遭難です、川崎さん。



登山で遭難。この数ヶ月遭難関連の本を幾つか集中して読んで理解した
事柄を自分のメモのためにまとめてみたいと思います。

自分には縁が無いと思いがちですが、かなりの経験者でさえも思わぬ処
で遭難してしまうことがあります。況や一般登山者をやです。(笑)

本当に山登りをするのだったら、「遭難」というものを知っておいた方
が良いと思います。ちょっとした知識で命が助かったりするのが、遭難
の世界だと思うからです。

まず、遭難の傾向と対策について・・・。

1.道迷い遭難
 しっかりしたガイドの方がいない場合や標識などが分かり難いルート
を歩く場合、注意が必要です。最大の鉄則として「迷ったら正規ルート
まで引き返す」と「絶対に沢へ下ってはいけない。稜線を目指す」の
2点です。遭難のレポートを読むとそういう知識があるのにもかかわら
ず、根拠のない判断で迷い道を突き進む遭難者が多いのに驚かされま
す。

「多分登山道はこっちだから、暫く歩いていたら大丈夫」とか
「戻るの登り方向だから嫌だ」とか
「ここにマーキングがあるから大丈夫」とかが

道迷い遭難の王道です。特に沢へ下ってしまうと元のルートへ戻るこ
とが不可能になるケースがほとんどです。地図や磁石、もしくはGPS
で現在地を確認せずにそのへんにあるテキトーなマーキング(本当に
勝手に付けられたマーキングってあるんですよ!)を自分の都合よく
勘違いして深みにはまってしまいます。命が惜しかったら、しっかり
ルートを確認することです。まず、地図と磁石は必需品です。できれ
ばGaminなどのハンデイGPSがあれば良いですが、深い谷などでは衛星
をロストすることもあるので万能ではありません。大事なのは、例え
ビパークしても元のルートに戻る事だと思います。大体、元のルート
への道が登りで諦めちゃうパターンが多いということも覚えておきま
しょう。

2.気象遭難
 突然の天候の変化で体力を消耗して動けなくなったり、落雷にやられ
たりする遭難です。入山する前にしっかり天気予報を検討する事が重要
ですが、なかなか判断に悩む事も多いと思います。この判断が裏目に出
た場合でも、なんとかなるような準備が大切だと思います。

まず、大雨の場合、ゴアテックスなどのしっかりした雨具は必須です。
地形により危険なところを可能な限り回避する。(雨の後もそうですね)
ビバークも選択肢として検討する。フリースなどを着込んだりして体温
の低下に注意する。などが大切だと思います。雪なども春や秋では有り
得ます。雪の中一晩山中で乗り切る準備を保険だと思ってしておいて、
損はないと思います。(ツエルトや断熱アルミシートなど持っておきた
いですね)

あと雷ですね。これは個人的に非常に苦手です。遠くでゴロゴロ鳴って
くれればいいですが、気が付かずにいきなり近くに落ちる事もあるよう
です。できれば、ラジオでも聴きながら歩くとクマ対策と共に雷の接近
を知る手がかりにもなります。あと、雷が近づいてきたら、高い木から
5m以上距離を取って身体を低くして雷が遠ざかるのを待つのが、良い
ようです。ストックなども身体から離れたところに一時的に置いておい
たほうが、良いと思います。建物の軒下は意外と危険なので雨宿りとか
も注意が必要です。東屋みたいなところでは、中央付近で身をかがめて
おくと良いそうです。ただ、実際には雷はどこに落ちるのか分からない
みたいです。僕もほぼ真横に走る雷を見てから「運」次第とこっそり思
っています。(大汗)

3.滑落遭難
 危険なところでは、みなさん注意をするので意外と大丈夫みたいです
が、思わぬところで崖下へ転落、滑落という事があるようです。
多くの場合歩行不能になったりして救助を要請することになりますが、
一人で登っている場合、滑落して動けなくなって救助が必要な状態に陥
ったとしても誰も気付かない事もありえますので、しっかり登山届けを
出して、帰宅や連絡が遅れたら家から捜索願いを出してもらうようにし
ておくことが大切だと思います。当然、保険にも入っておかないと民間
ヘリなどを利用すると200万円くらいの請求書がくることがあるそう
です。(捜索隊が出てもかなりの金額になります)
あと滑落などではなく、ちょっと足を挫いた程度でも自力下山が難しく
なる事もあります。そこまでいかなくても移動時間が数倍になってしま
う可能性も考えてエスケープルート(緊急時の下山ルート)も検討して
おくと良いです。

4.体調不良による遭難
 これについては、「無理をしない」に尽きると思います。
ポイントポイントでしっかり休み、給水する。体調をに気を使うなどの
行動でリスクを大きく低減させることができると思います。天候やコー
ス、自分の体調を鑑みて休む、見送る、延期するなどの判断をする事が
大切です。

それでも熱中症や低体温症になってしまうことがあります。もし行動不
能状態になったら(というよりなりそうになったら)その場(休める場
所)で動かず、体力を温存して救助を待つ事が良い結果につながるよう
です。一番大事な事は「パニックにならず、落ち着いて現状を分析する
事」です。

遭難ってしたくてするもんではありませんが、備えておく必要があると
思います。命が係る問題ですし、大変な費用が発生する事も知っておく
べきです。遭難して救助された人が、発する第一声って「すみません、
ご迷惑をおかけしました」だそうです。なんか心に響く言葉です。

p.s.「岳、みんなの山」が実写版映画化されることになりました。
主演の三歩に小栗旬、クミちゃんに長澤まさみだそうです。既にロケに
入っているそうです。非常に楽しみです。

2010年5月1日

平川丈二は最近こんなことを考えている!
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