徒然なる
説得コラム

「脅しの構造」

 競争的交渉の基本技術である「脅し」とは、・・・・。

 よくあるビジネス上の交渉でも、より自分に有利なパイ(利益・立場)を獲得するために、
脅し(thread)は使われる。そして、その交渉が、排他的な目的で、従属的関係を強いるものであれば、そこでの脅しは、理不尽で恫喝的な手法が用いられる。

 もっとも典型的な脅しは、交渉決裂(broken Relation) であろう。

「もう少し安くできませんか? できないなら、よそに取引先を変えるよ。」
「これ以上の譲歩を求めるのなら、終わりにします。」

などのフレーズを言われたり、過去に言ったことがある人は、非常に多いでしょう。

 そこでの論理形式は、「もし〜なら」の仮定表現。

そう、脅しとは、交渉決裂の決意表明 にすぎない。

それが、害悪の告知を内容とする脅し=恐喝・強要であったとしても、


「てめぇ、言うことをきかねぇなら、ぶん殴るぞ。(身体侵害の害悪)」
「ほんとに金を出さないんなら、家族や会社に不倫をばらすぞ。(名誉侵害の害悪)」

と、すべて将来の実行を予告しているだけ。

 脅しは、実行してしまっては、互いに何の意味(価値)もなくなってしまうから、それを実行しないで、その決意が本気(マジ)であることを、相手に思い込ませるものでなければならない。

 これを「言葉だけ」で相手に伝えるのは、非常に難しい。
そこで、「態度=非言語」を段階的に示すことになるが、その手法としては、

決裂の決意表明

交渉決裂に向けた準備の実行

交渉決裂の一部実行

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ここまで着てしまったら、後は、交渉とは別の説得のステージです。

 双方のプライド(自尊心)を多少なりとも毀損する段階に至った以上、その実行の抑止・回避には双方とも最大限の努力と集中が必要となります。特に、脅された側が、この努力を怠り、脅迫者を軽視したり無視したりすると、脅した側は、自己のプライドを保持するために、言動の一貫性を誇示しようとします。つまり、脅しの予告を「実行してしまう」危険が生じるわけです。脅された側は、自己の報復行動を抑止・制御するだけでなく、相手への配慮[思いやりの説得]を忘れてはならないのです。

 

 さて、今度は、脅しの内容を分類してみよう。

脅しとなる人の意思決定(態度変容)の影響要因として、

一貫性/権威/好意・返報性/社会的証明/希少性 がある。

一貫性→「あなた、前と言ったことと違うじゃないの?」
権威→「これは、有名なブランド品だから、高価だよ。」
好意→「あなたに嫌われたくないから、納得しよう。」
返報性→「こちらがこんなに譲歩してくれたのだから、そっちも譲ってくれ。」
社会的証明→「このことは、常識ですよ。」
希少性→「もうこの一品だけです。」

この影響要因は、マズローの欲求階層説に対応している。

弱い←     →強い
自己実現/尊敬/親和/安全/生理的欲求

よって、もっとも即効性のある強い脅しは、

生理的欲求〔睡眠欲>食欲>性欲>物欲〕
or
安全欲求〔生命>身体>財産>名誉〕

を枯渇させ脅かす内容のものとなる。

だからと言って、
「お〜りゃあ、寝るんじゃねぇ!てめぇ、言うことをきかないと、殺しちゃうよ。」

なんて、述べ賜わって御遊び申し上げては成りません。

強要罪→監禁罪→殺人予備罪→殺人未遂罪

と、犯罪行為の出世魚になってしまいます。

脅し(thread)の本質は、ハッタリ(bluff)にあり。

時には、泣き脅し(Pain In The Ass)もいいかも。


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