「晶香〜、そろそろ浩之を起こしてきて〜」 「は〜い!」朝八時。三十分かけて作った朝食をテーブルに並べながら晶香に言った。 「まったく、毎日こうなのかしら……」 学校のあるときもぎりぎりまで寝ているという話を聞いたことがあったが、本当に起こしに行くまで降りてこないらしい。 「後はコーヒーだけね」コーヒーメーカーを見るとあと少しだった。 「お〜、あやか〜、ごくろーさん」ぼけーっとした浩之が晶香に手を引かれてやって来た。 「なにぼけっしてんのよ。顔洗ってきなさい」 「お〜」 浩之は洗面所の方へ行く。 「ねぇ、お姉ちゃん」 「何?」 「おうちに帰らなくていいの?」 「え……」 そういえば、遅くなるとは連絡したが、帰らないとは連絡していない。 「そ、そうね……電話しとこうかしら。」 と、玄関の方から電話の鳴る音が…… 「はい、藤田です……」 浩之が電話に出る。そして…… 「おい、電話だぞ、綾香」 浩之が私に子機を渡しに来た。 「だ、誰?」 浩之の表情を見ればわかるけど…… 「セバスチャンのじじいだよ……おれ、シャワー浴びてくる」 浩之はふらふらとキッチンを出ていった。 「もしもし……」 『綾香お嬢様〜!一体何をしておられるのですか〜!』 受話器に出たとたん、セバスの大きな声が飛んできた。 「ちょっと、朝から大声出さないでよ……」 浩之も怒鳴られたのね……頭をおさえつつそう思った。 『とにかくお帰り下さい!よりにもよってその小僧の家とは』 「どうしてわかったのよ?」 『使用人に伝言なさっていたでしょう。いいですか、お迎えにあがりますのでそこでお待ち下さい!』 「ちょっと、どうせ今日も練習があるんだから、迎えに来るなら夕方にしてよ」 『なんですと!外泊しただけでは飽きたらずまだそのような……は?そうですかうむわかりました……』 セバスの様子が変だ。もしかしたら 「姉さんがいるんでしょう?代わって」 はい、とセバスチャンが言い、受話器を姉さんに渡したようだ。 「姉さん?ありがと、セバスチャンを止めてくれて」 『……』 「え?心配した?ごめんなさい……」 少し怒ってるようだ。無理無いけど…… 「うん、今日は帰るわ……え?浩之も連れて来いって?うん、きいてみる」 電話の向こうでセバスがなりませんとかわめいてるけど、どうせ姉さんには逆らえない。 「うん、じゃ、夕方ね」 かちゃ…… 「お姉ちゃん、ごはんまだ?」 「浩之が来てからね……」 「どうだった?爺さん」 浩之もキッチンにやってくる。 「あとでね……それより、食べましょう?」 「そうだな。あ、晶香、今日は俺達エクストリームの練習があるけど、来るか?」 「うん!」 「よーし、今日もお昼は好きなもん食わせてやる。何がいい?」 「う〜んとね……」 三人で食べる朝食。 これに、姉さんがいれば文句無いんだけどな……あ、それよりも昨日のこと、姉さんにはなんて言おうかな? 浩之にも話してもらって…… Fin