せめぎあい 2007/04/21




みなさんは、これが何だかわかりますか。
シカの食害から農作物を守るために作られた柵です。こうした柵が、田や畑、集落のまわりをぐるりと取り囲んでいます。
中には、高圧電流を流して、電気ショックでシカの進入を防ぐタイプものもあります。もし見かけても、決して触らないように。
このような光景は、以前は小湊町(当時)の麻綿原周辺の一部の地域だけに見られました。
ところが最近は、君津市、大多喜町、勝浦市、市原市の山間部で広く見られます。
それだけ野生のシカの生息数が増え、分布が広がったのです。
シカが増えた・・・・そう聞くと、自然が回復した良い知らせのような錯覚を覚えますが、現地に住む人にとっては深刻な問題です。
シカたちの旺盛な食欲は、丹精込めて作った作物を一網打尽に食い荒らします。
シカの数を減らすため、計画的に駆除が行なわれているようですが、こうした現場を見る限り、あまり効果は現れていないようです。
柵を作るには多額の費用がかかります。
それに見合う収穫を得るのは、なかなか難しいのが現実です。
農家の高齢化も追い討ちをかけています。
こうした地域では、耕作放棄された田畑が急激に増えています。
「自然との共存」を言葉で言うのは簡単ですが、バラ色の共存なんて存在しない、そう思った1日でした。

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