2006年6月 Torio&Torikoのフィールドノート 目次に戻る  top↑


【2006年6月3日】

※葛西臨海公園(8:30〜12:40)
 到着時は満潮であったが、小潮のため干潟は残っていた。しかしながら、水鳥達の姿はさらに少なくなっていた。公園中央部を経由して、午前9時の開門とともに西渚観察ポイント付近に移動し渚周辺の探鳥を行い、その後鳥類園で探鳥した。北東風がやや強く吹いた。午前9時過ぎからは干潟がさらに広がった。引き続き、クロツラヘラサギが見られた他、繁殖羽ではなかったもののサルハマシギが見られた。シギ・チドリ類は減少しており、セイタカシギは確認できなかった。カモメ類はオオセグロカモメの若鳥20羽とウミネコが見られた。公園内ではムクドリの巣立ち雛を連れた群がにぎやかに動き回っていた。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ         2羽(夏羽。東渚沖合い)
○コアジサシ            52羽(渚周辺。午前11時半頃のカウント数。西渚干潟や水路干潟にも飛来していた)
○ミサゴ                1羽(午前8時半頃に東渚上空を帆翔していたが、その後棒杭上に休止した。午前9時頃には再び飛び立ち東渚でダイビングを行ったが狩りには失敗し、西渚内の棒杭に休止した。羽がボロボロの♂と思われる個体であった)
○イワツバメ             4羽(淡水池辺)
○クロツラヘラサギ          1羽(東渚。若鳥と思われる個体。午前9時頃にミサゴに驚いて飛翔したが、その後は澪筋付近で休息していた。5月27日に確認されて以来、東渚に留まっているとのことであった)
○コチドリ              7羽(汽水池。午前11時過ぎには多くの個体が飛来し、にぎやかであった)  
○シロチドリ             2羽(西渚)
○ハマシギ              1羽(汽水池。夏羽個体)
○サルハマシギ           1羽(汽水池。わずかに褐色味を帯びていたが、ほとんど冬羽のように見えたことから第1回夏羽と思われた。いただいた情報によると、5月上旬頃にも一時的に見られたとのことで、ここ数日再び見られているとのことであった) 
○アオアシシギ            1羽(西渚など。東渚アシ原周辺にいたようで、午前9時半頃に一時的に西渚に飛来した)
○キアシシギ             1羽(汽水池)
○ダイシャクシギ           1羽(東渚。午前9時過ぎに見られた。先週から見られている個体と思われる。なお、ホウロクシギは見られなかった)

以上。

サルハマシギ(若鳥と思われる個体)
2006年6月3日
葛西臨海公園(汽水池)



【2006年6月4日】

※船橋三番瀬海浜公園(7:50〜9:40)
 到着時は満潮近くであったが、小潮のため干潟は残っていた。しかしながら、シギ・チドリ類の姿は多くはなかった。また、アジサシ類もコアジサシ以外には確認できなかった。カモメ類は貝殻島付近や堤防上にオオセグロカモメやウミネコの若鳥が見られただけであった。なお、ハシボソミズナギドリの死骸を1羽確認したが、頭部はすでに白骨化していた。主なものは次のとおり。

○コアジサシ          374羽(午前9時過ぎのカウント数。堤防上に降りたり、堤防内水面で集団で採餌行動を取っていた。求愛給餌などが見られた。一部は干潟にも降りた)
○ミヤコドリ            12羽(茜浜よりの遠方堤防上に見られた。細部は確認できなかったが、若鳥からなる越夏個体群と思われる)
○シロチドリ             3羽(正面干潟)
○ダイゼン              4羽(正面干潟。午前9時頃には棒杭上で休息していた)
○ハマシギ              1羽(夏羽個体。堤防上)
○オバシギ              1羽(夏羽個体。干潟で採餌していたが、その後棒杭上で休息した)
○ソリハシシギ            1羽(正面干潟)
○キアシシギ             2羽(正面干潟)
○オオソリハシシギ          3羽(正面干潟で採餌していたが、その後は棒杭上で休息した)
○チュウシャクシギ          1羽(正面干潟。脚部を損傷しているようであった) 


※葛西臨海公園(10:40〜14:00)
 到着時は干潟がさらに広がり始めているところであった。最初に西渚観察ポイント付近に向かい、正午頃まで渚周辺の探鳥を行った後、鳥類園に回った。昨日と同様に北東風がやや強く吹いた。引き続き、クロツラヘラサギが見られたものの、シギ・チドリ類はさらに減少しており、サルハマシギは見られなかった。カモメ類は昨日と同様であった。いただいた情報によると、午前中に汽水池周辺でアオバトが見られたとのことであったが、我々は見れなかった。なお、東渚ではボランテイア活動による清掃作業が行われていた。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ         1羽(夏羽。東渚沖合い)
○コアジサシ            32羽(渚周辺。午前11時半頃のカウント数。西渚干潟や水路干潟にも飛来していた)
○ミサゴ               1羽(到着直後は東渚干潟内に舞い降りていたが、その後渚周辺の棒杭上移動して休息していた)
○クロツラヘラサギ          1羽(東渚。若鳥と思われる個体。正午頃までは中央丘付近の澪筋で休息していたが、その後は採餌行動を取っていた。時折飛翔したが、東渚から出ることはなかった)
○コチドリ              2羽(汽水池)  
○シロチドリ             2羽(東渚)
○アオアシシギ            1羽(水路付近。特徴ある鳴き声とともに移動している姿を視認したが、じっくりと見ることはできなかった)
○キアシシギ             2羽(汽水池、水路周辺)

以上。




【2006年6月10日】

※谷津干潟(12:10〜15:20)
 営巣中のセイタカシギに雛が孵化したとの情報をいただき出かけた。到着後、午後1時半過ぎまで観察センター横の淡水池付近に留まったが、その間に第3番子まで孵化してくれた。その後は、干潟の観察ポイントで探鳥し、北側周回路を経由して終了した。
 シギ・チドリ類はさすがに少なく、午後2時頃にダイゼン越夏群を中心とした小群が飛来したのみであったが、コオバシギが混じっていた。カモ類は雛連れのカルガモやヒドリガモ♂1羽が干潟で見られた他、オカヨシガモの♂♀ペアが淡水池にいたが、繁殖してはいないようであった。アシ原周辺ではオオヨシキリのさえずりがにぎやかであった。主なものは次のとおり。

○コアジサシ             1羽(午後3時過ぎに潮位が上がってきた干潟に飛来して採餌行動を取っていた。少なかった)
○ダイゼン             12羽(若鳥。午後2時頃に三番瀬方面から飛来した。いずれも胸の黒味はなく若鳥と思われた。例年観察される越夏個体群と思われる)
○コオバシギ             1羽(若鳥と思われる個体。午後2時頃に飛来したダイゼン群に混じっていた。いただいた情報によると、7日から見られているとのことであった。北側周回路から約100mの距離で観察できたが、胸には赤味は見られなかった。三番瀬・谷津干潟周辺では2001年秋に飛来した幼鳥が2002年春にかけて越冬した後そのまま越夏し、さらに越冬して2003年4月まで留まったことがある。コオバシギはその際もダイゼン越夏群と行動をともにしていた)
○アオアシシギ            1羽(午後3時頃に干潟内に、一時的に特徴のある声が3回ほど響いたが、視認することはできなかった)
○オオソリハシシギ          3羽(夏羽個体を含む。ダイゼン越夏群と行動をともにしていた。6月4日に船橋三番瀬海浜公園で見られた小群と同一と思われた)
○セイタカシギ            7羽(成鳥4羽、雛3羽。淡水池など。成鳥のみ時折干潟にも飛来し採餌していた。営巣している2ペアはいずれも淡水池中の小島状の木製の止まり場で抱卵していたが、抱卵の座が異なっており、ひとつは砂質のように思われ、もうひとつは植物質のようであった。このうち、観察センターにより近い砂質の座で抱卵していたペアの雛が孵化していた。いただいた情報によると、午前8時半に第1番子が確認され、我々の到着直前に第2番子が孵化したとのことであったが、第3番子も午後1時過ぎに孵化しているのを見ることができた。孵化後には親鳥は卵殻を加えて飛び立ち少し離れた場所に捨て去った。なお、第1番子は午後1時半頃に止まり場から水面に降りてしまい、その後淡水池内を泳ぎ回っていた。その後いただいた情報によると、第1番子は段差のため止まり場に戻ることができず水面上で消耗してきたことから観察センターの協力を得て淡水池の放水が急遽開始されたとのことであった)

以上。


セイタカシギ
2006年6月10日
谷津干潟(淡水池)


【2006年6月11日】

※葛西臨海公園(8:40〜13:40)
 到着時は干潟が大きく広がり始めているところであった。到着直後より降雨となり探鳥終了まで降り続いた。このため、主として西渚内テントや観察センターから探鳥を行った。正午過ぎまでは西渚周辺で探鳥した。特段変わったものは見られなかった。午前11時頃にハジロクロハラアジサシの若鳥と思われる個体が西渚沖合い遠方から陸地に接近してきたが、荒川河口方面に去ってしまい、きちんと確認することはできなかった。なお、いただいた情報によると5月27日から見られていたクロツラヘラサギは、このところ確認されていないとのことであった。カモメ類はオオセグロカモメとウミネコの若鳥が目立った。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ          5羽(夏羽。到着直後は渚周辺に散らばっていたが、午前11時頃には5羽が西渚水面近くに集結し、このうちの2羽がデイスプレーを行った)
○ハジロカイツブリ           1羽(西渚周辺)
○アジサシ               1羽(午前10時頃に東渚周辺の棒杭に休止しているのが見られたが、まもなく飛び立ち沖合いに去った)
○コアジサシ           約100羽(渚周辺。午前10時頃のカウント数。西渚干潟や水路干潟にも飛来していた)
○ヒメアマツバメ            3羽(又は4羽。公園中央部、淡水池付近。淡水池付近ではイワツバメ、ツバメに混じって水面上空を飛翔し採餌しているようであった)
○イワツバメ              5羽(又は7羽。駅周辺、淡水池)
○チュウサギ              1羽(西渚。午前9時半頃には、アオサギ、ダイサギ、コサギが20羽前後集結したが、その中に混じっていた)
○コチドリ               1羽(汽水池)  
○シロチドリ              3羽(西渚、東渚)
○オオソリハシシギ          1羽(渚周辺。正午頃にケッケッと鳴きながら西渚観察ポイント上空を通過した後、東渚干潟に舞い降りた。♀タイプの個体であった)
○ダイシャクシギ           1羽(東渚。干潟で採餌していたが、正午頃には西渚観察ポイントから約200mの距離で視認することができた。5月28日から見られている個体と思われる)

以上。



【2006年6月17日】

※葛西臨海公園(8:30〜12:30)
 到着時は満潮であったが、小潮のため干潟は残っており、その後徐々に大きく広がりだした。降雨はなく、時折薄日も差す天候であった。まず、水路付近で探鳥した後、午前9時頃から約2時間ほど西渚観察ポイントに回り、その後観察センターで探鳥した。特段変わったものは見られなかったが、鳥類園内ではカルガモの親子の姿がいくつか見られた。渚周辺は相変わらずカワウの大群の他、オオセグロカモメとウミネコが目立ったが、越夏中と思われるユリカモメ2羽も確認できた。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ          3羽(夏羽。渚周辺)
○コアジサシ            156羽(渚周辺。正午過ぎのカウント数。西渚干潟や水路干潟にも飛来していた)
○イワツバメ              2羽(駅周辺)
○コチドリ               1羽(汽水池)  
○シロチドリ              4羽(西渚、東渚)
○ダイシャクシギ           1羽(東渚。午前9時頃に東渚中央丘付近で休息しているのが見られた。恐らく、これまで見られている個体と思われたが、遠方であったことからホウロクシギとの判別もできなかった)

以上。



【2006年6月24日】

※葛西臨海公園(10:00〜13:50)
 到着時は干潮で、大潮のため潮位は低く、沖合いにも大きく干潟が広がっていた。最初から西渚観察ポイントに向かい、潮位の上昇に合わせて移動する水鳥を午後1時近くまで観察し、その後観察センターで探鳥した。アカアシシギが見られたが、他には特段変わったものは見られず、昨日目撃されたというクロハラアジサシも確認できなかった。なお、我々は見れなかったものの淡水池周辺でヨシゴイが見られたとのことであった。渚周辺は相変わらずカワウの大群の他、オオセグロカモメとウミネコが目立った。また、園内はネムノキの花が盛りとなっていた。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ          3羽(夏羽。西渚周辺)
○コアジサシ           544羽(渚周辺。正午頃のカウント数。西渚干潟や水路干潟にも飛来していた)
○イワツバメ              1羽(駅周辺)
○コチドリ               1羽(水路周辺)  
○シロチドリ              2羽(西渚、東渚)
○アカアシシギ            1羽(成鳥夏羽。西渚など。午前11時過ぎに東渚方面から東西渚間水路を越えて、西渚干潟に飛来した。しかし、すぐに飛び立って観察ポイント付近を通過して、東渚堤防北西側の渚間水路周辺干潟に降り、盛んに採餌を行った。当地では、アカアシシギの記録の多くは8月中旬以降で、5月にも記録されているが、6月の記録も2回ほど<いずれも1羽で、2003年6月7日、2004年6月13日>ある) 
○ダイシャクシギ           1羽(東渚。午前中は沖合い干潟で採餌していたが、潮位が上がった後は、正午頃に東渚干潟に戻って休息していた。腰の白色部も確認できたことから、これまで見られている個体が引き続き留まっているものと思われた)

以上。



【2006年6月25日】

※葛西臨海公園(7:40〜12:50)
 到着時は干潟が大きく広がり始めているところであった。まず鳥類園付近で探鳥した後、午前10時頃から西渚観察ポイントに回って渚周辺の探鳥を行った。本日も干潮時は潮位が低く、正午頃までは沖合いにも大きく干潟が広がっていた。渚周辺は鳥の数は多かったが、アオサギ、ダイサギ、コサギといったサギ類にカワウ、オオセグロカモメ、ウミネコばかりが目立った。カルガモの子連れの他、子連れと思われるイソシギも見られた。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ          3羽(夏羽。渚周辺)
○コアジサシ           146羽(渚周辺。午前9時半頃のカウント数。西渚干潟や水路干潟にも飛来していた)
○ミサゴ                1羽(東渚など。正午前に舞浜沖から飛来し、沖合い干潟の棒杭上に休止したりしていたが、正午過ぎに東渚干潟の水際にダイビングを行なって魚を捕獲した。上空を飛翔したりしている間にはコアジサシやウミネコのモビングを受けていた)
○ヒメアマツバメ            2羽(午前8時半頃に水路上空を舞浜方面に2羽が揃って移動するのが見られた)
○イワツバメ              1羽(淡水池)
○コチドリ               3羽(淡水池、汽水池)  
○シロチドリ             12羽(東渚、西渚にも飛来した)
○ソリハシシギ             3羽(東渚。午前10時頃に小群がアシ原近くの干潟で採餌しているのが見られた)
○ダイシャクシギ            1羽(東渚など。沖合いに干潟が広がった時間帯は沖合いで採餌していたが、潮位の上昇とともに正午過ぎには東渚干潟に戻ってきていた)

以上。