2007年5月 Torio&Torikoのフィールドノート 目次に戻る  top↑


【2007年5月12日】

※葛西臨海公園(8:30〜13:30)
 到着時は既に干潮を過ぎて潮位が上がり始めているところであった。最初に鳥類園・汽水池付近で探鳥し、午前10時頃から西渚観察ポイントで渚周辺の探鳥を行い、正午前には再び鳥類園に戻って午後1時過ぎまで探鳥した。情報をいただいたりして期待以上にシギ・チドリ類を見ることができた。渚周辺はユリカモメとアジサシ類が群れていた他、セグロカモメ類も約30羽が集結していた。冬鳥類はほとんどいなくなってしまったようで、わずかにアオジ2羽とカケス1羽の声が聞かれただけであった。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ        1羽(夏羽個体。東西渚間水路)
○アジサシ         約500羽(東渚周辺。午前10時過ぎの推計数。コアジサシやユリカモメに混じって干潟で休んだり舞い上がったりしていた)
○コアジサシ        約200羽(東渚周辺。午前10時過ぎ推計数。西渚や水路周辺にもよく飛来していた)
○アマサギ             1羽(淡水池西側。午後1時頃に樹木上に休んでいるのを見つけた。頭部にわずかに橙黄色の羽が見られたが冬羽に近い印象であった)
○チュウサギ            1羽(淡水池南側。午前8時半過ぎに淡水池南側から飛んで、淡水池中央部近くの低木上に休止した。ほぼ冬羽の個体であった)
○ミヤコドリ           22羽(東渚。午前11時頃のカウント数。午前10時頃には8羽しか確認できなかったが、その後中央丘西側に次々に飛来して集結し、一部は草地に入って採餌行動を取っているようであった。三番瀬個体群のミヤコドリが干潟やカキ礁以外で採餌するのを見たのは初めてであった。若鳥が多いように思われたことから、越夏群を形成していくものと思われる)
○コチドリ             3羽(汽水池)
○シロチドリ            4羽(東渚)
○ダイゼン             3羽(東渚。若鳥と思われる個体で、1羽は全く胸部の黒色が見られなかった)
○トウネン             1羽(東渚。ハマシギ群中。もっといたものと思われるが、遠方のものは識別困難であった)
○ウズラシギ            1羽(汽水池。ほぼ夏羽と思われる個体。ハマシギと行動をともにしていることが多く、潮位が上昇した午後1時過ぎにはハマシギ群とともに石塁上で休んでいた)
○ハマシギ         約250羽(汽水池、東渚など。全体的な数は少なくなってきているようであった。汽水池には最大50羽前後が飛来していた他、午後1時過ぎには水路護岸で休んでいる92羽の群も見られた。また、西渚干潟にも飛来していた。東渚と汽水池とを移動していた)
○ミユビシギ            1羽(東渚。夏羽に換羽中の個体が一時的に観察できた)
○オバシギ             2羽(東渚。遠方であったが、飛翔している2羽を確認することができた。6羽前後がハマシギ群に混じっているようであったが遠方で確認しづらかった)
○ソリハシシギ           4羽(汽水池。午後1時頃のカウント数。キアシシギやハマシギ群とともに石塁上で休んでいた)
○キョウジョシギ        約10羽(東渚など。汽水池に1羽、水路護岸にも2羽が飛来していた)
○アオアシシギ           7羽(汽水池。午後1時頃のカウント数。午前中は渚周辺でも鳴き声が聞かれたことから、東渚と汽水池を移動しているものと思われた)
○キアシシギ         約30羽(汽水池で22羽を確認した他、渚周辺でも見られた。干潟が冠水した後は棒杭上で休む個体が多かった)
○オオソリハシシギ         1羽(汽水池。♀タイプと思われる個体)
○ホウロクシギ           2羽(東渚。1羽は腰のパターンを確認したが、もう1羽は確認できなかったのでダイシャクシギとの確実な識別はできていない) 
○チュウシャクシギ      約30羽(汽水池、渚周辺など)   
○タシギ              6羽(汽水池)
○セイタカシギ          22羽(汽水池)
○カケス              1羽(汽水池南側樹林地。午後1時過ぎにジェーと鳴いているのが聞かれたのみで視認できなかった)

以上。



ウズラシギ
2007年5月12日
葛西臨海公園(汽水池)



ミヤコドリ
2007年5月12日
葛西臨海公園(東渚中央丘西側)
草地に入って昆虫類を採餌しているように見えたが、はっきりとは確認できなかった。



アマサギ(わずかに夏羽の個体)
2007年5月12日
葛西臨海公園(淡水池)


【2007年5月13日】

※葛西臨海公園(7:30〜13:50)
 到着時は干潟が大きく広がっているところであった。到着直後の駅前のサクラの木にセンダイムシクイが飛来していたことから、最初に公園西側を回って渚橋付近で探鳥した後鳥類園に向かった。しかしながら、わたりの小鳥類は見つからず、水路周辺や鳥類園での水鳥類を中心に探鳥することになった。午前10時過ぎに観察センターで小休止していたところで、汽水池南側でツメナガセキレイらしき個体が出現したとの情報をいただき、現場に急いだが、我々は見ることができなかった。観察センターのレンジャーの方々によって観察撮影されており、映像を見させていただいたが、キタツメナガセキレイと同定できる個体が干潟上に短時間舞い降りていたようであった。その後も汽水池周辺で探索したが見られなかった。ツメナガセキレイは当地では2001年4月29日にキマユツメナガセキレイが記録され、我々も観察しているが、それ以来の記録と思われる。他は昨日とほぼ同様であったが、汽水池のウズラシギは本日は見られなかった。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ        2羽(夏羽個体。水路と東渚付近)
○アジサシ        約1000羽(東渚周辺。午前8時半頃のカウント数は981羽であった。視界が遮られたことや正午頃には南風がやや強く吹いて個体数が多くなったように思われたことから、もっといたものと思われる。ユリカモメやコアジサシに混じって干潟で休んだり舞い上がったりしていた)
○コアジサシ         約50羽(東渚周辺。午前8時半頃のカウント数は48羽であった。西渚や水路周辺にも飛来していたので、もっといたものと思われる)
○ミヤコドリ          約10羽(東渚。午前8時半頃のカウント数。視界が遮られたことから、もっといた可能性もあった。なお、正午過ぎには舞浜沖方面へ飛び去る個体も見られた)
○コチドリ             6羽(公園西側、汽水池)
○トウネン             8羽(水路護岸、東渚。ハマシギ群中に見られた)
○ハマシギ         約150羽(汽水池、東渚など。水路護岸や西渚に飛来している群も見られた)
○ミユビシギ            5羽(西渚。渚橋から観察できた)
○ソリハシシギ           4羽(汽水池)
○キョウジョシギ          2羽(水路護岸など)
○アオアシシギ           9羽(汽水池など。正午頃のカウント数。潮位が上がるにつれて東渚から汽水池に飛来する個体が目立った)
○キアシシギ         約35羽(汽水池や渚周辺)
○オオソリハシシギ         2羽(東渚と汽水池で各1羽。汽水池の個体は正午頃に観察センター横を飛翔して東渚方面に移動した)
○ダイシャクシギ          1羽(東渚。午前8時過ぎに視認したが色調からみてダイシャクシギと思われた) 
○チュウシャクシギ      約30羽(汽水池、渚周辺など。午前8時半頃までは公園中央部クリスタルビュー前の草地に5〜6羽の小群が降りて採餌するのが見られた)   
○タシギ             10羽(汽水池)
○セイタカシギ          14羽(汽水池。観察センター横の湿地にはペアが時折飛来しては営巣作業と思われるような動きを繰り返していた)
○カワセミ             2羽(汽水池。水門付近などで採餌行動を取っていた。同時に2羽が確認できた)
○センダイムシクイ        1羽(探鳥開始直前に駅前のサクラの木に飛来したのを確認することができた)

以上。


【2007年5月20日】

※葛西臨海公園(7:20〜12:20)Torioのみ
 到着時は満潮を過ぎて潮位が下がり始めているところであった。東渚干潟は午前8時頃から広がり始め、午前11時頃からは沖合いにも広大な干潟が出現した。最初に渚橋付近の護岸周辺で探鳥した後鳥類園に向い、午前10時頃から西渚観察ポイントで約1時間ほど渚周辺の探鳥を行い再び鳥類園・汽水池に戻って切り上げた。渚周辺は水鳥の数が多くなってきており、遠方であったがクロハラアジサシ、ハジロクロハラアジサシを確認することができた。また、シギ・チドリ類もかなりの種類が残っていた。カモメ類は成鳥はほとんど見られず、オオセグロカモメ、ウミネコ、ユリカモメの若鳥が多かった。汽水池ではササゴイが見られた。なお、観察センター横の湿地で営巣行動を取っていたセイタカシギのペアは抱卵に入っていた。また、東渚干潟上でハシブトガラスがアジサシを貪っていた。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ        5羽(夏羽個体。水路、西渚、東渚)
○クロハラアジサシ        2羽(成鳥夏羽と思われる個体。午前9時半頃に西渚沖合いから西渚内に向かって進入してくる2羽が見られた。遠方であったため、西渚に急行したが付近には見られなかった。進行方向からすると荒川を遡行していったのではないかと思われた)
○ハジロクロハラアジサシ    1羽(成鳥夏羽と思われる個体。午前10時頃に東渚内に舞い降りているアジサシ群中にいるのが見られた。時折、アジサシ、コアジサシとともに舞い上がったりしていた。その後1羽のみで飛び立って旧江戸川河口方面に向かい、見失ってしまった)
○アジサシ        約2000羽(東渚周辺。午前10時頃の一部カウントのうえでの推計数。午前8時頃には西渚内堤防や棒杭上にも約200羽が休んでおり、干潟上に降りているものと合わせて約1000羽であったが、その後沖合いから次々に飛来して数が多くなってきていた)
○コアジサシ        約200羽(渚周辺。午前9時半頃のカウント数。西渚や水路周辺にも飛来していた)
○イワツバメ         約10羽(公園中央部と鳥類園で、移動する3羽と6羽の小群を見た他、駅高架周辺で2羽が見られた)
○ササゴイ             1羽(汽水池。成鳥と思われる個体。正午頃には擬岩周辺で盛んに採餌行動を取っていた)   
○ミヤコドリ            12羽(東渚。午前10時半頃のカウント数。比較的近距離の個体で確認したところでは嘴の前半部に黒味があり若鳥と思われた。越夏群を形成するものと思われる)
○コチドリ             4羽(汽水池)
○シロチドリ            6羽(東渚)
○メダイチドリ           1羽(夏羽個体。水路護岸のハマシギ・トウネン混群中に混じっていた)
○ダイゼン             3羽(東渚。若鳥と思われる個体)
○トウネン           約10羽(夏羽個体。ハマシギとともに水路護岸に5羽が飛来していた他、東渚上のハマシギ群中にもいくらか確認することができた)
○ハマシギ         約250羽(汽水池、東渚など。午前8時頃には水路護岸にも飛来していた。なお汽水池内の個体数は20羽前後であった)
○ミユビシギ            3羽(東渚。トウネンやハマシギと並んだりしながら採餌していた)
○ソリハシシギ           5羽(汽水池)
○キョウジョシギ        約10羽(水路護岸、西渚堤防付近など)
○アオアシシギ           4羽(汽水池で2羽が見られた他、水路上空を鳴きながら飛翔する個体や東渚内の潮溜まりで採餌する個体も見られた)
○キアシシギ         約20羽(汽水池や渚周辺)
○ダイシャクシギ          2羽(東渚。午前10時半頃に2羽を揃って確認することができた。1羽はダイシャクシギであることが確認できたが、もう1羽は観察条件が悪くホウロクシギとの正確な判別はできなかった) 
○チュウシャクシギ     約120羽(汽水池、渚周辺など。汽水池にも最大6羽が飛来していた。また、渚周辺を小群がよく飛び回っていた。午前10時半頃には旧江戸川河口のカキ礁に110羽が飛来しているのが見られた)   
○セイタカシギ          12羽(汽水池)
○カワセミ             1羽(汽水池)
○ヤマガラ             1羽(汽水池南側樹林地。マツの木から声は聞こえたが視認することはできなかった)

以上。



メダイチドリ(夏羽個体)
2007年5月20日
葛西臨海公園(水路護岸)
ハマシギ・トウネン群とともに水路護岸に降りていた。



ササゴイ(成鳥夏羽と思われる個体)
2007年5月20日
葛西臨海公園(汽水池)
上空をカラスが通過した際に冠羽を逆立てた。


【2007年5月26日】

※葛西臨海公園(8:40〜12:20)
 到着時は干潮を過ぎて潮位が上がり始めているところであった。最初に西渚観察ポイントに向かい約1時間半ほど渚周辺の探鳥を行い、その後鳥類園で探鳥した。わたりの水鳥の数は少なくなってきているようで、特に変わったものは見られなかったが、ヨシゴイを初認することができた。なお、ミヤコドリは見られなかった。カモメ類はオオセグロカモメの若鳥が30羽前後残っていたが、ユリカモメは10羽前後まで少なくなってきていた。これに対しウミネコ若鳥約200羽の群が飛来していた。なお、観察センター横の湿地で抱卵中のセイタカシギのペアの巣では4卵が確認できた。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ        4羽(夏羽個体。西渚、東渚)
○アジサシ         約400羽(東渚。午前10時頃のカウント数)
○コアジサシ        約300羽(渚周辺。午前10時半頃のカウント数。西渚や水路周辺にも飛来していた他、駅付近上空を飛翔する個体も見られた)
○ヨシゴイ             1羽(東渚。午前9時半頃にアシ原西側を飛翔してアシに休止するのが見られたが、まもなく潜り込んでしまった。今季初認であった)   
○コチドリ             2羽(汽水池)
○シロチドリ            6羽(東渚。一時的に西渚干潟にも飛来していた)
○ダイゼン             1羽(東渚。若鳥と思われる個体)
○ハマシギ            18羽(東渚。午前9時過ぎのカウント数)
○ソリハシシギ           7羽(東渚、汽水池)
○キョウジョシギ           3羽(東渚、水路護岸)
○アオアシシギ           2羽(又は4羽。東渚でも2羽が見られたが、汽水池で4羽を確認した)
○キアシシギ         約50羽(東渚、汽水池の他渚周辺でも見られた。多くの個体がまだ留まっている)
○オオソリハシシギ         2羽(東渚)
○チュウシャクシギ         8羽(汽水池、渚周辺など。汽水池でも2羽が見られた)
○セイタカシギ           6羽(汽水池)

以上。

カルガモ(雛を連れた♀と思われる個体)
2007年5月26日
葛西臨海公園(淡水池)

セイタカシギ(抱卵中の♂♀ペア)
2007年5月26日
葛西臨海公園(汽水池:観察センター東側)


【2007年5月27日】

※船橋三番瀬海浜公園(7:50〜10:00)
 到着時は干潮であったが、潮位は比較的高く午前9時過ぎからは南風とともに干潟が急速に狭まってきた。市川側干潟から開始し、その後船橋側に移動して探鳥した。シギ・チドリ類の名残りとアジサシ類が見られたが、特に変わったものは見られず、ミヤコドリも確認できなかった。ユリカモメを主とするカモメ類はいずれも若鳥で、オオセグロカモメ、ウミネコもともに船橋港方面の堤防周辺に集結していた。なお、死後数日を経過したと思われるハシボソミズナギドリの漂着死体1羽を見ることができた。昨日、葛西臨海公園西渚でもそれらしき漂着個体が確認されていることから、例年のようにハシボソミズナギドリの群が東京湾に入ってきていたものと思われる。主なものは次のとおり。

○アジサシ            約20羽(正面干潟、船橋港側干潟など。市川側干潟では、一時的にコアジサシとともに10羽前後が舞い降りていた)
○コアジサシ          約100羽(正面干潟、船橋港側干潟など。午前8時過ぎには市川側干潟上に30羽を超える群がアジサシとともに舞い降りていた他、汀線沿いを飛翔したりする個体が見られた)
○シロチドリ            12羽(正面干潟)
○メダイチドリ           10羽(市川側干潟に多かった。夏羽個体がほとんどであった)
○ダイゼン              7羽(若鳥。市川側干潟)
○トウネン              7羽(夏羽個体。正面干潟) 
○ハマシギ              4羽(正面干潟。夏羽個体3羽の他に冬羽個体が1羽見られた)
○ミユビシギ            18羽(正面干潟。夏羽個体の他、換羽中と思われる個体も見られた)
○キョウジョシギ          12羽(正面干潟。夏羽個体)
○キアシシギ          約20羽(正面干潟など。まだ多く留まっていた) 
○オオソリハシシギ          8羽(正面干潟など)

以上。



アジサシ(左側)とコアジサシ(いづれも成鳥夏羽と思われる個体)
2007年5月27日
船橋三番瀬海浜公園(市川側干潟)