銀ちゃん以前

我が家に来た初日のニコ 我が家に来た初日のニコ

 我が家には、ニコという白文鳥がいる。2003年2月5日に購入してきたので「ニコ」と名付けられた。ダイエー碑文谷店のペットショップで購入した。4000円くらいだったろうか。ほかのペットショップよりはお高めである。

 ある仕事の現場に、白文鳥のツガイがいた。これを仕事の合間にまじかに見ていたら、子供の頃飼っていた桜文鳥「ピーコ」のことを思い出したのだ。

 小学校4年生の6月中旬にお小遣いをはたいて買った。このピーコは、僕が高校3年の冬(多分、2年生だったかも)まで生きた。めちゃめちゃになついていて、外で遊んでも、絶対逃げ出すことはない偉い文鳥だった。実際、小学生の頃は自転車に乗せて、どこにでも遊びいった。
 でも、一度だけ、逃亡して騒ぎになったことがある。いつだったかは覚えていないが、僕が庭でピーコを肩に乗せて鳥かごを洗っていたら、セールスのおばちゃんが自転車に乗って我が家を訪れた。そのブレーキがひどい音をたてて、びっくりしたピーコがどこかに飛んでいってしまったのだ。
 昔は(1980年代)、手乗り文鳥の風切羽は3〜5枚切るというのが常識だった。それに従って、最初の2,3年は羽を切っていたが、絶対逃げたりはしないという自信ができて、切るのをやめていた。羽を切らない状態で、自転車に乗せて遊びに行ったりしていたのだ。
 もちろん、近所中を探した。ピーコが逃げるということはあり得ないと思っていたので、ショックだった。その日は、結局見つからなかった。翌朝、両親(特に父親だったような記憶がある)が夜ピーコの鳴き声が聞こえた、と言う。絶対、近くにいるはずだと。両親が寝室にしていた部屋から近い水田に行ってみた。昨日も探したところである。半信半疑で近付くと、確かに鳴いている。よーく見ると、水田の稲の葉っぱにしがみついているピーコがいた。距離は、10mはあろうか。ピーコ、ピーコと呼んでも、鳴いているだけでこちらに飛んでこない。困った僕は、石を投げてびっくりさせれば、飛び立つに違いない、そうすれば僕のところに戻ってくると思った。石を投げた。当ててしまうわけには行かないので、ピーコからは遠いところに投げた。でも、ピーコは怖がっているだけで飛び立たない。次のアイデアは、釣り竿を持ってきて、突っつくことだった。そのために、家に釣り竿を取りに帰ろうと、振り返って歩き出した瞬間、ピーコは僕の方にとまった。結局は、いつものように僕の背中を追ってきたのである。ますます、ピーコのことが好きになった。
 中学高校と進学していくにつれ、だんだん遊んでやる余裕がなくなっていき、十分愛を注いであげたとは言いがたいのではある。
 ピーコの生涯の後半は、冬に数回てんかん様発作を起こしている。実際、死因もそれだったようである。当時は、そこまで文鳥に関する情報も知識もなかったので、これはニコを飼いはじめて勉強した結果得られた判断である。

 さあ、大きな仕事が終わって、余裕ができた。文鳥が欲しくて、インターネットでペットショップの情報を集めた。ペットエコ横浜、ペットシティお台場あたりが候補に挙がった。近いところで、自由が丘に鈴木鳥獣店、よく行くダイエーにもペットショップがあった。鈴木鳥獣店は、鳥の扱いをやめたとのこと。ペットエコの等々力は犬猫専門。ペットエコの横浜は文鳥のヒナはいたが、ひとり餌になっているものはいなかったし、予約もお断りという。共働きのサラリーマンに1日5回の挿し餌は不可能である。購入は、挿し餌が終わりひとり餌になった直後と決めていたのである。ペットシティお台場も同様であった。また、コジマの洗足店にも1羽いたが、こちらもタイミングが合わないのと、文鳥の扱いがあまり良くなかったので、乗り気がしなかった。その足で、ダイエー碑文谷店へ。そこには、シナモン文鳥と白のヒナがいた。10年以上、文鳥とは関わっていないので、並文鳥(最近では違法かも)、桜、白しか知らなかった。シナモンを見た時、不思議な色合いに悩殺されてしまった。店員さんに聞くと、ほぼひとり餌になっている。あと、2,3日でOKでしょうとのこと。決まった。夕方、妻の仕事が終わってから、一緒にダイエーに。シナモンを買うつもりだった。でも、よく見てみると、のどの下のあたりに羽がなくて、内臓が透けて見えている。これは、きっと発育不良か病気に違いない。一方、白の方は真っ白な毛がはえそろっている。店員さんによると白の方は今日持ち帰っても大丈夫。一人でえさを食べるとのこと。シナモンの方は、あと2,3日待って下さいと。待つのはいいけど、病気持ちは困る。かご(水槽)から出してくれたが、白の方は元気で人の手や頭にとまる。シナモンは大人しい。夫婦で悩んだ挙げ句、健康な白に決定した。後で分かったことだが、シナモンは毛がはえそろっていなくて、そのうが見えていただけで、たぶん異常ではなかった。

 そんないきさつで我が家にやってきたニコ。今見るとなかなかの美男子である。当時は、まだ雄だと断定できていなかったし、現在(03年5月)の様にトヤではげはげでもなかった。この子は、我が家に来た当時から混じりっけなしの真っ白な子だった。前年の12月中旬の生まれらしいので、ヒナの頃から白かったということだろう。手乗りらしい、人なつっこい子だった。これには、ダイエーのペット売り場の松井さん(女性なので念のため仮名、松井という人はいませんので訪ねて来店しないでね)という女性が、文鳥好きでかわいがってくれていたというのも影響がありそうだ。挿し餌が終わっていても、相手をしていたということである。聞けば、この人は自宅でも文鳥を飼っているらしい。後になって思えば、こういうことは大切な要素かもしれない。お店からすれば、単なる商品かもしれないけど、愛が大切である。銀ちゃんを購入して痛感した。このことは日記の中で分かってもらえると思う。

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