オカリナ雑感

  「オカリナ」といいますと何を思い浮かべられるでしょうか。花でしょうか。それとも果物でしょうか。また、オカリナが楽器であり笛だと言うことをご存じの方は、ポーとした優しい音色を思い浮かべられることと思います。

  ここ近年静かなオカリナブームであるという言葉を耳にしますが、この美しく澄んだ音色が、日本人に受け入れられた一番の理由でしょう。日本の笛には尺八、龍笛、篠笛などがあり、また学校教育で普及したリコーダー、また最近ある芸能人とともにポピュラーになった南アメリカのケーナなどの笛と比べますと、オカリナの音色は癖がないといいますか、言い方を変えますと民族色があまりないといえるように思います。しかしもともとは、19世紀半ばにイタリア、ブドリオ村のドナーティが土笛に西洋音階を取り入れてその形からオカリナと名づけたといわれています。オカ(0ca)は、鵞鳥を意味し、リーナ(rina)は、小さい、愛らしい、子供、というようなニュアンスで、楽器からこのような名が付けられました。イタリアで生まれたオカリナではありますが、今では卵形のもの(ぺンダントタイプと呼ぶ人もいます。)、亀の形、イグアナの形、日本の鳩笛など様々な形の土笛が世界中でオカリナと呼ばれています。そのような中でドナーティが発案したオカリナのことは、ドナーティタイプとか、イタリアンタイプと音楽事典の中などには書かれています。しかしながらオカリナはイタリ アの音楽やいわゆるクラシックはもちろん、ほかのジャンルの音楽の演奏に使っても違和感がなく、ジャズや、はたまた演歌をオカリナで楽しんでいる方もいらっしゃいます。

  また、笛全般に関していえることなのですが、いわゆる西洋音階ドレミファソラシド以外の音、たとえば、ピアノなどの楽器では出すことができないミとファの間の音----インド音楽やアラブの音楽などにでてきます----なども出すことができます。その意味でオカリナは完全楽器であるともいえます。

  私は、以前パキスタンでタブラという太鼓の勉強をしばらくしていたことがあるのですが、-----タブラに関してはチャンスがありましたらまたの機会にお話しすることとして----打楽器は大好きなものの、メロディー楽器でないと当然ながら他の国の音楽を紹介したりするのに使えず、タブラがかなり重く持って移動するのにまいっていました時に、バックにも入ってしまうオカリナを勉強するチャンスがあり、オカリナに魅せられてしまった訳なのです。外国にでる時はもちろん、ちょっと出かけます時もバックにオカリナを入れて出かけるこの頃です。

  土から生まれた温かな楽器オカリナの澄んだ音色を私自身も楽しみながらいろいろな国の、また、いろいろなジャンルの音楽を紹介していきたいと思っています。