2010年3月 Torio&Torikoのフィールドノート 目次に戻る  top↑

【2010年3月13日】

※船橋三番瀬海浜公園(7:40〜9:10)
 到着時は満潮を過ぎて干潟が大きく広がり始めているところであった。南東からの強風が吹き探鳥しづらかった。ヒメハジロは、周辺海域に留まっているとのことであったが、船橋港側堤防内水面への出現は定まっていないとのことであり、残念ながら本日も見られなかった。ビロードキンクロ、ミヤコドリも見られなかった他、例年であれば集結しているはずのウミアイサも確認できなかった。セグロカモメ類は約50羽が集結しており、いわゆるホイグリン系と思われるものも見られたが強風のため観察しづらかった。主なものは次のとおり。

○コクガン            1羽(若鳥と思われる個体。船橋港側堤防内水面。スズガモ群とともに行動していた。ウインドサーフィンのため落ち着かない様子ではあったが、時折アオサを採食していた)
○ズグロカモメ          2羽(いずれも成鳥夏羽。正面干潟を飛び回っていた。1羽は午前8時半頃に谷津干潟方面に移動した。また干潟に降りてマテガイを採食しているのを観察できた)
○シロチドリ           46羽(正面干潟。午前8時半頃のカウント数)
○ダイゼン           108羽(正面干潟。午前8時頃のカウント数)
○ハマシギ        約2000羽(正面干潟。午前8時頃の推計数)
○ミユビシギ           82羽(正面干潟。午前8時頃のカウント数)
○ダイシャクシギ         5羽(正面干潟)
○タヒバリ             5羽(後背地)
○ジョウビタキ           1羽(後背地)
○ツグミ               3羽(後背地) 

※葛西臨海公園(9:50〜13:10)
 到着時は干潮で大きく干潟が広がっていた。しかし、当地も南東からの平均風速10mを超える強風が吹き荒れていた。このため、強風を避けて鳥類園周辺で探鳥した。渚周辺は観察しづらかった。特段変わったものは見られなかった。教えていただき、今季初めてコチドリとクイナを確認することができた。樹林地ではウグイスのさえずりが響き、陽だまりには早春を告げる蝶のルリシジミ見られた。主なものは次のとおり。

○ハイタカ             1羽(汽水池周辺。午前11時頃に汽水池上空に飛び出し、その後南側樹林地や汽水池西側付近を飛び回った。比較的大きく見えたことから♀個体と思われた)
○クイナ               1羽(汽水池西側アシ原付近を移動していくのを見ることができた) 
○カワセミ              1羽(汽水池擬岩付近)
○コチドリ              2羽(汽水池西側。いずれも♂のように思われた。今季初認であった)
○シロチドリ           約20羽(一時的に干潟にも降りていたが、強風のためか東渚西側堤防南端部付近でハマシギとともに群を形成し休んでいた。干潟が広がっている時間帯に、このような行動が見られるのは珍しいと思われた)
○ハマシギ           約200羽(東渚西側堤防南端部など)
○アカハラ              1羽(淡水池周辺)
○シロハラ              1羽(汽水池付近)
○ツグミ             約10羽(汽水池付近など)
○オオジュリン           5羽(淡水池付近など)

以上。



ズグロカモメ(成鳥夏羽)
2010年3月13日
船橋三番瀬海浜公園(正面干潟)



【2010年3月14日】

※葛西臨海公園(7:20〜12:40)
 到着時は満潮を過ぎて干潟が大きく広がり始めているところであった。午前10時過ぎからは旧江戸川河口の大きなカキ礁も姿を現した他、沖合にもかなりの干潟が出現した。最初に公園中央部を経由して汽水池周辺を回った後、淡水池周辺で探鳥した。午前10時半頃から西渚観察ポイントに移動し、その後正午頃からは公園西側に移動して探鳥した。特段変わったものは見られなかったが、久しぶりにチュウヒを確認できた他、冬鳥を中心として比較的多くの種類が見られた。特に渚周辺にはスズガモの大群が集結し、夏羽となったカンムリカイツブリ、ハジロカイツブリもそれぞれ1000羽以上いたものと思われた。大型カモメ類は約50羽が見られたが特に変わったものは確認できなかった。また、ウグイスのさえずりが多く聞けた。主なものは次のとおり。

○ホオジロガモ          1羽(♀タイプ、東西渚間水路)
○ウミアイサ            6羽(旧江戸川河口付近に群が見られた) 
○ミサゴ              1羽(又は2羽。東渚周辺。午前8時頃から渚周辺に飛来していた。午前9時半頃には東渚棒杭上で捕らえた魚を採食していた)
○チュウヒ             1羽(東渚。午前11時半過ぎにアシ原付近から干潟に進入してきて漂着した魚を採食した。ハシボソガラス1羽に執拗に付きまとわれたものの食事に専念していた)
○オオタカ             1羽(淡水池上空。午前9時過ぎ頃に淡水池上空から汽水池方面に移動するのを確認した)
○ハヤブサ             1羽(成鳥。東渚堤防の流木上に休止していた)
○クイナ               2羽(汽水池。擬岩東側のアシ原付近と西側アシ原で各1羽が確認できた)
○コチドリ              1羽(汽水池。干潟で鳴き声が聞けたが、低いアシに視界が遮られ姿を視認することはできなかった)
○シロチドリ          約30羽(東渚。午前11時頃のカウント数)
○ハマシギ         約250羽(東渚など。午前11時頃のハマシギ・シロチドリ群のカウント数は278羽であった。なお、水路護岸にも2羽が飛来していた)
○ダイシャクシギ         1羽(東渚など。午前8時過ぎに干潟上にいるのを確認したが、午前11時頃には沖合干潟に移動していた。昨日、三番瀬にてダイシャクシギ5羽を確認したことから当地で越冬中であったダイシャクシギも移動したのではないかと考えていたが留まっているようである)
○タシギ               1羽(淡水池) 
○カワセミ             1羽(♀と思われる個体。汽水池西側水門近くのアシ原際に休止しているのを見ることができた)
○タヒバリ              3羽(渚周辺堤防付近で見られた)
○ジョウビタキ            1羽(♀タイプ。淡水池付近)
○ルリビタキ             1羽(♀タイプ。公園西側)
○イソヒヨドリ            1羽(♀タイプ。午前11時半過ぎに東西渚間水路沿いの東渚側堤防に現れた)
○アカハラ               2羽(公園西側など)
○シロハラ               3羽(公園西側など)
○ツグミ              約45羽(淡水池付近など。芝生上に群れていた)
○オオジュリン         約20羽(観察センター横の汽水池付近など。夏羽へ換羽中の個体も見られた)
○カケス               1羽(汽水池付近)
○シメ                 1羽(公園西側。地上に降りて採餌していた)

以上。



【2010年3月20日】

※葛西臨海公園(8:20〜12:20)
 到着時は満潮を過ぎて干潟が広がり始めているところであった。午前10時頃までは風も弱く好天であったが、午前10時過ぎから突然南西の強風が吹き荒れ始めた。最初に公園中央部を経由して水路護岸を回った後、西渚観察ポイントで探鳥したが、強風のため午前10時過ぎに切り上げて鳥類園に回った。その後も強風は収まらず京葉線の運行にも影響が出てきたことから正午過ぎに切り上げた。特段変わったものは見られなかったが、ホウロクシギを今季初認した。渚周辺には、まだスズガモの大群が集結し、夏羽となったカンムリカイツブリ、ハジロカイツブリも多く残っていた。大型カモメ類は約50羽が見られたが特に変わったものは確認できなかった。なお、風下では陽光に誘われて越冬中のルリタテハなどが見られた。主なものは次のとおり。

○ミサゴ              1羽(東渚周辺。♀と思われる個体。午前9時頃に渚周辺に飛来した)
○トビ                2羽(渚周辺。午前10時頃に2羽が揃って上空に飛来し、東渚干潟上などの漂着した魚を採食していた。一時的にチュウヒやカラスと争ったりしていた)
○チュウヒ             1羽(東渚など。午前9時半頃にアシ原付近から広がった干潟に進入し、ホバリングを繰り返しながら浅水域のカモ類をねらったが狩りには成功せず、いったん水路を越えて鳥類園方面に去った。その後、午前10時頃になって東渚干潟に再度出現し漂着した魚を採食した。トビやハシボソガラスに付きまとわれた)
○オオタカ             1羽(亜成鳥と思われる個体。公園中央部上空。午前8時半頃に公園上空を帆翔しながら東から西の観覧車方面に移動していたが、観覧車付近で急旋回して戻り公園中央部上空から淡水池上空に向かった)
○シロチドリ          約20羽(西渚。午前9時頃までは西渚砂地で休んでいた)
○ハマシギ         約340羽(東渚など。午前10時頃のハマシギ・シロチドリ群のカウント数は359羽であった。なお、午前9時頃までは西渚砂地でも42羽が休んでいた)
○ホウロクシギ           1羽(西渚など。午前9時頃に西渚の荒川よりを飛翔してその後堤防付近に休止する個体を確認することができた。午前9時半過ぎには同一個体と思われるものが東渚干潟上で確認できた。なお、今冬越冬中であったダイシャクシギは確認できなかった)
○アオアシシギ           1羽(観察センター付近。午前10時半過ぎにアオアシシギとオオハシシギと思われる2羽がセンター付近を飛翔しているのを見ることができた。擬岩付近に向けて飛翔していたことから汽水池に急行したが見当たらなかった)
○オオハシシギ          1羽(アオアシシギとともに一時的に見られた)
○セイタカシギ          1羽(汽水池。例年であれば集結する時期であるが、個体数も少ないままに推移している)
○タヒバリ              2羽(西渚周辺)
○ジョウビタキ            1羽(♀タイプ。公園中央部)
○イソヒヨドリ            2羽(♂成鳥と♀タイプの個体。西渚周辺)
○トラツグミ             1羽(汽水池南側樹林地林床部)  
○シロハラ              3羽(公園西側など)
○ツグミ              約30羽(公園中央部など。芝生上に群れていた)
○オオジュリン            2羽(淡水池アシ原)

以上。



【2010年3月22日】

※葛西臨海公園(7:20〜11:40)
 到着時は満潮であったが潮位は比較的低く、いくらか干潟は残っており、午前9時過ぎからは干潟が再び広がり始めた。晴天であったが北西風がやや強く吹いた。最初に鳥類園を回った後、午前9時過ぎから水路護岸を経由して西渚観察ポイントで探鳥した。特段変わったものは見られなかったがツバメを今季初認した。昨日午前5時頃には淡水池南端に設置されたアメダス(「江戸川臨海」)で最大瞬間風速35.2m(最大平均風速としても27m)を記録したとのことで、西渚テントのひとつが暴風に破られていた他、園内にも倒木や枝が吹き飛ばされた木々が散見された。主なものは次のとおり。

○ウミアイサ           4羽(旧江戸川河口周辺。♀と思われる個体。午前8時半頃に確認できた)
○チュウヒ             1羽(東渚。午前8時半過ぎに東渚アシ原上空を飛翔しているのが見られた。その後も午前9時半頃になって干潟上に出現しユリカモメ群を飛ばした)
○ハイタカ             1羽(汽水池。♀成鳥と思われる個体。午前8時頃に擬岩東側の雑木上に休止しているのを見つけた。しばらくして飛び立ち汽水池南側樹林地に進入し、その後は確認できなかった。なお、同時刻頃に淡水池付近でもハイタカ類が確認されたとのことであった)
○コチドリ             1羽(公園西側。上空を飛翔しているようで鳴き声が時折聞こえたが視認できなかった) 
○シロチドリ            2羽(東渚。午前9時半頃に確認できた)
○ハマシギ           42羽(東渚など。午前9時半頃には42羽が東渚西側堤防南端テトラポッド上に休んでいた。干潟が広がり始めた後は東渚干潟にも飛来していた)
○アオアシシギ          1羽(旧江戸川舞浜側アシ原育成地付近。午前8時頃にオオハシシギとともに育成地鋼板上に休んでいるのが確認できた)
○オオハシシギ          1羽(アオアシシギとともに見られた。いただいた情報によるとハイタカが居残っていることもあり汽水池にはほとんど飛来しないようである)
○コゲラ               1羽(公園西側)
○タヒバリ              1羽(西渚・渚橋周辺)
○ジョウビタキ            2羽(♀タイプ。公園中央部と西側で各1羽)
○ルリビタキ             1羽(♀タイプ。公園西側)
○アカハラ              1羽(公園西側)  
○シロハラ              4羽(公園西側など)
○ツグミ             約10羽(公園中央部など)
○クロジ                1羽(公園西側。♂若鳥であった)
○オオジュリン           12羽(淡水池・汽水池アシ原)



ハイタカ(♀成鳥と思われる個体)
2010年3月22日
葛西臨海公園(汽水池)



【2010年3月27日】

※谷津干潟(8:40〜13:50)
 シギ・チドリ類の移動も本格化してきたものと思い谷津干潟を訪問した。到着時は干潮に向け大きく干潟が広がり始めているところであった。正午前に最も大きく干潟が広がり、その後は再び潮位が上がった。シギ・チドリ類の数は多くなってきており、種類も多くなってきているようであった。カモ類はコガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、オナガガモはいずれも100羽を超える数が留まっていた。なお、昨日まで見られたというズグロカモメは確認できなかった。主なものは次のとおり。

○ヒドリガモ×アメリカヒドリ     3羽(♂3羽。干潟北東側など)
○コガモ(亜種:アメリカコガモ)   1羽(♂1羽。干潟西端部)
○ツバメ              約10羽(淡水池など。水面をこするように飛翔していた)  
○シロチドリ              8羽(干潟東側。当初は見られなかったが、正午前から飛来し始めた)
○メダイチドリ              2羽(干潟東側。換羽中の個体。正午過ぎに確認できた)
○ダイゼン               87羽(到着時にも50羽前後が見られたが、午前11時過ぎに29羽が追加飛来した。干潟北東側に多かった。いくらか換羽が進んできている個体も見られた)
○トウネン                1羽(干潟北側。ハマシギ群中に見られた)
○ハマシギ            2192羽(干潟北側など。午前9時頃にかけて三番瀬方面から群が次々に飛来した。午前11時半頃にカウントしたところ2000羽を超えていた)
○オオソリハシシギ          1羽(干潟北側から北東側にかけて採餌していた)
○ホウロクシギ             1羽(干潟北東側から東側にかけて採餌していた)
○セイタカシギ            11羽(谷津バラ園側で散らばって採餌していたが、正午過ぎからは干潟西端部に集結し休息していた)
○カワセミ               1羽(又は2羽。淡水池から観察センター、さらには干潟南東端導水路にかけて、往来するのを4回ほど見ることができた)
○ジョウビタキ              1羽(♀タイプ。淡水池)
○イソヒヨドリ              1羽(♂成鳥。淡水池付近。午前9時半頃に淡水池内柵やハンノキに休止するのを見ることができた。谷津干潟でもイソヒヨドリを見ることはあるが、淡水池付近で♂成鳥を見るのは初めてであった)
○アカハラ                1羽(淡水池樹林地)  
○シロハラ                2羽(淡水池付近など)
○ツグミ                  3羽(淡水池付近など)
○オオジュリン           約10羽(淡水池や観察ポイント付近アシ原)

以上。



ホウロクシギ
2010年3月27日
谷津干潟(干潟北東側)
後方に見えるのはダイゼン



コガモ(亜種アメリカコガモ)
2010年3月27日
谷津干潟(干潟西端部)



【2010年3月28日】

※葛西臨海公園(7:20〜10:00)
 到着時は午前10時頃の干潮に向けて干潟が大きく広がっているところであった。干潮時の潮位は低く、午前10時頃には沖合干潟も姿を現した。薄日が差したものの、冷たい北東風がやや強く吹き寒かった。最初に公園中央部・渚橋付近を回った後、鳥類園で探鳥した。その後西渚観察ポイントには回らず公園西側にて切り上げた。特段変わったものは見られなかったが、東渚のセグロカモメ群50羽中にシロカモメを確認することができた。なお猛禽類は確認できなかった。主なものは次のとおり。

○ウミアイサ           4羽(旧江戸川河口周辺。♀と思われる個体。カキ礁付近で採餌しているようであった)
○シロカモメ            1羽(成鳥と思われる個体。東渚のセグロカモメ群中)
○ツバメ              2羽(淡水池など)
○クイナ              1羽(汽水池。カキの生えている付近を動き回り、よくカニを採取していた)
○コチドリ             4羽(汽水池。よく鳴いていた) 
○シロチドリ          約12羽(東渚)
○ハマシギ         約300羽(東渚。午前8時頃の推計数)
○タシギ               1羽(淡水池。午前9時過ぎに観察センター前のアシ原際に1羽のみ潜んでいた)
○カワセミ               2羽(汽水池)
○ジョウビタキ             2羽(♀タイプ。公園西側)
○アカハラ               3羽(公園西側など)  
○シロハラ               4羽(公園西側など)
○ツグミ             約50羽(公園中央部など)
○オオジュリン            18羽(淡水池・汽水池アシ原。多かった)
○カケス                 1羽(汽水池。ドングリを食べていた)

以上。