河岸段丘 2008/11/04




11月4日(火)、大多喜町のO小学校で、子どもたちのための天体観測会を開きました。
O小学校は養老川の上流部にある比較的規模の小さな小学校です。この付近の空はまだ十分に暗く、星も良く見えます。しかし、生活環境の変化からか、以前のように星を身近に感じる子どもは少なくなっているようです。
そんなことをO小学校のN先生と話しているうちに、「みんなで星座を見てみよう」「望遠鏡で天体を観測してみよう」という企画を思い立ちました。
しかし、星を見ることができるのは夜暗くなってから。授業が終わってから観測できるようになるまで、だいぶ時間があります。子どもたちが帰る時刻も遅くなります。管理上の問題や防犯上の問題など、子どもたちに星を見せると一言でいっても、実はなかなか大変なのです。
幸いにも、O小学校の校長先生をはじめ先生方の全面的な協力をいただき、終了後は子どもたち全員が保護者の方に迎えに来てもらえるという万全の体制が手配できました。
当日はO小学校の子どもたち、保護者の方、中学生、近隣の小・中学校の先生など、60名ほどが集まりました。私が持参した2台の望遠鏡に加え、知人の中学校の先生が望遠鏡持参で応援に駆けつけてくれて、3台体制で準備を始めました。
ところが、日が暮れるにしたがって雲が増えはじめ、あいにくの曇り空になってしまいました。残念ながら星座の全景を見ることはできませんでしたが、それでも、所々の晴れ間から、月、金星、木星(木星本体とガリレオ衛星)、二重星(はくちょう座β)、M31、M57を望遠鏡で観測しました。
子どもたちの元気な歓声につつまれながら、わいわい賑やかに時間は過ぎて、観測会は終わりました。
印象的な一日でした。(ちなみに私は休暇をとっての参加でした)

ところで、写真はO小学校へ行く途中、養老川の上流で撮影した河岸段丘です。写真右側の川岸に階段状の地形が見られます。これが河岸段丘です。
地殻変動により地面が隆起すると、標高が高くなりますから、川はより深く侵食して河床を掘り下げていきます。また隆起が起きると、また川は深く掘り下げます。これが何回か繰り返されると、写真のような階段状の地形ができます。河岸段丘は、この地域に繰り返し隆起が起きた証拠といえます。実際、養老川流域は現在でも隆起を続けている典型的な地域のひとつです
養老川上流では、こうした段丘は古くから水田として利用されてきました。養老川上流域は地形の起伏が激しく、水田として利用できる平坦面はそれほど多くありません。昔の人たちにとって、こうした段丘は貴重な平坦面だったのでしょう。
段丘の対岸は、侵食によってほぼ垂直に削られた断崖になっています。これも養老川上流の特徴的な地形です。
(2008.11.04取材)

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