PUBULIC IMAGE LIMITED FLOWER OF ROMANCE
デジタルディレイの共振音が徐々に高まり、ジョン・ライドンのアーラー、アーラーというヴォーカルでこのアルバムは始まリます。このイントロは何度聴いても鳥肌が立ちます。
PILのサウンドの要とも言えるベースのジャー・ウォブルが前作メタルボックスを発表後に脱退し、このアルバムはベースギター無しという変則的なラインナップですが、キーペックスとディレーがかけられた分厚いパーカッションがその穴を十分埋めています。
このアルバムでのPILのサウンドはプリミティブなサウンドで、中近東やアフリカを感じさせる曲が多くなっていて、重いパーカッションのビートの上を、それまでとは少し趣の異なったジョン・ライドンのシリアスなボーカルが淡々と流れ、バックに所々シンセサイザーやギターが加わるというシンプルなサウンド構成ですが、エコーが効果的に使われていて不思議とサウンドの隙間は感じさせません。
前作メタルボックスではダンサフルなファンクビートやレゲエ風の曲が多かったですが、それとは少し異なってこのアルバムではダンスビートというものを越えて、アフリカの祭儀音楽のように人間の本能に訴える曲が多くなっているように思います。
またメタルボックスではジャーの重低音ベースが体に響いて心地良いですが、このアルバムでは嵐のようなパーカッションのビートがもろに頭に響き衝撃が体を貫きます。
このアルバムはロックとかニューウェーブとかいったジャンルを越えた名盤といえるでしょう。このアルバム発表後、オリジナルメンバーでPILのもう一方のサウンドの要であったキース・レヴィンが脱退し、その後のPILはジョン・ライドンのワンマンバンドとなり、このアルバムやメタルボックスのような緊張感のあふれるサウンドはもう聴くことができなくなってしまいました。