「緊急時における裏の説得技法」
Action Study for The rear negotiate theory

〜説得環境回復のためのストッピング技術〜


Act(1)飛行機やバスなどの閉鎖された空間における単独ジャック犯に対して/粗暴犯の場合

Keep eye rocking for cool-down
「アイ・ブロック・クールダウン」技法

  1.  動揺し錯乱している者の1メートル以内に、すっと身を置き、対象者の正面に対峙し、自己の視線と対象者の視線をしっかり繋いで(アイコンタクト)、独立した二当事者の空間(We Feeling)を作ります。ポイントは、穏やかに相手の瞳の瞳孔の動き=呼吸を見据えるようにし、対象者もまた、貴方の瞳孔の動き=呼吸が分かるようにすることが重要です。
  2.  そして、対象者とともに、動揺しパニックに陥っている周辺の者に影響されることなく、ひとり落ち着いた平常の呼吸=瞳孔の動き、声のトーン、リズム、体の揺れ、そして、表情を対象者に示してあげればよい。
    【※ 瞳孔の動かない or表情筋 →眼球筋の動き=作り笑いは、厳禁!】
  3.  そうすれば、暑い水に常温の水を混ぜると、その暑い水は、少しずつ覚めていくのと同様に、対象者の興奮も静まり、理性的な思考ができるようになるでしょう。
    【※ 氷を入れると爆発するから注意!】
    重要なことは、@相手の視線をしっかり捕らえることと、A貴方自身が、逆に対象者の興奮や動揺を感染されないようにすることです。
  4.  ただし、これを使う説得環境は、対象者が一人の場合で、薬物使用による錯乱でないことが条件です。
    多数人によるハイジャックや、自制能力の薄弱な薬物中毒者には、他の方法を複合的に用いなければ、却って危険な説得行動となってしまうので、十分に留意しておいてください。
    【※ 対象者の1メートル以内は、敵外排除領域 】

Act(2)路上や公園、駅構内などのパフリック空間における多数粗暴犯に対して/自己退避方法

Break out your Feeling
「フィール・アウト」技法

  1.  自己 の意図に反し、または、自己の誘引により、不特定多数人のいるストリートにて、多数人により集団的暴行を受けるような状況が発生してしまった場合、まず、最初の暴行着手者 (実行者や命令者 )により、その烏合の集団が、貴方への暴行というひとつの目的に向けて結束するのを防止しなければなりません。それは、一人の暴行実行を他の多数が見ることにより、狂気が伝播し、暴行行為自体がエスカレートし、各自の暴行に歯止めが利かなくなってしまうからです。このように理性を失った狂気化した集団の結束した心理状態を“mad feeling”といいます。
  2.  まず、身体生命に対する危機状態のエッジ (頂点 )を感じたなら、決して、相手側の言動や行動に反応してはいけません 。具体的には、罵声に呼応しない。視線を全体に置き、決して一人を凝視しない。体に触れさせない。仮に既に、押されたり殴られたりしても、押された方向に体を流さず、凛としている。つまり、集団的優位性を感じさせない一瞬の「気」を身に纏うことが、集団狂気化の萌芽を押さえる非言語行動 (ボディーランゲージ )として必要となります。
     ※ これは、人間誰もが持っている能力のひとつです。例えば、ぬるま湯につかった後に、冷水を頭から被ったときに、寒さを堪えようとする内なる危機対処能力です。(男性よりも、母性のある女性の方が強いかもしれません)。「理性を失った獣は、弱い者には容赦なく牙を剥き、強い者には警戒して距離を持つ。」その強さとは、相手の強さを認めないでいられる心の強さであることを忘れないでください。しかし、酔っ払っていては、一見して「ハッタリ」と感じ取られてしまうから非言語行動の前提条件として、理性的な身体行動がとれることが必要です。
  3.  そして一瞬でも、間ができたら (集団の中で個人的な言動を取る者が現れ、集団的行動に躊躇が見て取れたら )、大きく手を広げ、できるだけ大きな声を思いっきりあげる(Break shout)
     ※ 但し、対峙しての単独での暴行者に対しては、興奮が逆上化する (パニック化 )する危険性があるから、タブーです。特に、叫び声ともとれる高い音の悲鳴は、ダメです。
  4.  これで、集団の結束が壊れると同時に、集団の構成員は、個人として貴方を認識する(集団⇔個人から個人⇔個人へ)。それは、視覚的にも聴覚的にも大きな存在として認識することになる(個人>個人=自己防衛本能による行動萎縮)。この集団的錯誤ともいえる優位性を保っている内に、笑顔のまま逃げるのも良し、誰かに助けを求めるのも良し。私の場合は、一騎に狂気のガス抜きと脅威の植え込みをしてしまうでしょうが・・。

Act(3)パフリック空間における多数粗暴犯に対して/集団暴行(リンチ)を受けている人を逃がす方法

Switch to replace interest ones
「スイッチ・インタレスト」技法

  1.  駅ホームや公園等の公衆の場で、多数人が一人を相手に、集団で暴行を行う事件が多く発生しています。そして、集団心理の働く暴行の結果は、個人の予測を越えた重大で重篤な傷害を被害者に与えてしまう。このように犯罪被害が拡大するのは、同時集団暴行での競争行動原理にだけ原因があるのではなく、偶然にも立ち会ってしまった目撃者が、暴行自体がエスカレートするのを防止しないで傍観していることにも、一因があると云えます。傍観者が、暴行事件になんらの影響も与えられない観衆となるのは、暴行者に「誇張した行動をとらせる」ことを知っておいてください(=スポットライト効果)。そうは言っても、何らかの助けをすることにより、自分自身にも危害が及ぶのではないのかという“恐怖心”から、萎縮して何もできないでいる方がほとんどでしょう。そんな多くの心優しき人達のために、割と簡単に実行できる救助方法を御教えしたいと思います。
  2.  目的としては、被害者をできるだけ早く集団暴行の状態から退避させてあげることです。闘争心のなくなった被害者の本能は、逃走することの一点に向けられていますから、そのチャンス(きっかけ)をつくってあげれば良いのです。従って、その方法としては、被害者に集中している集団的暴行意思頓挫(Break Out)ないし拡散(Switch Out)させれば十分です。具体的には、加害者と被害者の間にカバンなどを投げ込む。そこまでの勇気もない方は、足元に多くの硬貨(ジャラ銭)をぶちまける。それで、関心を“人”ではなく“物”に仕向ける。これにより、集団行動の一時的な断絶をはかることができるので、その隙に逃走させるなり、保護してあげましょう。

 





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