2006年12月 Torio&Torikoのフィールドノート 目次に戻る  top↑


【2006年12月3日】

※葛西臨海公園(7:30〜14:40)
 到着時は干潮に向けて東渚干潟が大きく広がっているところであった。最初に公園中央部を経由して渚橋付近で探鳥し、その後淡水池、汽水池と回った。午前10時半からは満潮に向けて潮位が上がり始めたことから西渚観察ポイントに向かい午後1時近くまで渚付近で探鳥を行った後、再び汽水池、淡水池に戻って切り上げた。いづれも遠方であったがクロツラヘラサギが飛来しているのを見ることができた他、トモエガモの群を確認できた。猛禽類も渚周辺では比較的見られた。カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリは数が多くなってきており、ハジロカイツブリは80羽前後の群が西渚水面内に進入してきていた。なお、ウミネコ、ユリカモメの数に比べて大型カモメ類は引き続き少なく、セグロカモメ12羽、オオセグロカモメ1羽が見られただけであった。小鳥類には大きな変化はなかった。主なものは次のとおり。

○トモエガモ           22羽(東渚。午前10時半過ぎにスズガモ群中の端に数羽が混じっているのを見つけた。群の一部は干潟に上がって休んでおり、カウントしたところ♂8羽と♀タイプ14羽からなる群であった。猛禽類の出現のたびに干潟付近から遠ざかったり戻ったりを繰り返した。距離は約300mあり、一時的に♀タイプの判別は困難であった。トモエガモは当地でも毎年のように確認されるが、一時的な通過のことが多く数も数羽のことが多い。昨冬は2006年2月4日に♂2羽、♀1羽を見ているが、それ以来であった)
○ミコアイサ            2羽(旧江戸川。午前9時頃にホシハジロ群近くにいるのを見ることができた。数日前から見られていたとのことであるが、我々は今季初認であった) 
○ズグロカモメ           1羽(水路護岸、東渚など。成鳥冬羽。午前8時頃までは渚橋東側の水路周辺や西渚干潟を飛び回っていた。また、正午過ぎには東渚干潟で採餌しているのが見られた)  
○ミサゴ               1羽(又は2羽。午前8時頃に1羽が東渚干潟内の棒杭上に休止し、その後は東渚上空を旋回したりしているのが見られた。午前11時半頃には大きな魚を捕らえた個体が西渚観察ポイント上空を経て舞浜沖に飛び去るのも見られた)
○トビ                1羽(又は2羽。東渚付近。午前8時頃と午前10時頃に上空を舞っているのが見られた)
○チュウヒ              1羽(東渚。余り飛ばず、午前8時頃に東渚アシ原上を短く飛翔するのを見ることができただけであった。いただいた情報によると、昨日は淡水池アシ原内の低木所上に休止した後オオバンを仕留めるのが見られたとのことであった)
○ハヤブサ              1羽(成鳥と思われる個体。午前11時頃に飛来したようで、シギ・チドリ類の飛び立ちに気付いて見回した時には干潟上に舞い降りており、獲物を食べ始めているところであった。約20分ほどで食べ終わり、その後は東渚舞浜側堤防の看板付近に移動して休んだ)
○チョウゲンボウ           1羽(♀タイプと思われる個体。午前10時過ぎに葛西臨海水族園上空にカラスが集まっていることから見上げたところモビングを受けているところであった。上昇旋回しながら北東方向に逃れた)
○クロツラヘラサギ         1羽(成鳥と思われる個体。到着直後に東渚干潟内の舞浜側堤防寄りに休んでいるのを見つけた。午前9時半頃から約30分ほど東渚干潟の汀線沿いで採餌行動を取ったが、その後は舞浜側堤防上で再び休んだことから、観察時間中はほとんど休んでいる状況であった。なお、羽を広げた際に風切の黒色が見えなかったことや嘴の色調から成鳥と思われたが、遠方のため断定はできなかった。約500mの距離があった) 
○クイナ               1羽(若鳥。淡水池周辺。午前9時過ぎに見ることができた)
○シロチドリ            82羽(東渚など。午前11時半頃のカウント数。もっといたものと思われる)
○ハマシギ            742羽(東渚など。午前8時過ぎのカウント数。視界が遮られたりしたことなどから、もっといたものと思われる。一部は西渚干潟にも飛来していた)
○エリマキシギ            1羽(汽水池。♂第1回冬羽と思われる個体。午後2時過ぎに擬岩付近で見ることができた。傷も癒えてきているようで活発に動き回って採餌していた。越冬中と思われる)
○アカアシシギ           1羽(汽水池。冬羽個体。引き続き留まっており、越冬中と思われる)
○オオハシシギ           3羽(旧江戸川舞浜側アシ原育成地付近。潮位が上がってきた午後2時頃に堤防護岸上でセイタカシギとともに休んでいるのが確認できた)
○タシギ              3羽(汽水池) 
○セイタカシギ           6羽(又は9羽。汽水池、旧江戸川舞浜側アシ原育成地付近。午後2時頃にはオオハシシギとともに旧江戸川舞浜側アシ原育成地付近の堤防護岸上で6羽が休んでいるのが見られた)
○カワセミ              2羽(淡水池)
○コゲラ               1羽(又は2羽。観察センター付近樹林地で視認できた他、汽水池北側樹林地でもギィーという特徴的な鳴き声が何回か聞かれた)
○タヒバリ              1羽(西渚観察ポイント付近)
○ジョウビタキ            3羽(♀タイプ。淡水池付近など)
○イソヒヨドリ            1羽(成鳥♂と思われる個体。旧江戸川京葉線鉄橋付近。我々は今季初認であった。なお、水路周辺で♀も見られたとのことであった)
○アカハラ              4羽(淡水池周辺など)
○シロハラ              4羽(公園中央部など)
○ツグミ              約20羽(公園中央部など。汽水池や東渚干潟に降りている個体も見られた。個体数が多くなってきていた)
○オオジュリン            6羽(淡水池、汽水池)
○ウソ                1羽(又は2羽。淡水池、汽水池周辺で3回ほど声を聞くことができたが視認することができたのは♀1羽のみであった)
○カケス               2羽(汽水池付近。鳴き声はかなり聞けたことから、もっといるものと思われる)

以上。



【2006年12月9日】

※葛西臨海公園(8:30〜12:20)
 到着時頃から降雨となり、久しぶりの雨中探鳥となった。このため、公園内で時々雨宿りしながら探鳥した。午前10時頃から干潟が広がり始めたが、雨のため視界が悪く遠方の探鳥は困難であった。最初に公園中央部を経由して渚橋付近で探鳥し、その後公園西側、汽水池、淡水池と回った。ツグミ類が目立ち、今季トラツグミを初認することができた他、カケス、ウソの小群も見れたが、他には特に変わったものは見られなかった。クロツラヘラサギは昨日まで見られているとのことであったが確認できなかった。また猛禽類は全く確認できなかった。その後も雨が続き、正午頃には北風が強まり気温も下がってきたことから切り上げた。主なものは次のとおり。

○シロチドリ             2羽(西渚。東渚内にもいたが、カウントできなかったことから、もっといたものと思われる)
○ハマシギ             72羽(西渚。正午頃のカウント数。東渚内にも多くの個体が飛来しているようであったが、カウントできなかったことから、もっとといたものと思われる。一部は水路護岸にも飛来していた)
○エリマキシギ            1羽(汽水池。♂第1回冬羽と思われる個体。引き続き越冬中と思われる)
○アカアシシギ           1羽(汽水池。冬羽個体。引き続き越冬中と思われる)
○タシギ               5羽(汽水池) 
○セイタカシギ            2羽(汽水池)
○カワセミ              1羽(汽水池)
○コゲラ               1羽(又は2羽。公園中央部と公園西側で確認できた。ギィーという特徴的な鳴き声が何回か聞かれた)
○トラツグミ             1羽(公園西側。芝生上に出てきて採餌していた。ツグミを追い回したりしていた)
○アカハラ              7羽(船着場周辺など。多かった。ハマヒサカキの果実に飛来していた)
○シロハラ              6羽(汽水池周辺など)
○ツグミ              約16羽(公園中央部など
○オオジュリン            4羽(淡水池)
○ウソ                5羽(又は9羽。午前9時半頃に公園中央部のサクラに飛来している5羽の小群が見られた他、淡水池、汽水池周辺で4羽の通過群も見られた。公園中央部で見られた5羽は全て亜種アカウソの♂で、サクラの越冬芽を食べていたが、下にも降りて採餌した)
○カケス              12羽(公園中央部、汽水池付近など。人出が少なかったせいか、ドングリ類を採餌する小群があちらこちらで見られた)

以上。


【2006年12月10日】

※葛西臨海公園(7:20〜13:40)
 到着時は満潮まぎわ。冠水した干潟は、午前10時頃に再び潮位が下がるとともに広がり始めた。最初に公園中央部を経由して渚橋付近で探鳥し、その後汽水池淡水池と回った。午前10時過ぎから午後1時近くまで西渚観察ポイントに向かい渚付近で探鳥を行った。その後再び淡水池に戻って切り上げた。渚周辺はスズガモ群に混じるカンムリカイツブリの数が2000羽前後まで多くなっていた。また、大型カモメ類もようやく数が多くなり、午後1時頃には干潟上に約50羽が集結していた。鳥類園ではミコアイサ(♂)が飛来していた。クロツラヘラサギは本日も確認できなかった。

○ミコアイサ            4羽(♂1羽、♀タイプ3羽。旧江戸川河口と汽水池。♂1羽♀1羽のペアは午前8時半頃に汽水池で見られたが、その後淡水池に移動しアシ原際で休んだりしていた。♂1羽は換羽中であったが、ほぼ繁殖羽であった)
○ウミアイサ            8羽(東渚周辺。正午過ぎに4羽づつの2群がスズガモ群近くにいるのが見られた。遠方であったが、♂と思われる個体は1羽のみで、その後旧江戸川河口方面に移動した。当地でこれだけのウミアイサの群が見られるのは珍しい)
○ワシカモメ            1羽(成鳥と思われる個体。東渚干潟上のセグロカモメ群中にいたようで、ミサゴに驚いて飛翔移動する際に気付いた。正午前には再び飛び立ち、観察ポイント近くを通過して若洲海浜公園方面に去った) 
○ズグロカモメ           1羽(水路護岸、東渚など。成鳥冬羽。午前8時頃までは渚橋東側の水路護岸周辺にユリカモメとともに見られ、時折飛び立ってはカニを採取していた。午前10時頃にも護岸や船着場付近にいたが、正午過ぎには東渚干潟で採餌しているのが見られた)  
○ミサゴ               2羽(午前10時頃から、西渚、東渚内の棒杭上でそれぞれ1羽が見られた。いづれも上空を舞ってはダイビングを繰り返したものの、なかなか魚を捕らえることができなかったが、正午頃になってどちらも狩りに成功し棒杭上で採食した)
○トビ                5羽(淡水池上空、東渚付近。午後1時半頃に淡水池上空を旋回しながら帆翔する小群が見られた。当地ではトビがこのようなタカ柱を形成するのは珍しいと思われる)
○ハヤブサ              1羽(成鳥。東渚舞浜側堤防など。午前11時頃にどこからともなく飛来していた。シギ・チドリ類を背にして羽繕いなどを行っていたが午後1時頃に飛び立って狩りに成功し、干潟上で採食した)
○チョウゲンボウ           1羽(午前8時半頃に舞浜方面から旧江戸川を越えて汽水池上空に飛来し、ホバリングを行ったものの北西方向に去って見えなくなった)
○クイナ               1羽(又は2羽。視認した個体の他、アシ原の別の場所でも鳴き声が聞けた。淡水池東側で視認した個体は若鳥であった)
○シロチドリ           216羽(東渚。正午頃のカウント数)
○ハマシギ            898羽(東渚など。正午頃のカウント数。一部は西渚干潟にも飛来していた。カウント時は観察条件がよく、かなり正確にカウントできた。当地のハマシギ・シロチドリ越冬群が今冬も1000羽を超えていることが確認できた)
○エリマキシギ            1羽(汽水池。♂第1回冬羽個体。越冬中と思われるが、アカアシシギと行動をともにしていることが多かった)
○アカアシシギ           1羽(汽水池。冬羽個体)
○オオハシシギ           3羽(旧江戸川舞浜側アシ原育成地付近。午前9時頃に確認できた)
○セイタカシギ           8羽(汽水池で4羽が見られた他、旧江戸川舞浜側アシ原育成地付近にも4羽がオオハシシギとともにいるのが確認できた)
○カワセミ              1羽(汽水池)
○タヒバリ              1羽(又は2羽。西渚周辺)
○イソヒヨドリ            1羽(♀と思われる個体。旧江戸川護岸周辺)
○アカハラ              6羽(淡水池周辺など)
○シロハラ              3羽(公園中央部など)
○ツグミ              約28羽(公園中央部など。芝生上に降りている個体も多くなってきていた)
○ヤマガラ              2羽(公園中央部)
○オオジュリン          約10羽(淡水池)
○ウソ                4羽(又は6羽。公園中央部、淡水池。じっくり見ることはできなかったが、公園中央部や淡水池西側で移動中の小群が見られた他、汽水池周辺でもよく声を聞くことができた)
○カケス               3羽(汽水池付近など)

以上。


【2006年12月17日】

※葛西臨海公園(7:20〜13:50)
 到着時は既に大きく干潟が広がっていた。午前10時頃から再び潮位が上がり始め、正午頃には干潟のほとんどが冠水した。最初に公園中央部を経由して渚橋付近で探鳥し、その後汽水池淡水池と回った。午前10時過ぎから正午近くまで西渚観察ポイントに向かい渚付近で探鳥を行った。その後再び汽水池、淡水池と回って切り上げた。ミミカイツブリを今季初認できた他、ヒガラを確認できたが、他はこれまでとほぼ同様であった。大型カモメ類は30羽前後で特に変わったものは見られなかった。ユリカモメの数は相変わらず多かったが、ウミネコも4羽(成鳥2羽、若鳥2羽)残っていた。また、カンムリカイツブリは引き続き2000羽以上と思われた他、200羽以上からなるハジロカイツブリの大群も2つ以上渚周辺に進入してきていた。主なものは次のとおり。

○ミミカイツブリ          1羽(冬羽個体。午前9時頃に旧江戸川の中央部付近で単独で採餌しているのを見つけた。今季初認であったが、護岸から約150mの距離があった) 
○ミコアイサ            4羽(♂1羽、♀タイプ3羽。旧江戸川河口と水路、淡水池。♂1羽♀1羽のペアは午前8時半頃に旧江戸川で見られた。♂1羽は繁殖羽となっていた)
○ズグロカモメ           1羽(水路護岸、船着場など。成鳥冬羽。干潟が冠水した午前11時頃から船着場付近の構造物にユリカモメとともに見られた。時折飛び立っては戻ることを繰り返した)  
○ミサゴ              2羽(到着時に沖杭で魚を採食している個体が見られた他、午前9時半頃からは東渚内や旧江戸川河口の棒杭上に休止しては上空を旋回する個体が見られた)
○トビ               2羽(午前10時過ぎに淡水池上空を西方向に移動する個体が見られた他、午前11時過ぎには東渚周辺を舞っては干潟に舞い降りた個体が見られた)
○チュウヒ             1羽(成鳥♂と思われる個体。午前9時半頃に淡水池に飛来し、アシ原内の低木上に休止した。その後、正午頃には淡水池上空から東渚に移動し、アシ原上を舞った後マツ上に休止するのが見られた)
○ハヤブサ            1羽(成鳥。東渚舞浜側堤防付近で見られた)
○チョウゲンボウ         1羽(成鳥♂と思われる個体。午前7時半過ぎに水路上空を通過して渚橋の上部に休止するのが見られた。水路上空ではホバリングするのが見られた)
○クイナ              1羽(又は2羽。視認した個体の他、汽水池アシ原の別の場所でも鳴き声が聞けた)
○シロチドリ           36羽(東渚。遠方のものはハマシギとの識別が困難であった。もっといたものと思われる)
○トウネン             1羽(東渚。ハマシギ群中にいるのが確認できた。ヨーロッパトウネンの可能性もあったが、200m以上遠方のため判別は困難であった)
○ハマシギ          1346羽(東渚など。午前11時半頃のカウント数。一部は西渚干潟にも飛来していた。遠方のものはシロチドリとの判別が困難であった)
○アカアシシギ           1羽(正午過ぎに旧江戸川舞浜側アシ原育成地後背護岸で、セイタカシギ・オオハシシギ群とともに休息しているのが確認できた。飛び立って移動する際に次列風切の白色部が見れた。なお、これまで一緒に見られていたエリマキシギが確認できなかった)
○オオハシシギ           3羽(旧江戸川舞浜側アシ原育成地後背護岸。正午過ぎに確認できた)
○タシギ              2羽(汽水池)
○セイタカシギ           6羽(旧江戸川舞浜側アシ原育成地後背護岸)
○カワセミ              1羽(汽水池。♀であった)
○ジョウビタキ            1羽(淡水池付近。♀タイプであった)
○トラツグミ             1羽(公園中央部。探鳥開始直後に見られた。地面から飛び立ってサクラの枝に休止したのを見ることができた。12月9日に確認した個体とは別個体と思われた)
○アカハラ              8羽(船着場付近、汽水池周辺など。ハマヒサカキに飛来している個体も2羽ほど見られた。多かった)
○シロハラ              2羽(公園中央部など)
○ツグミ             約15羽(公園中央部など。ハマヒサカキに飛来したり、芝生上に降りている個体も多かった)  
○ヒガラ               1羽(汽水池南側樹林地。ヤマガラ群とともに行動しているようであった。当地では、これまでもヒガラの小群が観察撮影されたことがあるが、我々が確認したのは初めてであった)
○ヤマガラ              6羽(公園中央部でも1羽が見られた他、汽水池南側樹林地で5羽の小群が見られた)
○オオジュリン            5羽(淡水池周辺)
○ウソ                2羽(公園中央部など。午前7時半頃にサクラに飛来しているのを見ることができた。淡水池、汽水池周辺でも声を聞くことができた。いただいた情報によると10羽前後が当地で越冬中と考えられているとのことであった)
○カケス               3羽(淡水池付近など)

以上。


【2006年12月23日】

※葛西臨海公園(7:40〜15:00)
 到着時は満潮。午前9時頃から干潟が広がり始め、午後1時頃にはかなり大きく広がった。最初に公園中央部を経由して渚橋付近で探鳥し、その後汽水池、淡水池と回った。午前11時過ぎから公園西側を回った後で西渚観察ポイントに向かい、午後1時過ぎまで渚付近で探鳥を行った。その後、淡水池でトモエガモが見られているとの情報をいただいたことから再び淡水池に戻って切り上げた。これまでとほぼ同様であったが、ミミカイツブリやヨーロッパトウネンを確認できた。大型カモメ類は30羽前後で特に変わったものは見られなかったが、今季初めてカモメを3羽見ることができた。ユリカモメの数は相変わらず多かったが、ウミネコも2羽残っていた。カンムリカイツブリはさらに多くなっているようで、西渚内水面にも約300羽がスズガモとともに休んでいた。また、500羽以上と思われるハジロカイツブリの大群が黒い塊となって西渚水面内に進入してきていた。主なものは次のとおり。

○ミミカイツブリ          1羽(冬羽個体。西渚北東側護岸先の水路内。盛んに潜水しては採餌していた。最短では約30mの距離で見ることができた。単独で行動していた)
○トモエガモ           6羽(淡水池。♂4羽♀3羽。西渚での探鳥中に教えていただき見ることができた。正午前に淡水池で確認されたとのことで、♂♀各4羽との情報もあった。当地では、12月3日に東渚において22羽の群を確認している)  
○ミコアイサ            1羽(♀タイプ。旧江戸川河口に近い水路内。ホシハジロ群中で休んでいた。12月17日にペアの見られた水域はシジミ取り漁が行われていた)
○ズグロカモメ           1羽(水路護岸、西渚など。成鳥冬羽。午前8時頃に護岸で休んでいるのが見られた。潮位が下がった後は東渚干潟で採餌しているのが見られたが、午後1時頃には西渚干潟にも飛来していた)  
○ミサゴ              2羽(又は3羽。午前9時頃に東渚内の棒杭で魚を採食している個体が見られた他、午前10時過ぎにも魚を捕らえて東渚内棒杭上に休止する個体が見られた。午後1時半過ぎには東渚上空を舞っていた)
○ハイタカ             1羽(午前8時過ぎにクリスタルビュー南側斜面地の棒杭上に休止しているのが見られたが、すぐに樹林地に潜り込んでしまった。その後も飛翔を一時的に見れたが、じっくりと見ることはできなかった。大きさから判断してハイタカであろうと判断したが、断定はできなかった。斜面地のコスモス畑跡地にはスズメが群れていたことから、これらをねらっていたものと思われた)
○チョウゲンボウ          1羽(午前8時過ぎに西方向から飛来し、護岸上空を通過して舞浜方面に去った)
○ヒメアマツバメ          4羽(午前9時過ぎに汽水池上空を飛翔しているのが見られた。久しぶりに確認できた)
○シロチドリ          192羽(東渚。遠方のものはハマシギとの識別が困難であった)
○ヨーロッパトウネン        1羽(水路護岸。午前8時頃にハマシギ5羽とともに冠水した護岸付近で採餌していた。近距離で観察できたが、11月26日に確認した個体とは別個体のように思われた)
○ハマシギ           964羽(東渚など。正午過ぎのカウント数。視界が遮られたり、カウント途中で一部飛び立たれたりしたことからもっといたものと思われた)
○アカアシシギ           1羽(午前9時半頃に旧江戸川舞浜側アシ原育成地の鋼板柵上にオオハシシギ群とともに休息しているのが確認できた。近くにセイタカシギも見られたが、エリマキシギは確認できなかった)
○オオハシシギ           3羽(旧江戸川舞浜側アシ原育成地の鋼板柵上。午前9時半頃に確認できた)
○セイタカシギ           7羽(旧江戸川舞浜側アシ原育成地付近)
○カワセミ              1羽(汽水池)
○コゲラ               1羽(汽水池南側樹林地。鳴き声を聞くことができたが、視認することはできなかった)
○ジョウビタキ            1羽(淡水池付近。♀タイプ)
○アカハラ              6羽(公園中央部、汽水池周辺など)
○シロハラ              2羽(公園中央部など)
○ツグミ             約20羽(公園中央部など。芝生上に降りている個体も多かった)  
○ヤマガラ              5羽(公園中央部、汽水池付近など)
○オオジュリン          約10羽(淡水池周辺。好天だったこともあり、アシ原で採餌する姿がよく見られた)
○ウソ                8羽(公園中央部、公園西側など。到着直後に6羽がサクラに飛来しているのを見ることができた。♂4羽、♀2羽の群であった。サクラの芽を盛んに採食していた。また、午前11時半頃には公園西側でアキニレとカエデの実を採食している♂若鳥2羽が見られた。いただいた情報によると、数日前には最大12羽が確認されているということで、引き続き越冬中と思われる)
○カケス               3羽(淡水池付近など。視認できたのは3羽であったが、公園西側や汽水池付近でもジェージェーという鳴き声を聞くことができた)

以上。



ヨーロッパトウネン
2006年12月23日
葛西臨海公園(水路護岸)



ミミカイツブリ(成鳥冬羽)
2006年12月23日
葛西臨海公園(西渚北東側護岸先水路内)



トモエガモ(♂)
2006年12月23日
葛西臨海公園(淡水池)



【2006年12月24日】

※船橋三番瀬海浜公園(7:50〜11:50)
 久しぶりに三番瀬で探鳥を行った。到着時は満潮間近で、再び干潟が広がり始めたのは午前10時過ぎからであった。海岸部には谷津干潟と同様に大量のアオサが発生しており、正面干潟の汀線沿いに打ち寄せられて厚く堆積していた。シギ・チドリ類は数的には多かったものの、特段変わったものは見られなかった。カモメ類は300羽前後のセグロカモメ、オオセグロカモメが堤防上で休んでいたが遠方であった。また干潟への飛来はなく、ズグロカモメの飛来もなかった。カモ類は沖合いのスズガモ群はいつもの年に比べて少ないように思われた。なお、アオサの堆積場所付近にはオナガガモなどのカモ類にオオバン、ツグミ、タヒバリなどが群集していた。主なものは次のとおり。

○ホオジロガモ         約15羽(♂5羽。堤防内水面にも♂♀各3羽が見られた。沖合いにはもっと見られたが、遠方であった)
○ビロードキンクロ          1羽(♂成鳥。堤防内水面のスズガモ群中に見られた。この数年飛来している個体と思われる)
○ウミアイサ             5羽(♂3羽、♀タイプ2羽。堤防内水面にも♂2羽が見られた)
○チョウゲンボウ           1羽(探鳥開始前の午前7時半頃に二俣新道の倉庫横の空地で地面に降りて採餌していたカワラヒワの群を襲ったが狩りに失敗し南西方向に飛び去った。♀と思われる個体であった)
○ミヤコドリ            135羽(船橋港側堤防上。午前11時頃のカウント数。かなり干潟が広がった午前11時半になっても正面干潟には飛来しなかった。遠方であった)
○シロチドリ             82羽(午前10時頃の堤防上でのカウント数)
○メダイチドリ             1羽(午前11時頃に干潟上に見つけた。ハマシギ、シロチドリ、ミユビシギ、ダイゼンからなる越冬個体群に混じっていたのは探した限りではこの1羽のみであった)
○ダイゼン             114羽(午前9時過ぎのカウント数。干潟が冠水している間は正面干潟の棒杭上で休んでいたが、干潟の広がりとともに飛来した)
○ハマシギ           約2000羽(落ち着かず、きちんとカウントすることはできなかった。堤防上で休んでいた時の一部カウントのうえでの推計数)
○ミユビシギ             34羽(午前9時過ぎのカウント数)
○タヒバリ             約40羽(アオサの堆積した周辺に飛来していた)
○ジョウビタキ             4羽(♀タイプ2羽を後背地アシ原周辺でみることができた。また、探鳥開始前に二俣新町駅前の植込み周辺で♂♀が揃って見られた。この2羽は追い出し行動などを示さず、ペアで行動しているように見えたが、冬期にこのような行動は珍しいのではないかと思われた)
○ツグミ             約50羽(アシ原などの後背地からアオサの堆積した周辺に飛来して採餌している個体が多かった。三番瀬でこれほどのツグミの群を見たのは初めてであった)
○オオジュリン            2羽(後背地アシ原付近)      


※谷津干潟(12:40〜15:10)
 到着時は干潟が大きく広がり始めているところであった。到着時にミサゴが上空を舞っていたが、カモ類やシギ・チドリ類は留まったり、すぐに戻ってきたりしていた。このところ見られているトモエガモが見られた他、ズグロカモメを見ることができた。ただ、アオサの除去作業が懸命に行われているものの、干潟全体が大量のアオサに覆われる状況は続いているようであった。カモ類の数自体は多く、シギ・チドリ類も探鳥を終える頃にはかなり多くなってきているようであった。なお、アメリカヒドリの♀が見られているとのことであったが、我々は確認できなかった。主なものは次のとおり。

○トモエガモ            1羽(♂1羽。12月8日から見られているとのことで干潟中央付近にいることが多かった。午後2時頃にはオナガガモ、コガモとともにアオサに首を突っ込むようにして採餌しているのを見ることができた。羽繕いなども行っていた) 
○ズグロカモメ           4羽(いづれも成鳥冬羽。午後1時半頃に4羽を同時に確認できたが、午後2時頃には3羽が干潟から飛び出し1羽となった。干潟上に舞い降りてはカニを採取していた。いただいた情報によると今季は最大5羽が確認されているとのことであったが、全て成鳥で若鳥は見られていないとのことであった)
○ミサゴ              1羽(到着直後に干潟上を舞っているのが見られたが、その後海岸部方面に去った。いただいた情報によると、この個体は谷津干潟上空付近を1時間近く舞って2回ほどダイビングも行ったものの狩りには成功しなかったとのことであった)
○チョウゲンボウ          1羽(午後1時半頃に観察センター横の淡水池上空に現れてホバリングを行い、淡水池付近に集まっていたヒヨドリ群を散らしたが、その後は干潟上空に進入した)
○シロチドリ            6羽(午後1時半過ぎのカウント数。その後も三番瀬方面からの個体群の飛来があったことから、もっといたものと思われる)
○ダイゼン            26羽(午後2時頃から飛来し始めた。午後2時過ぎのカウント数。その後も三番瀬方面からの追加飛来があった) 
○ハマシギ           506羽(午後1時半過ぎのカウント数。その後も三番瀬方面からの追加飛来があった。再カウントは行わなかったが約800羽程度は飛来していたのではないかと思われた)
○セイタカシギ           4羽(干潟東部)
○アカハラ             2羽(淡水池周辺)
○シロハラ             1羽(淡水池周辺)
○ツグミ               6羽(淡水池付近など)  

以上。


【2006年12月30日】

※葛西臨海公園(7:30〜10:20)
 到着時は干潮を過ぎたところで、その後徐々に潮位が上がり始めた。快晴であったが北西からの風が強かった。最初に公園中央部を経由して渚橋付近で探鳥し、その後汽水池、淡水池と回った。基本的にはこれまでと大きくは変わらなかったが、クロツラヘラサギが再び飛来していた。なお、小鳥類が減少したように感じられた他、淡水池のカモ類や東渚沖合いのスズガモ群も激減していた。26日に12月の一日雨量としては過去最高の150mmを記録した荒天が鳥相に変化を及ぼしたのかもしれないと思われた。大型カモメ類も少なかったが、ハジロカイツブリの群はさらに大きくなって西渚水面内に進入してきていた。なお、公園中央部芝生広場に群れていたスズメ群中に部分白化個体が見られた。主なものは次のとおり。

○ミミカイツブリ          1羽(冬羽個体。船着場から南方向の水路内。最初カモ群中で休んでいたが、その後盛んに潜水しては採餌していた。23日に見られた個体が留まっているものと思われた)
○ホオジロガモ          1羽(♀タイプ。水路内)  
○ミコアイサ            1羽(♀タイプ。旧江戸川水面)
○ズグロカモメ          1羽(又は2羽。水路護岸、西渚など。成鳥冬羽。午前8時頃に一時的に護岸に飛来しユリカモメとともに休んでいるのが見られた。その後は西渚干潟に移動したが、午前10時頃には東渚上空を舞っているのも見られた)  
○ノスリ              1羽(探鳥開始前の午前7時過ぎに新木場駅付近で、カラス数羽にモビングされながら夢の島公園方面に逃れるのが見られた)
○ハヤブサ            1羽(成鳥。午前8時過ぎに干潟上で見られた。脚で獲物を押さえ羽毛をむしっているところであった)
○クロツラヘラサギ        1羽(いただいた情報により見ることができた。午前9時半過ぎに東渚の西側堤防先端部付近のテトラポッド上でカワウ群中に休んでいるのを見ることができた。約600mの距離があった。同一個体かどうかはわからないが、今月初旬にも一時的に見られており、今回は昨日から見られているとのことであった)
○クイナ              1羽(淡水池東側) 
○シロチドリ           52羽(東渚など。午前8時半頃のカウント数。視界が一部遮られたので、もっといたものと思われる)
○ハマシギ           556羽(東渚など。午前8時半頃のカウント数。視界が一部遮られたので、もっといたものと思われた。また、西渚にも約80羽が飛来していた)
○ジョウビタキ            1羽(汽水池付近。♀タイプ)
○イソヒヨドリ            1羽(♂若鳥と思われる個体。午前8時半頃に船着場付近で見られた) 
○アカハラ              4羽(公園中央部、淡水池付近など)
○シロハラ              3羽(汽水池付近など)
○ツグミ             約12羽(公園中央部など。芝生上に降りている個体も多かった。なお、この他に到着直後に公園中央部から葛西臨海公園駅上空を越えて北方向に飛び去る6羽の群が見られた)  
○ヤマガラ              3羽(汽水池付近)
○オオジュリン           約6羽(船着場、淡水池周辺。船着場付近の個体は堤防上に休止したりした)
○ウソ                1羽(淡水池西側。探鳥終了間際に鳴き声を聞くことができた。2〜3羽の可能性もあったが姿を視認することはできなかった)


※谷津干潟(11:20〜12:20)
 到着時は既にかなり潮位が上がり、東側の干潟を残して大部分は冠水してしまっていた。このためかシギ・チドリ類も少なかった。ズグロカモメを見ることができたが、カモ類はかなり減少しており、トモエガモも確認できなかった。ただ閉園のため、観察センター付近での探鳥ができなかったことから淡水池に移動している可能性もあるものと思われた。主なものは次のとおり。

○ズグロカモメ           3羽(いづれも成鳥冬羽。正午頃に北東側干潟に3羽が揃ったのを見ることができた。いづれも干潟上を飛翔した後、舞い降りてはカニを採取していた。今季はこれまでのところ東京湾岸では若鳥を確認できていない状況が続いている)
○シロチドリ            4羽(北東側干潟)
○ハマシギ             7羽(北東側干潟。正午頃には飛び出して三番瀬方面に向かったようであった)
○セイタカシギ           7羽(干潟西端部)
○シロハラ             1羽(周回路周辺)
○ツグミ               4羽(周回路付近など)
○オオジュリン            2羽(干潟北西側のアシ原周辺)  

以上。