KING CRIMSON LARKS’TONGUES IN ASPIC

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  キングクリムゾンはアースバウンドツアーの後、一度解散します。その後、デビッド クロスとジェイミー ミューアとのプロジェクトにロバートフリップその他のメンバーが合体して新生キングクリムゾンが誕生し、このアルバムがその新生キングクリムゾンの第一作になります。
 このアルバムでのキングクリムゾンは、ジェイミー ミューアの存在が大きく、ミューアのパーカッションとビルブッラフォードのドラムのコンビネーションが独特のリズムを生み出し、それがこのアルバムの最大の聞きどころとなっています。
 アルバムはタイトル曲LARKS’TONGUES IN ASPIC PART 1で始まります。この曲はこの後のライブパフォーマンスでもオープニングに演奏されるところからみて、新生クリムゾンのいわば紹介曲といえるでしょう。ミューアのカリンバ(親指ピアノ)の静かな調べからこの曲は始まり、次にクロスのバイオリンが不協和音を奏で、曲は徐々に高まって行きます。ブッラフォードのドラムビートの上にミューアの凄まじいパーカッションが飛び回り、ウェットンがファンクビートを刻み、フリップがエキセントリックなギタープレイを披露します。中間部で曲は急に静かになりクロスの東洋的なヴァイオリンソロがしばらく続きます。琴の音の後に最終章が始まります。フリップの無機質なギターコードの上にクロスのバイオリンが絡み、そのバックを人々のつぶやきが流れます。サウンドはクライマックスに向けて徐々に高まり、ウェットンのベースが不思議なフレーズを奏でます。フリップの中東的なアルペジオが徐々に静まり、ミューアのシンバルでこの曲の幕が閉じます。
 ギターの逆回転のサウンドが印象的なメランコリックなバラードのBOOK OF SURTEDAYの後に、EXSILESのオープニングの不気味なサウンドエフェクトが始まります。このSEはクレジットされていませんがイーノのものでしょう。SEをバックにメロトロンの悲しげな調べが流れますが、曲は一転明るい雰囲気になり開放的なウェットンの歌声が響きます。この曲ではメンバーが各自控えめに演奏しており、LARKS’TONNGUES~と同じメンバーが演奏しているとは思えないほどです。エンデイングで曲は再度高まり、メロトロンの余韻を残してA面は終わります。
 B面はシニカルなナンバーイージーマネーで始まります。独特の引きずるようなリズムに、ミューアを中心とした各自のコミカルなプレイが印象的です。笑い袋の不気味な笑い声でこの曲は終わり、風の音と共にTHETALKING DRUMが始まります。
 ミューアのコンガソロの上にブッラフォードとウェットンの規則正しいリズムが重なり、その上をクロスのバイオリンとフリップのギターがインプロビゼーションを繰り広げます。曲の構成は単純ですが、各人のプレイに緊張感が漂っています。エンデイングの悲鳴のようなバイオリンのノイズの後にこのアルバムのラストを飾る曲、LARKS’ TONGUES IN ASPIC PART2が始まります。
 フリップのデイストーションギターが刻む独特のパターンの上を、ウェットンのベースが跳ね回り、ミューアのパーカッションが自由自在に跳び回ります。曲は静と動を繰り返しながら徐々に高まり最後に爆発、ベースの余韻を残してこのアルバムは終わります。
 このアルバム録音後ミューアはグループを脱退します。その後のクリムゾンはサウンドがどんどんヘビーになっていきます。4人編成でSTARLESS AND BIBLE BLACKを発表し、その後デビット クロスが脱退し、残ったメンバーで究極のヘビーメタルアルバムとも言えるREDを発表し、その後解散します。


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