あっという間に全国のスーパーからカイワレ大根が消え、カイワレ栽培農家は大騒ぎとなった。
特に大阪の農園経営者は、厚生大臣ではなく、菅個人を訴えると激怒した。

あわてた菅大臣が思いついたのがカイワレを食べるパフォーマンスだった。しかし、関東地方
の店先にはカイワレは一パックも残っていない。全国中を探し回り、ようやく数パックのカイ
ワレが見つかった。あわててノンキャリアを買いに走らせたが、このときの交通費などが6万円
かかっている。無論、国民の血税からの支出だ。

大臣がカイワレをドレッシングもかけずに涙目でむしゃむしゃと食べたところで、風評被害が
収まるはずもなく、カイワレ農家は国を提訴した。

パフォーマンスの効果は、農園経営者の訴訟の被告を菅個人から厚生省に変更させた程度にと
どまった。菅大臣にはそれでよかったのだろう。

最高裁は04年12月、国に賠償総額2290万円の支払いを命じる判決を言い渡した。菅は、カイワ
レに関して、合計で2296万円の損害を国に負わせたことになる。自殺者まで出したカイワレ事
件。驚くべきことに最高裁で敗訴が確定しているにもかかわらず、本人はこれを成功体験とと
らえているらしい。目立つことさえすればマスコミに賞賛される。それを感覚として知ってい
るのだ。

菅大臣退任後、厚生省官僚のどん底まで落ちたモチベーションの問題は少しずつ改善されたが、
ひとつ困った置き土産があった。クレーマー化した市民運動団体の来訪だ。本当に困っている
のであれば、全力で助けるのだが、国を叩くことだけが目的の集団が押し寄せてくると手のつ
けようがない。

私自身が対応していて感じたのは、問題のある市民運動家には
(1)すぐ言い返す、
(2)すぐあげつらう、
(3)すぐ怒鳴る
――という3つの共通点があることだ。
第三者が何か指摘すると、相手が口をはさめないほどのスピードで反論する。些細な矛盾を血
眼になって探す。相手が納得しないと声を荒らげて怒鳴り散らす。相手をやり込めることが目
的では問題も解決のしようがなかった。

震災後の菅総理を見ていて、市民運動家の3カ条に付け加える必要があると考えた。それは、
上手く立ち回れなくなると、「すぐ誤魔化す」だ。

2011年7月1日

平川丈二は最近こんなことを考えている!
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