ポケットタイプGMカウンターの作製



<はじめに>

 今までに何台かGMカウンターを作製してきたわけだが、これらの作品を見てくれた方々からの、GM管の入手方法を始めとする、様々な有益な情報をいただくことができた。インターネットのありがたさをしみじみと感じるのである。そこで、ポケット型にチャレンジしてみることにする。今回の目標スペックは次の通り。まずは、小型化の下地を作り、シリアル通信の実現と雲母窓GM管の使用は、次の作品で実現。

1.ポケットサイズ
2.回路はPICで簡素化(発振、カウント共にPIC)
3.電池駆動
4.液晶表示(単位換算もできる)

 大体のブロックダイアグラムは、下図のような具合となる。



<回路の検討>

 回路は前回の作品をベースとする。変わった点は、トランスを小型のものにして、液晶パネルも16文字2行を8文字2行へ置き換えた。プッシュスイッチも2つに減らし、PIC16F873の発振用水晶も1個に減らした。その他、減らせる部品を減らした。なお、この回路図では、まだシリアル通信の部分がない。また、トランスの巻き数比が大きいので、トランスの1次側電圧を調整することで、500V〜1000Vの高圧発生が可能である。1000Vを使う場合は、GM管カソードの10kの抵抗を5kくらいにかえる必要があるだろう。



 GM管に印加する電圧は550Vくらいでなければならない。そこで、回路図中のA点の電圧が約2.5〜2.6Vとなるように、発光ダイオードを選択する必要がある。僕の場合はシリコンダイオードは1S1588,発光ダイオードには小型の緑色のものを使ってみた。これで、A点の電圧が2.5Vとなっている。ちなみに、ダイオードをバイパスすることで、1000Vくらいの高圧が得られる。GM管には900V仕様のものもあるので、そちらを使う場合にはダイオードを適当にバイパスすればよい・・・と思うが、実験はしていない。

<作製>

 試作はブレッドボードを使うことが多い。小さなものでも1つ買っておくと、便利である。


PIC回路は以前何かに使ったものを流用した。
高圧回路をブレッドボードに試作

試作では16文字2行の液晶を使用。
右半分は使わないようにプログラムした

前作より高圧トランスが小型化している。
左にある石はモナズ石



今回使う予定の部品を並べてみた

早速、基板を試作してみた。材質はガラスコ
ンポジットを使用。加工しやすい。

部品を実装してみた。基板の裏面に、押し
ボタンSWと液晶パネル

基板の表面は意外とスカスカ
次号ではここにEEPROMと通信回路を

ケースの加工は図面ナシのその場判断
TAKACHI製HA1593-QG使用

配線も楽々完了。高圧だけは太いものを使用
GM管は浜フォトD3372


 実測消費電流は4〜5mA程度である。5Vの三端子レギュレーターはJRCの2930L05を使うと、消費電流が単純に3〜4mA大きくなる。したがって、S81350HGを必ず使う必要がある。ソフトには、バッテリー電圧のチェック機能がついているので、時々電圧のチェックを行うとよい。5.5Vくらいまでは問題なく使える・・・と思う。

<プログラム>

 PICのプログラムには専らFED社のC言語を使っている。日本ではIPIにて9800円で購入できる。僕が使用しているものはVer2である。GM管のパルスは10秒間隔でサンプリングされ、リングバッファに蓄えられる。PICのRAMは192バイトしかないので、10分間のデータを蓄えることとした。表示する数値は、10分のデータの中から、必要に応じてデータを取り出し、計算するようにした。GM管のパルスをTimer1でカウントしていたのだが、なんと、クリア後必ず1パルスカウントしないという現象にぶち当たった。よくよくPICの仕様書を見てみたら、そういう仕様らしい(下の図参照)。仕方ないので、GMパルスのカウントはすべてソフトウェアで行うこととした。



 試作途中のソフト(コンパイル済みHEXファイル)は下。あくまでも試作用であり、シーベルト表示に関しては、何の保証もないことを断っておく。カウント機能についてはちゃんと動作するものである。そもそも、カウント数からシーベルトなどへの単位換算は、実際に作製した装置での検量が必要となる。感度はGM管の配置などに影響されるためである。なお、秋月電子のライターを使ってのPICへの書き込み方法は過去の報告を参照すること。

2001/05/12ファーストリリース、D3372用




<完成>

 手のひらサイズのGMカウンターが完成した。手のひらサイズ1号ということで、まずはこんなところだろう。ゲートタイムは1分から10分であり、GM管の資料から強引にデータを拾い出し、パルス数からシーベルトへの単位換算を行い、表示が可能なモードも選択できる。


<次回>

 さて、次回ではこのポケット型をグレードアップさせたい。具体的には、シリアル通信機能の追加と、EEPROMの追加によるデータロガー機能の追加、そして、雲母窓型GM管の採用である。基板の大きさをかえずにこの3つを追加できるか、楽しみである。

<線量の測定>

 2001年の5月から6月にかけて、海外へいくチャンスがあったので、早速線量計測を行ってみた。

場所線量(Count/10min)
千葉市内の鉄筋コンクリートの一室20〜30
台湾台北市内のRZホテルの一室 20〜30
国際線飛行機の中 96〜130
マレーシアPortDicsonの海岸 35
マレーシアクアラルンプール近郊コンドミニアム一室49
マレーシアクアラルンプールのBatu洞窟内 18〜20
マレーシアクアラルンプールのPPホテルの一室 38


<参考文献>

1.伊藤守行、「禁煙アラームの製作」、トランジスタ技術SPECIAL No33, p144-146
2.伊藤守行、「GM管を使った放射線計測器の製作」、トランジスタ技術SPECIAL No33, p147-154
3.松原聰、「鉱物カラー図鑑」、ナツメ社
4.渡利一夫、稲葉次郎編、「放射能と人体」、研成社、1999
5.マイクロチップテクノロジー社、PIC16F873仕様書
6.後藤哲也、「PIC活用ガイドブック」、技術評論社、第一版2000年
7.浜松フォトニクス、D3372資料


2001/05/06
追記2001/05/09
完成2001/05/12
データ追加2001/06/17
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