ワールドカップ男子観戦記


第1日
第2日
第3日
第4日
第5日
第6日
第7日
第8日
第9日
第10日
第11日

各賞講評
非公式チーム集計

全試合欠かさずメモを取りながら見るという、女子のようなやり方を男子まで続けることは、いくら何でも不可能である。男子については、イタリア、ロシア、キューバあたりを中心に、好カード・注目のカードをつまみ食いする形で観戦した。


第1日

キューバ対韓国

点差以上に力の差を感じる試合。キューバはまだまだ半分の力も出していない。(汗さえまともにかいていない!)ミスをしても思い切りやればいいという感じで、余裕が見えた。一方韓国は、キューバのブロックを怖がってスパイクミスする場面が目立った。キム・セジンも調子は今ひとつで、一時ベンチに下げられることもあった。

1999/11/18 12:30-
National Yoyogi Gym., Shibuya, Tokyo

       CUB - KOR
         3 - 0
1st     25 - 23       21 min. 8-6 16-15 21-19
2nd     25 - 18       21 min. 8-7 16-13 21-17
3rd     25 - 20       21 min. 8-7 16-12 21-16
Total   75 - 61   1 h. 3 min.


アルゼンチン対スペイン

スペインはパスカル、アルゼンチンはミリンコビックと、互いにスーパーエースを擁するチーム同士の対戦。(ミリンコビックはポジションはセンターだが)パスカルは昨年世界選手権、ミリンコビックは前回ワールドカップの最多得点者である。
力の差はさほどないと思われたが、1,2セットは、スペインに続けてミスが出たり、スペインの攻撃が素直すぎてアルゼンチンに止められたりして、アルゼンチンが連取。第3セット終盤は、両チームのスーパーエースの壮絶な打ち合い、意地の張り合いとなる。そしてデュースに突入。しかし最後は、ミリンコビックがパスカルを止めて決着。ミリンコビックは当然MIPにも選出された。

1999/11/18 15:00-
National Yoyogi Gym., Shibuya, Tokyo

       ARG - ESP
         3 - 0
1st     25 - 21        22 min. 6-8 16-12 21-17
2nd     25 - 20        23 min. 8-6 16-11 21-15
3rd     29 - 27        29 min. 8-6 14-16 17-21
Total   79 - 68   1 h. 14 min.


カナダ対日本

カナダが第3セット半ばからセッターを交代したところ、サイドへのトスが早くしかも高くなり、日本は結局上からやられてしまったという印象である。日本に勝負所でミスが出るのは、昨年世界選手権と同様だ。

カナダのこの試合の先発は、エースのダーデン以外ほとんど国際大会の経験のない若手である。(これまで国際大会で主力となっていた選手は、いずれも外国のプロリーグ所属で、この大会のために戻ってくることができなかった。)だから、昨年のチームに比べれば、力は落ちるはずの相手だった。
明らかに調整不足のチームとか、急に若手に切り替えてきたチームとかあるので、もしこの大会で全日本が上位に入ったとしても、それをそのまま信用することはできないと思われた。まして、そのカナダに逆転負けでは(全日本にはこれ以上の秘策があるとも思えない)、前途は途方もなく多難だと言わざるを得ない。

1999/11/18 18:15-
National Yoyogi Gym., Shibuya, Tokyo

       CAN - JPN
         3 - 2
1st     19 - 25        22 min. 3-8  8-16 14-21
2nd     25 - 23        26 min. 4-8 16-14 21-20
3rd     16 - 25        23 min. 5-8  8-16 12-21
4th     25 - 21        24 min. 8-6 16-11 21-16
5th     15 -  8        12 min. 5-3 10- 6 12- 6
Total  100 - 102  1 h. 45 min.


ロシア対中国

とにかく気になったのは、中国の元気のなさ。明らかに調整不足。そもそも張翔が先発でなかった。
第2セットこそ、終盤に中国にブロックポイント、ロシアにスパイクミスが出るなどで、デュースとなったものの、1,3セットは全く沈黙。
確かにロシアには高さもありスパイクも威力があるが、べらぼうに強いとは思えなかった。特に、手元集計でサーブミス18本の出血大サービス。これでこの点差になっているのだから、中国がいかに悲惨な内容だったかわかる。

1999/11/18 18:30-
Kagoshima Arena

       RUS - CHN
         3 - 0
1st     25 - 14   18 min. 8-5 16- 9 21-11
2nd     27 - 25   21 min. 8-6 16-12 21-19
3rd     25 - 13   16 min. 8-2 16- 5 21- 7
Total   77 - 52   55 min.

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第2日

イタリア対ロシア

第1セットは終盤、イタリアのトス回しがロシアにことごとく読まれ、立て続けにブロック、ジャーニのバックアタックミスもあり、ロシアが一気に突き放した。
第2セットは中盤イタリアが18-15と3点リード、しかし第1セットと同様、20点前後からロシアのブロックにつかまったり、イタリアのサーブレシーブが乱れたりして逆転。デュースに突入したが、イタリアにとって痛恨だったのは、27-27の場面で出た何でもないパスミスだった。ダイレクトで相手コートに入ってしまい、失点。
第3セットも19-17ロシアリード。しかもこの場面で、イタリアはパピが負傷交代。雰囲気的には最悪だったが、交代で入ったサルトレッティのエースなどで(この選手は、サウスポーから、体を回転させる独特のフォームで強烈なジャンプサーブを放つ)流れを変えて、25-23でイタリアが何とか1セットを奪う。
しかし第4セットは、ロシアに要所でブロックが出て、サーブでイタリアを崩し、序盤から着実にリードを広げた。

ロシアとしては初の世界一に向けて、最大のハードルをクリア、視界は良好である。

1999/11/19 13:30-
Kagoshima Arena

       ITA - RUS
         1 - 3
1st     21 - 25        19 min. 7-8 15-16 19-21
2nd     27 - 29        25 min. 6-8 16-15 20-21
3rd     25 - 23        23 min. 8-6 16-13 20-21
4th     18 - 25        22 min. 6-8 11-16 14-21
Total   91 - 102  1 h. 29 min.


韓国対日本

負けたという結果以上に、日本本来のバレーができていないことに無力感を強くした試合だった。
試合開始から、サーブがきっちり返らない、コンビがあわない。いきなり9-3韓国リードという、信じられないような流れになってしまった。第3セットを何とか奪い、ストレート負けこそ免れたものの、結局このスタートが試合全体を象徴していた。

1999/11/19 18:15-
National Yoyogi Gym., Shibuya, Tokyo

       KOR - JPN
         3 - 1
1st     25 - 19        22 min. 8-3 16-11 21-16
2nd     25 - 16        21 min. 8-7 16-13 21-16
3rd     22 - 25        25 min. 4-8 13-16 20-21
4th     25 - 20        25 min. 8-4 16-10 21-14
Total   97 - 80   1 h. 33 min.

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第3日

この日は寝てばかりできちんとメモも取っていないため、かなりいい加減になります。ごめんなさい。

ITA3 (25-16, 25-19, 25-17) 0BRA
世界ランクでは1位と2位の対戦ながら、まさかというほどの一方的な試合。第3セットしか見ていなかったけれども、ブラジルは中盤以降、サーブで崩され、ブロックで仕留められ、イタリアにやられる一方だった。セット間の中断を含めて1時間もかからずに終わってしまった。
ブラジルは初戦でいきなり格下のはずのアメリカにフルセットの末敗れた。アメリカが強いのかブラジルが悪いのか見当がつきかねていたが、この試合で、ブラジルがダメなのだ、という結論に達した。ロシアの敵にもなりそうにないと思われた。

RUS3 (25-18, 25-15, 25-21) 0TUN
いかに格下の相手とはいえ、この試合のロシアは完璧に近い内容で、付け入る隙を見つけるのは難しい。チュニジアは、随所に好プレーは出るのだがつまらないミスからの失点が多いという印象を受けた。
ロシアにとって最大の敵はやはりキューバと思われた。キューバはここまで本気を出していないので、実力のほどが見当つかなかった。両チームの日程は、女子のキューバとロシアと入れ替わったような感じで、ロシアが前半で四強直接対決のうち2試合、アメリカ戦も消化し、後半にはキューバ以外にそれほどめぼしい相手は残っていないという日程だった。一方、キューバは四強との対戦が最終3連戦に集中した。

USA3 (23-25, 25-21, 25-22, 25-14) 1CHN
アメリカは、ブラジルにフルセット勝ち、チュニジアに1セット落とすという、不思議な戦いぶりで、戦力のほどをちょっとつかみかねていた。男子アメリカも若く非常に大型のチームに切り替えている。
第1セットは終盤逆転で中国が今大会初めてセットを奪う。若いチームだとそれで崩れる可能性があるが、第2,3セットはアメリカが後半の競り合いから抜け出した。不運にも、張翔が第3セット終盤に相手選手と接触し負傷。第4セットは一方的になってしまった。
このアメリカチームで最大の注目選手が15番のローメイン。一時は最多得点独走という活躍を見せた。最高到達点372cm。これまで何年間か、最高到達点世界一はキューバ鳥人軍団トップのイオスバニ(エルナンデス)だったけれども、それを抜いた「雲に一番近い男」である。200cm,120kgという体格からして、バレーボール選手の常識をはみ出ている。ブロックが2枚3枚ついていてもことごとく打ち破ってしまう。現在でもスパイクの威力は十分恐ろしいが、この選手が磨き上げられたらとんでもないアタッカーになることは間違いない。
アメリカは粗削りだが勢いに乗っていることは確かで、超大型チームということもあり上位チームにとっても怖い存在になることは、この時点で予想された。

CAN3 (25-23, 28-26, 25-21) 0KOR
韓国がやや有利ではないかと予想された対戦だったが、カナダは大型チーム、一方韓国には高さがないだけに、韓国が乱れて二段になったりトスが少し低かったりすると、ことごとくカナダにシャットされてしまう。1,2セットとも、それが肝心の場面で出てしまった。
第1セットは中盤大きく韓国がリードしながら追い上げられ、シン・ジンシクがシャットされてブレーク得点、一発決着。
第2セットは韓国に1回セットポイントがあった。しかし、24-24からイ・キョンスがブロックにつかまる。その次のプレー、韓国のスパイクをカナダが拾うものの、選手が交錯してうまくトスを上げられず、結局キム・セジンが決め返す。しかし流れは変わらず、27-26から韓国のフェイントが拾われ、5番ズロースキーのバックアタックで決着。
第3セットは最初のテクニカルタイムアウト前後からカナダに立て続けにブロックポイント、それを追い上げきれずに終わった。

それにしても、全日本が勝った試合を見ていないとは、何という不届者だ>自分

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第4日

ブラジル対ロシア

第1セットは序盤ロシアがサーブで崩してリード。一時ブラジルが先行する場面もあったが、中盤にロシアの高い打点からの強打で突き放された。
しかし第2セットは、序盤にエンドレスのサーブで崩し、ブラジルが5連続ブレーク。このあたりからブラジルのブロックがロシアの攻撃につくようになり、シャットもしばしば出る。
第3セットも、ビテンクールのノータッチエースからブラジルが波に乗る。ブラジルは相変わらずブロックがよく、一方ロシアのブロックはブラジルのスパイクをことごとくはじくばかりだった。今大会初めてブラジルが勢いに乗り、ロシアは苦しいかと思われた。
しかし第4セットは、テチューヒンのサーブで崩し、序盤からロシアリード。ゴドイフィリョが止められ一時17-11まで差が開く。ここからブラジルもチアロッティ、途中2枚替えで入ったモンテイロのサーブで崩し、1ブレーク差まで追い上げる。しかしその後、ゴドイフィリョがまたもロシアのブロックにつかまり、突き放された。
最終セットは、1-1からブラジルにサーブミス、スパイクミス2本、ヤコブレフのバックアタックをはさみ5-1ロシアリードとなる。この後ブラジルも1ブレーク差まで追い上げたのだが、12-10からビテンクールがシャットされ、決定的な1ブレーク。14-12から、テチューヒンのバックアタックがアウトのはずのところ、ブラジルに痛恨のネットタッチで試合終了。
ブラジルは第2,3セットと本来の試合ができていながら、結局ミスが命取りとなり試合を落としてしまった。

内容自体は濃い試合だったのだが、いずれのセットも、序盤3分の1までにリードしたチームがそのまま奪っている。ラリーポイント制によって、セットの展開が非常に単調なものになってしまっていることが、この試合でも示されている。

1999/11/22 13:30-
Kumamoto Prefectural General Gym.

       BRA - RUS
         2 - 3
1st     20 - 25        20 min. 6-8 14-16 17-21
2nd     25 - 21        22 min. 8-4 16-11 21-17
3rd     25 - 19        19 min. 8-6 16-11 21-16
4th     22 - 25        23 min. 4-8 11-16 18-21
5th     12 - 15        13 min. 1-5  8-10 10-12
Total  104 - 105  1 h. 35 min.


イタリア対アメリカ

第1セットは、アメリカにミスが多く、スーパーエースのローメインもシャットされるなど、一時13-8イタリアリードとなった。しかしその後、次第にアメリカのリズムに変わる。アメリカのブレークチャンスをイタリアはしのぎ続けていたが、それでもアメリカの流れは変わらなかった。19-16イタリアリードから、イタリアのサーブミス、オーバーネットで1点差、ランバートがフェイントを見事に落とし、ミラーがベルナルディを止めてアメリカが逆転。この後、イタリアに3本続けてサーブミス、全く流れをつかめない。イタリアはセッターを交代したが、これが裏目。そのセッターとジャーニのタイミングが合わず、バックアタックがアウトついにアメリカが2点リード。最後はローメインに決められた。
第2セットも、イタリアに焦りからサーブミス・ネットタッチ・スパイクミスなどが続出、アメリカはブロックでワンタッチをとりつないで決めるという理想的な形で、14-6という信じられないような点差がつく。終盤は両チームにミスが出て、しまらない展開になってしまった。
第3セットも、ジャーニ、ブラッチとシャットされたり、イタリアにスパイクミスが出たりして、アメリカがリードを広げていく。そして16-13からミラーのサービスエース、ハイデンのスパイクで2連続ブレーク、イタリアは追い込まれる。終盤、イタリアはアメリカのクイックを拾ってつないで、ジャーニと交代で入った新世代スーパーエースのジョンビーニが決めるという好プレーがあった。しかし、イタリアらしいプレーがようやく出たのが、2セットを連取され第3セットも19-23ビハインドと追い込まれてからとは。アメリカのミスで21-23となったものの、この後ローメインに2本続けて決められて試合終了。

アメリカのビール監督は、イタリア・ロシアとの連戦でイタリアに絞ると語っていたところ、それが見事に実った。アメリカはブラジル・イタリアを破って4連勝、この時点でベスト3の可能性はかなり高いと思われた。のみならず優勝の行方も大きく左右する存在になってきた。

ミスが続いていったんリズムが崩れると、実力のあるチームでも、現在のルールではそれを取り戻せないまま終わってしまう。今大会の男子では、特にそれが多いような気がする。そうなれば確かに番狂わせは増えるが、やはりそれはバレー本来の醍醐味ではない。

1999/11/22 16:00-
Kumamoto Prefectural General Gym.

       ITA - USA
         0 - 3
1st     23 - 25   20 min. 8-6 16-12 20-21
2nd     19 - 25   19 min. 4-8  8-16 13-21
3rd     22 - 25   20 min. 6-8 13-16 16-21
Total   64 - 75   59 min.

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第5日

ロシア対アメリカ

男子バレー界に長年君臨した旧ソ連、近代バレーの基礎を築き一時代を画したアメリカ。この両チームは、昨年の世界選手権準決勝ラウンドでも、フルセット3時間という死闘を演じている。そして今大会も、米ソ戦の伝統が復活した大熱戦となった。

この試合、ロシアはローテーションを半周ずらし、カザコフを最初にサーブに回す形でスタート。これが成功、第1,2セットはロシアがサーブでアメリカを崩し連取した。
しかし、第3セットは、12-11ロシアリードからロシアにミスが相次ぎ、アメリカが5連続ブレーク。
第4セットは、スーパーエースのローメインに当たりが出ず、一時17-12ロシアリードとなった。しかし第3セットから交代で入ったバーネットが流れを変える。バーネットにスパイクとブロック、ボールにもブロック、ミラーのノータッチエースで、18-18の同点。さらにホフがテチューヒンを止めてアメリカ先行。この後はサイドアウトが延々続き、息詰まるデュースに突入。両チームとも何度かチャンスはあったが、そのたびに力が入りすぎミス。30-30の場面から、完璧なトスが上がったが、ヤコブレフがよもやのスパイクミス。その直後、カザコフのクイックが止められ、ついに最終セットに突入。
しかし、最終セットはロシアの高さとパワーが上回った。ローメインがこのセットだけで3度止められた。このセットは、ロシアは通常のローテーション順でスタートさせたが(カザコフを3ローテ連続前衛でスタート)、これも成功した形になった。最後は、第3セット以降要所でよく働いたバーネットが力尽き、スパイクミス。

1999/11/23 16:00-
Kumamoto Prefectural General Gym.

       RUS - USA
         3 - 2
1st     25 - 22        23 min. 6-8 16-13 21-18
2nd     25 - 19        21 min. 8-7 16-10 21-13
3rd     20 - 25        22 min. 8-6 12-16 17-21
4th     30 - 32        27 min. 8-7 16-12 20-21
5th     15 - 11        14 min. 5-3 10- 7 12- 9
Total  115 - 109  1 h. 47 min.

第2ラウンドのB会場は、2日間でしかも全日本が来ない日程ながら、男女とも好カード・好試合が多く、大変な盛り上がりとなった。この試合では、女子富山会場をも上回る異様な興奮に包まれた。

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第6日

ロシア対韓国

第1,2セットは、ロシアがサーブで崩し、高さとパワーで圧倒。このままストレートで終わるだろう、という雰囲気になりかかっていた。
しかし第3セット、韓国が逆にロシアをサーブで崩し、攻撃が単調になったところをブロックで止める。また、韓国のアタッカーはことごとくロシアのブロックを利用してブロックアウトをとることに成功する。
第4セットは、序盤に韓国に好レシーブが出て、それでロシアが一発で決めようと力が入り、チャンスボールでのミスなど、おかしなミスが続出する。終盤に韓国がイ・キョンスのサーブで崩し3連続ブレーク(うちエース2)、逆転でとる。
最終セットも韓国の流れのまま、最後はシン・ジンシクが決めた。
MIPは韓国が勝った試合だけに、世界のリベロ、イ・ホが選出。

拾ってつないで、相手のいやがるところに打って決めるという、韓国のパターンが見事に出た試合だった。相手としては、心理的に非常にダメージが大きい。次は決めてやると力んで、悪循環に陥ってしまう。

1999/11/26 16:00-
Nagano White Ring Arena

       RUS - KOR
         2 - 3
1st     25 - 18        18 min. 8-3 16-11 21-16
2nd     25 - 15        18 min. 8-6 16-11 21-12
3rd     23 - 25        23 min. 6-8 13-16 18-21
4th     22 - 25        21 min. 7-8 15-16 20-21
5th     11 - 15        11 min. 5-4  8-10  9-12
Total  106 - 98   1 h. 31 min.

この大番狂わせで、キューバの優勝の可能性はかなり大きくなったと思われた。ロシアが全勝でいる限り、キューバも全勝でいかないと優勝がない。アメリカ・ロシア・ブラジル・イタリアという最終4試合、全勝は難しいだろうと思われた。しかし韓国の大勝利により、セット率の関係で(キューバはこのときいまだに失セット1)、キューバは1敗しても優勝の可能性がかなり残る。ここまでの戦いを見る限り、ブラジル・イタリアにはキューバは勝つと思われた。

この日は第1試合でブラジルがフルセットで敗れ、第3試合もイタリアがアルゼンチン相手にフルセットまでもつれた。(ブラジルは今大会不振だが、まさかカナダには負けないだろうと思っていた。しかもブラジルも2セットを連取、それも第2セット25-16で楽勝ムードのはずのところ、その後3セットを奪われ逆転で落とした。試合展開としては完全コピーのような試合が続いたことになる。このようなこともあるものだ。唖然とするしかない。)長野地方(ホワイトリング)は終日大荒れだった。

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第7日

キューバ対チュニジア

本日のスペシャル(?)は、何とキューバ対チュニジア戦。
メモを取っていなかったので、記憶だけに頼って書きます。すみません。

第1セットから、チュニジアはキューバに食らいついていった。中盤まではそれほど点差が開かなかったけれども、終盤になってキューバの高いブロックがチュニジアの攻撃を押さえ込み、突き放した。
第2セットは序盤からチュニジアリード。さらにテクニカルタイムアウトをはさみ、4番バグダディの好サーブが次々決まり、チュニジアが4連続ブレーク(うちエース3)。バグダディはスパイクでも、このセット以降、打てばことごとくブロックアウトをとった。バグダディの活躍で、第2セットをチュニジアが奪う。
第3セットは、序盤にオズワルド(エルナンデス)の強烈なジャンプサーブを立て続けに食らい、キューバが8-2の大量リードとなる。ほとんどこの差のまま、24-19でキューバが最初のセットポイントを迎えたが、チュニジアがこれを切った後、キューバのサーブレシーブを崩し3連続ブレーク、24-23。しかも、チュニジアには同点にできるチャンスボールがあった。そこでチュニジアのスパイクをキューバのピメンタがブロック、かろうじてキューバがセットをものにする。
第4セット、中盤にキューバにブロックポイントが出るなどで、キューバが2,3点先行するものの、チュニジアはキューバをサーブで崩してそのたびに追いつく。このセットもデュースに突入した。24-24から、チュニジアはピンチサーバーを起用、しかし痛いサーブミス。その直後、キューバもピンチサーバー、そのサーブでチュニジアのサーブレシーブが乱れてダイレクトで返ってしまい、たたきつけられた。最後は、ピンチサーバー起用の成否が勝負を決めた。

勝負にはキューバが勝ったものの、内容としては、特に第2セット以降はほとんどチュニジアのいいところばかりが目立った試合。MIPにもチュニジアのバグダディが当然に選出された。チュニジアはこれまで、1本ミスが出たりシャットされたりすると元気がなくなってしまい連続失点する場面が目立ったけれども、この試合ではミスをしてもうつむくことなく、常に前向きにプレーを続けていた。

日本から見ると、こんなところでチュニジアをたたき起こしてほしくはなかった>キューバ
翌日チュニジアに2セットを奪われる伏線は、すでにこの日にあった。

1999/11/27 12:30-
Osaka Municipal Central Gym.
Cuba3 (25-18, 22-25, 25-23, 26-24) 1Tunisia


中国対日本

とりあえず、日本が勝って何よりだった。その試合を見逃さなかったことも。
今大会の中国はとにかく元気がなく、ミスも多く、一方的に落としているセットが極めて多いので、これなら日本も勝てるはず(むしろ、この相手に負けるようでは、五輪出場などおぼつかない)と思っていたが、とにかくよかった。
とはいえ、点数で見ればそれほどの差は付いておらず、アジア大陸予選に向けて決して楽観できる内容の試合ではない。第3セットは、15-20と中国にリードを許していた。何より、大陸予選は、中国で行われるのだ。

1999/11/27 18:15-
Osaka Municipal Central Gym.

       CHN - JPN
         0 - 3
1st     22 - 25        24 min. 6-8 13-16 17-21
2nd     22 - 25        22 min. 5-8 13-16 19-21
3rd     27 - 29        31 min. 8-5 16-12 21-19
Total   71 - 79   1 h. 17 min.

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第8日

キューバ対アメリカ

前日スペインに敗れたアメリカだったが、この試合は最初から気合が違った。ポイントにこそつながらなかったが、ローメインがフェンス際までボールを追いかけレシーブ、勢い余ってフェンスを越えて机の向こう側に飛び込んでしまった。このファイトに、会場も一気にテンションが高まった。逆にキューバはアメリカの気迫にのまれるかのように、ミスが続いた。ローメインがスパイク・ブロックに活躍、アメリカがサーブでもキューバを崩し、第1セットは序盤から一方的なアメリカペースとなった。

第2セットも序盤はその勢いのまま、サービスエースとバックアタックでローメイン一人で3連続ブレークなど、一時はローメインのワンマンショーとなった。しかし、14-9アメリカリードの場面で、アメリカのクイックを初めてキューバが拾ったあたりから、流れが激変する。キューバが強烈なサーブでアメリカを崩し、ローメインをシャット、オズワルドの強打も出て、4連続ブレーク。16-14アメリカリードから、ランバートのスパイクミス、12番ホフのクイックもキューバがシャットし、キューバが2連続ブレーク、同点。17-17から、デニスのスパイク2本、ランバートがスパイクミスで、キューバが一気に突き放す。この後もキューバにサービスエースやブロックポイントが出て、第2セットは後半にキューバが猛攻、25-20キューバ。

第3セットも流れはキューバ、5-3アメリカリードから、アメリカをサーブで崩したり、ローメインを止めたりするなどで、5ローテ連続ブレーク、13-9リードとする。この後、アメリカに20-19まで追い上げられる。しかし、その直後、オズワルドの強打でアメリカを突き放した。最後はローメインを止めて、25-20キューバ。

しかし第4セットは、序盤にアメリカのブロックがキューバをとらえてアメリカリード。8-6からは、ホフのサーブでキューバを崩し、2連続シャットに結びつけた。17-13アメリカリードから、13番ロカのスパイクミス、ハイデンのノータッチエースで、アメリカが2ブレーク。このセットを決定的なものとする。最後もハイデンがライトから決めて、25-20アメリカ。勝負は最終セットへ。

最終セットは、ランバートがオズワルドのバックアタックを2本続けてシャット、アメリカが勢いに乗る。
圧巻だったのはアメリカの5点目。ランバートがキューバのスパイクをレシーブ、それをフェンス際でかろうじてつないだ。とても打てるようなボールでないと思われたが、ランバートはそれをバックアタック。しかもそれがキューバコートの隅に落ちた。何とこのセット、アメリカの6点目までが全てランバートの得点。第2,3セットと、キューバの高いブロックに阻まれ苦しんだランバートが、この場面で大爆発した。この後もハイデンがデニス・オズワルドを相次いでブロックするなど、8-3とアメリカが大きくリードした。
この後アメリカにスパイクミス、13番ロカのネットインノータッチエースなどで、キューバも9-7と追い上げた。しかしデニスのスパイクをシャットし、しのいだ。そしてキューバのサーブレシーブがダイレクトで返ってしまい、それを打ち返してアメリカがブレーク。
この後は、運命の女神もアメリカを後押しした。11-8から、アメリカのサーブレシーブは完全に乱れ、ランバートがかろうじてチャンスボールを返しただけだった。ところが、そのボールがネットに当たり、角度が変わった。キューバはそれを処理できず、アメリカの得点。13-10から、ローメインのサーブがミスになるかと思われたところ、ネットを越えてぽとりと落ちた。
最後はランバートがロカをシャットして決めた。

間違いなく今大会のベストゲームと言える試合。1ポイント1ポイントの内容が別格。それは残念ながら、文字では表現できない。これが世界最高のバレーだ、というのを全国に放送してほしかった。
私は最終セットにいたって、思わず頭を抱えてしまった。なぜこの試合を録画しなかったのか?極めて重要な試合だとわかっていたはずなのに。

そしてもう一つ残念なのは、この試合を見た観客が2000人にも達しなかったこと。全日本の来る会場なのに、しかも休日なのに!!
いくら第1試合といっても、朝早い時間ではない。昼間の12時半開始だ。全セットラリーポイント、しかも1日3試合だから、時間的には十分余裕がある。

1999/11/28 12:30-
Osaka Municipal Central Gym.

       CUB - USA
         2 - 3
1st     19 - 25        20 min. 3-8  9-16 12-21
2nd     25 - 20        23 min. 2-8 13-16 21-18
3rd     25 - 20        22 min. 8-7 16-13 21-19
4th     20 - 25        22 min. 6-8 12-16 16-21
5th     11 - 15        16 min. 3-5  7-10  8-12
Total  100 - 105  1 h. 43 min.


スペイン対中国

試合は静かな雰囲気でスタート。
第1セットは、スペインが先行し中国が追いつくという展開を何度か繰り返す。22-21スペインリードから、6番ベガがサービスエース。最後は17番デラフンテのスパイクで、スペイン25-22。
第2セットは第1セットとほとんど逆の展開、中国が常時先行。終盤に6番ロ衛中の2連続サービスエースで、中国が突き放した。
第3セット、中盤までは競り合いとなる。18-17から、デラフンテのサービスエース、スペインが2点リード。さらに、20点を過ぎてから、中国にミスが続き、フェイントがブロックされて24-20、ほぼ決着した。最後はパスカルのバックアタックで25-21。
第4セット序盤は、このセットで決めるとばかりパスカルが打ちまくり、スペインリード。しかし、12-9スペインリードから、張翔のスパイク、パスカルのスパイクミス、途中交代で入っていた11番カレーニョのクイックも止められ、中国が3連続ブレーク、追いつく。14-14からは中国に好レシーブも出て、張利明や張翔のスパイクなどで中国が3連続ブレーク。19-16からサルバドール・パスカルが相次いで止められ、21-16まで差が広がった。この後、中国につなぎのミス、サーブレシーブも食らい、20点以降のミスでセットを落としているだけに悪い雰囲気になったが、ここはエースの張翔が切った。最後も張翔のスパイクで、25-22。
最終セットはパスカルが最初のスパイクをミス、2-0中国リード。11-9までは中国がほぼこの差を保った。しかし、11-10から、中国にサーブレシーブの乱れ、セッターがオーバーネット。さらに、張翔のスパイク、途中交代の5番陳キのクイックが続けて止められ、スペインが3連続ブレークで一気に2点リード。そのままセットポイントを迎えた。14-13、誰がどう見てもパスカルに打たせると思われる場面だが、その通りパスカルのバックアタック。中国は当然ヤマを張っていた。1枚でシャットしてデュースへ。しかし、18-17から、ベガのスパイクでスペインがこの試合をものにした。

試合前半は、セットの終わりでミスも出たが、最終セットは緊迫した好ゲームとなった。
前半静かな雰囲気になったのは、パスカルの打数が意外なほど少なかったことが大きな要因だと思われる。確かに、パスカル一人に頼るバレーでは、世界では通用しない。しかし、パスカルがある程度打っていかないと、スペインのチームも観客も盛り上がらないのもまた事実だ。

1999/11/28 15:00-
Osaka Municipal Central Gym.

       ESP - CHN
         3 - 2
1st     25 - 22        21 min. 8-7 16-13 21-19
2nd     21 - 25        21 min. 5-8 14-16 19-21
3rd     25 - 21        22 min. 7-8 15-16 21-19
4th     22 - 25        23 min. 8-5 14-16 16-21
5th     19 - 17        20 min. 3-5  8-10 12-11
Total  112 - 110  1 h. 47 min.

この日の大阪会場は、3試合全てフルセットまでもつれ、極めて内容の濃い一日となった。残念だったのは、第1試合が最高の試合で、第3試合に向かうにつれレベルが下がってしまったことだった。

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第9日

キューバ対ロシア

江戸の敵を長崎で、ならぬ、名古屋(女子最終ラウンド)の敵を江戸で討つ!
ロシアとキューバは今大会、男子と女子で日程も全く入れ替わったような感じだったが、この試合は事実上の決勝だった女子の同じ対戦の全く裏返しになった。キューバの目が覚めないうちにロシアが叩きつぶしてしまった。第2セットと第3セットの序盤、キューバが勢いに乗るきっかけがなかったわけではない。しかし、いずれのセットもロシアが直後にサーブで崩し、逆転の芽をすぐに摘み取った。

1999/11/30 15:00-
National Yoyogi Gym., Shibuya, Tokyo

       CUB - RUS
         0 - 3
1st     15 - 25   16 min. 4-8  9-16 13-21
2nd     23 - 25   22 min. 6-8 14-16 18-21
3rd     18 - 25   20 min. 6-8 15-16 17-21
Total   56 - 75   58 min.


中国対韓国

およそ1ヶ月後に迫ったアジア大陸予選を占う注目の対戦。しかし、ここまでの戦い方を見る限り、両チームの内容の違いは歴然、中国はセットを奪うのも難しいかもしれないと思われたが、その通りの結果となった。
同じアジアのチームでありながら、韓国はサーブレシーブ・dig(スパイクレシーブやつなぎ)とも全チーム中トップ、一方、中国はサーブレシーブ最下位。この試合でも、その差が、目に見えて、点数に見えて表れた。最終成績でも、それが6勝と1勝という大きな差となった。

1999/11/30 18:35-
Komazawa Gym., Setagaya, Tokyo
CHN0 (22-25, 17-25, 19-25) 3KOR

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第10日

イタリア対スペイン

大会も第10日、選手にとっては最も疲労のたまるあたりである。
パスカルのスタートは、女子のアメリカ対クロアチア(同じ第10日)のバーバラを思い出させるような最悪の状態だった。スパイクミスやシャットされる場面が続出、スペインチーム自体も全く波に乗れない。

第2セットに入り、スペインに好プレーも出る。しかし、前半はまだそれが単発で、試合の流れとしてはイタリアリードだった。スペインの流れを作るのはやはりパスカル。このセット中盤から、パスカルのスパイクが決まるようになり、スペインが追い上げる。そして19-17から、イタリアにサーブレシーブの乱れもあり、パスカルがジョンビーニのバックアタックをシャット。ここでイタリアはジョンビーニに代えてついにジャーニ投入。ところが、そのジャーニもいきなりサルバドールにブロックされる。さらに、ベルナルディもパスカルがブロック、ブロックで3連続ブレーク、一気にスペイン逆転。22-21から、パスカルにサーブ順が回る。一番ほしいところで、何とサービスエース。役者だねえ、と感心するしかない。最後もデラフンテがジャーニをシャットして、25-22スペイン。

第3セットは、スペインにブロックが次々出て、ベガのネットインサービスエースで、16-10とスペインが大きくリード。この後パスカルが止められるなどで追い上げられるが、もう一度突き放し22-17としていた。しかし、サルトレッティの変則回転サウスポージャンプサーブでまず1ブレーク。さらに、23-19からベルナルディのサーブでスペインを一気に崩し、4連続ブレーク。イタリアが一気に逆転した。このセットはこのままデュースに突入。しかし、30-30から、デラフンテのスパイクでスペインが先行。さらにセッターの4番フローレスがサルトレッティを止めて、32-30、スペインがこのセットをものにした。

第4セットも、前半まではスペインがイタリアの攻撃を次々ブロック、イタリアのスパイクミスなどもあり、17-11スペインリードになっていた。しかし、その後パスカルが2連続でブロックされ、雲行きが怪しくなる。このセット、イタリアは中盤でサルトレッティに代わりジャーニ投入。そのジャーニがイタリアの流れを作った。22-20スペインリードから、ジャーニのバックアタック、パスカルのスパイクミスで、イタリアが2ブレーク、同点。23-23から、ベガのスパイク、モルトの速攻が相次いでブロックされ、イタリアが終盤一気の逆転。

最終セットは、開始直後にデラフンテのサービスエースなどでスペイン2点リード。その後追いつかれるものの、次のデラフンテのサーブ順でもイタリアを崩し、11-8スペインリードとした。しかし、11-9からパスカルがシャットされ、その後もスパイクミス、同点。12-12からも、パスカルが決まらず、ジャーニに逆に決められる。さらに、パスカルがまたもブロックされる。最後は、スペインのサーブレシーブが乱れ、ダイレクトでジャーニにたたきつけられた。

第4セット終盤、パスカルにトスを回さずに連続でシャットされたという伏線があったにしても、相手がパスカルに的を絞ってくるのがわかっているのに、なぜ自分で自分の首を絞めるようなトス回しをしたのだろうか?
スペインがパスカルのワンマンチームというのは、もはや過去の話である。今大会のスペインの好成績は、パスカル以外の選手の成長による部分が大きい。今大会、パスカル自身の決定率は50%にも満たない。今や女子のトップクラスエースでさえ、50%を超える値を叩き出す時代である(ユミルカ、アル、すさまじい酷使だったバーバラも)。その一方で、スペインではセンターのサルバドールがスパイク決定率の上位に顔を出している。これは単に決定率が高いというだけではない。スパイク決定率のランキングにセンターの選手はほとんど出てこない。ほとんどのチームでセンターは規定打数に満たないからである。それだけ、スペインはセンターの速攻を使う場面は実は多いのだ。
だから、この試合は、センターあるいはレフトにうまくトスを振ってやれば、スペインが必ず勝てたと思う。

1999/12/1 15:00-
National Yoyogi Gym., Shibuya, Tokyo

       ITA - ESP
         3 - 2
1st     25 - 18        20 min. 8-3 16-12 21-14
2nd     22 - 25        22 min. 8-5 16-15 20-21
3rd     30 - 32        29 min. 7-8 10-16 17-21
4th     25 - 23        23 min. 7-8 11-16 18-21
5th     15 - 12        13 min. 5-4  8-10 12-11
Total  117 - 110  1 h. 47 min.


カナダ対中国

カナダはこの試合全体的にミスが多かった。中国はそのカナダ相手にセットカウント2-1とリードし、第4セットも相手のミスから20-15とリード、十中八九2勝目をものにしたと思われた。しかし、まずカナダは1ブレーク、そして21-18でピンチサーバーの12番リードを起用した。そのリードのサーブがエンドラインぎりぎりに落ちるノータッチエース、一気に流れが変わってしまう。この後も中国のサーブレシーブが乱れこのサーブ順で4連続ブレーク、カナダが逆転した。中国はダーデンをブロックして何とか連続ブレークは止めたけれども、カナダに行った流れは変わらなかった。この後、カナダがブロックで2点差とするブレーク。まさかの逆転で、このセットは25-23でカナダが奪い、最終セットに突入した。
最終セット、中国は序盤にサーブレシーブなどにミスが出てカナダにリードを許し、その差を結局追い上げきれずに終わった。今大会の中国を象徴するかのような、あまりにも稚拙な逆転負けだった。

1999/12/1 16:00-
Komazawa Gym., Setagaya, Tokyo
CAN3 (22-25, 25-23, 18-25, 25-23, 15-13) 2CHN

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第11日

イタリア対キューバ

イタリアはメダルが確定、ロシアの優勝も決まっている。この後に長いリーグ戦を控えるイタリアは、ジャーニをはじめ主力を何人か休ませた。
一方キューバも、メンバーを大幅に入れ替え、若手を入れてきた。これまでのレギュラーで残ったのはダブル・エルナンデスとロカのみ、セッターの2番ビベス、エースに6番ルイス、センターに16番ガルシアを起用した。しかしこちらは五輪出場権がかかるだけに、気合十分。これまで、勝っても負けても感情をあまり表に出さなかったキューバチームだが、この試合だけは全く違った。得点したときにガッツポーズをしたり飛び上がったりするなど、これまで全く見られなかった光景である。そのモチベーションの差が、試合結果にもそのまま出たと言えるだろう。
キューバの若手選手は、これまでのレギュラーメンバーに勝るとも劣らない働きを見せた。特に、センターのガルシアは、スパイク・ブロック・サーブの全てに活躍した。

1999/12/2 12:30-
National Yoyogi Gym., Shibuya, Tokyo

       ITA - CUB
         1 - 3
1st     18 - 25        20 min. 6-8 12-16 16-21
2nd     25 - 23        23 min. 8-5 16-10 21-19
3rd     23 - 25        25 min. 8-7 14-16 17-21
4th     16 - 25        20 min. 6-8 12-16 14-21
Total   82 - 98   1 h. 28 min.

この試合、キューバの応援団も出現、プレー中は全く休みなく鳴り物を駆使した応援を続けていた。ブラジルの鳴り物入り応援団は有名だが、キューバの応援団を見るのは初めてだった。ただし、テレビで聞いている分にはノリが良くて悪い印象はないけれども、実際会場で聞くと、肉声がかき消されてしまうため、屋内で鳴り物はやはり反則という気がする。

なお、キューバの6番ルイスの綴りはRuizである。これはキューバ女子の1番ユミルカと同じ綴りである。ところがユミルカのほうは一般に「ルイザ」と表記される。果たしてどちらが正しいのだろう?
ここで、前年まで女子バレー界に君臨した大エースミレーヤはLuisである。おそらく、ミレーヤとの区別のためにユミルカをあえて「ルイザ」と表記したのだろう。(BCVマスターズのアナウンサーは、ユミルカもルイスと読んでいた。あのアナウンサーは、どの国の選手も(例えば中国選手も)徹底して英語読みしていたが。)


ロシア対スペイン

ロシアは優勝確定、スペインも3位以内の望みはなくなっていたが、パスカルとヤコブレフの得点王をかけたスーパーエース対決となった。この試合前は、パスカルがヤコブレフに6点差をつけてトップに立っていた。
優勝確定のロシアはこの試合、これまでのスタメンのうち、ベテランセンターのオリフベルとエースのシュレポフを下げた。センターはカザコフとデイネキンの摩天楼を組み、エースにはサベリエフを入れた。

この試合、パスカルはうまく力が抜けており、第1セットから大爆発。17-16ロシアリードの場面からが圧巻で、パスカルはスパイクでまず1ブレーク、さらに、おまえにだけは決めさせないとばかり、ヤコブレフを2本続けてブロック。サルバドールのクイック、ロシアのネットタッチと続き、スペインが5連続ブレーク、一気に逆転した。このセット、パスカルは手元のログで何と11得点。男子大会ではおそらく最多の大爆発だった(女子では1セット一人で16得点というとんでもないのがあるが―誰がやったのか書く必要はないだろう。)。

第2セットは、前半は点差が開かなかったが、中盤にカザコフがサーブで崩したところからロシアペースになる。スペインのスパイクミスも出る。終盤にはヤコブレフのサーブ順でも2ブレーク、このセットは25-18と大きくリードしてロシア。

第3セット、序盤はスペインがブロックでリードしたが、中盤にヤコブレフのスパイク、カザコフ、セッターウシャコフのサービスエースなどで、ロシアが逆転。スペインは、テチューヒン、カザコフ、ヤコブレフと次々止めて、再び先行する。しかし21-21から、ヤコブレフにサービスエース。さらに、24-23ロシアのセットポイントで、カザコフのサーブがネットインエース、何ともあっけない形で終わってしまった。

第4セットは開始早々ゴリュチェフが爆発し、サービスエース、バックアタックなどで、ロシアが4-0。ロシアのリードは一時12-7まで開いた。しかし、その後、デラフンテやパスカルのスパイクでスペインが徐々に差を縮める。22-22から、ヤコブレフをまたもパスカルがシャット、デイネキンもクイックもミスで、スペインが2ブレーク、セットポイント。ロシアはここをデイネキンのブロック2本でしのいだ。しかし、26-25から、テチューヒンがスパイクミス、27-25でスペイン。

第5セットは、テチューヒンが2本、ヤコブレフと相次いで止められたところから、一気にスペインのペースになる。ロシアには守備の乱れも出て、9-3までスペインのリードが開いた。しかし、10-5からサルバドールのクイックが止められると、流れは急にロシアに向かう。スペインのスパイクミスで2ブレーク、ベガも止められて、13-12まで追い上げられた。この場面をしのいだのもやはりパスカル。2本続けて決めて試合を締めくくった。
なお、得点王のタイトル争いも、第1セットの荒稼ぎがものをいい、パスカルがこの試合で6点リードを広げて12点差として、前年世界選手権に続くタイトル獲得とした。

CSの放送順としては、この試合が大会最後となる。その最後にふさわしいフルセットの熱戦となった。

1999/12/2 15:00-
National Yoyogi Gym., Shibuya, Tokyo

       RUS - ESP
         2 - 3
1st     22 - 25        22 min. 8-7 16-14 17-21
2nd     25 - 18        19 min. 7-8 16-12 21-16
3rd     25 - 23        23 min. 7-8 16-13 20-21
4th     25 - 27        24 min. 8-5 16-12 21-20
5th     13 - 15        16 min. 2-5  4-10  8-12
Total  110 - 107  1 h. 44 min.

スペインの試合を見ていていつも印象に残ることは、パスカルの人気である。前日のイタリア戦にしてもこの試合にしても、スペインが得点したときと相手が得点したときでは、歓声の大きさが違う。イタリアには、ミスターバレーボールとまで言われるジャーニがいるし、ロシアにもヤコブレフというスーパーエースがいる。それでも、こと応援に関する限り勝負にならない。場内にはスペインの国旗も掲げられているし、パスカルの横断幕もある。
私のページとしても、新しい目標ができた。それは「女子クロアチアチームの日本での全試合(もちろん日本戦は別)を、クロアチアのホームゲームにする」ことである。
私としては、パスカルおよび男子スペインチームに対する意識はかなりある。一つは、バーバラには、パスカルくらいに実力だけでなく人気も世界一のエースになってほしいということである。もう一つは、パスカルという飛び抜けた存在の周りに、若い選手がうまく育っているというチームの状況である。女子クロアチアチームにも、ワールドカップ時点でせめてこの程度の段階には到達していてほしかった。私の見たところでは、2,3年遅れている。
パスカルは決して大きいスーパーエースではない。しかも、パスカルを核にして若い選手が伸びてきたという経歴上、相手のマークは段違いに厳しい。それでもスパイクが決まるのは、力だけではなくうまさもあるからだ。非常に器用な選手で、コースの打ち分け、強打と軟攻の使い分けも自在にできる。また、チームのキャプテンとして、闘志をむき出しにしてチームを引っ張り、チームが崩れかけたときほど立て直す役割を果たしている。パスカルに見習うべきことは多い。

一方ロシアは、この試合には敗れたものの、現代的な組織バレーに衣替えしたのがこの大会で早くも結実した。技術・戦術面でトップチームに追いつけば、ほかのチームにない高さという武器があるだけに、当然有利になる。しかし、まだチームが完成したわけではない。あるいは、監督は、チームの別の弱点として、おとなしい選手が多いということを言っていた。相手の勢いに一気にのまれてしまう場面があったのは、そのあたりも一因かもしれない。


この大会全体として、男子バレーはますます激戦の時代に入っていると実感した。ロシア、イタリア、キューバ、ブラジルあたりは、力の差はほとんどない。この4チームにユーゴも絡む。さらに、アメリカも大型化で力を伸ばしている。スペインも急成長、そのスペインと実力がほとんど変わらないチームがヨーロッパにはいくつもある。カナダも現時点では粗削りでミスも多いが将来性は非常に感じられる。かつての旧ソ連やアメリカのように、三大大会を4連覇も5連覇もするチームは、この先は現れないような気がする。まして、現在の全セットラリーポイント制では、全ての試合でスタートからコンスタントに実力を発揮できたチームが勝っていく、と思われる。
(ただし、現行の全セットラリーポイント制は、早晩何らかの変更があるような気がする。特に男子の場合、やはり圧倒的につまらない試合が多い。世界的に見ても圧倒的に多い男子ファンがNo!!を突きつけると思う。私は、女子のときとは違って、まず試合結果を確認して、フルセットにもつれた試合を中心に見るようにしたので、それを感じることはあまりなかったけれども、現在のルールでストレートの試合となると、本当に救いようがなくつまらない場合がほとんどである。)

全日本はこの大会、3勝8敗、10位という成績で終えた。とにかく3試合は勝った。しかし、前年の世界選手権に比べて、世界とますます遠ざかったように感じられたのは、私だけだろうか。よくやったという実感が残る試合が本当に少なかった。一方的な内容で負けた試合が多い。
あるいは、これが松平氏が月刊バレーボール(1999/1)で語っていたことなのかもしれない。
世界のバレーは、12点以降の3点の取り合いなのだ。12点までは誰でもとれる。その3点の部分だけの違いなのだ。
以前の15点サイドアウト制では、10点くらいは互いに手の内のさぐり合いというところがあった。現在のルールでは、どのチームもセットの最初から勝負に出ている。そうなれば、このような結果が出るのも当然なのかもしれない。

サーブレシーブから崩れる構図は、前年と変わっていない。強いサーブで崩される場面が多いことは、強いサーブを打つ選手が少ないことの裏返しでもある。
この点で危惧されるのは女子である。女子のVリーグでは今回から外国人選手が禁止となる。そのため、強いサーブを打つ選手が一気に少なくなり、すなわち強いサーブを受ける機会も少なくなると思われる。それが生命線のサーブレシーブ技術の低下につながらなければよいが。今大会でも、バーバラのジャンプサーブなど、ほとんどまともに返すことができなかった。

私はCS放送で見ているのでタイムアウトもノーカットで入るのだが、寺廻監督の言葉もほとんど精神的なものばかりである。技術的な部分は、藤田コーチあるいはベンチのベテラン選手から指示が出る場合もあるのだろうが、技術的な指示が出ないと見ている側としてもがっくりしてしまう。
前年の世界選手権のときは、このままいけば強くなるはずだ、という気持ちがあった。しかし、今大会では、果たしてこれでよいのだろうか、という疑問ばかりが残った。寺廻ジャパンという選択は、果たして正しかったのだろうか。

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各賞講評

Best Scorer
唯一前年の世界選手権との連続受賞となった。とはいえ、前年の世界選手権のときほどの大差は付いていない。これもむしろ、スペインがパスカルのワンマンチームを脱して、チームとして成長していることの現れであろう。

Best Spiker
前にも書いたけれども、今大会の男子では、規定打数に足りないためセンターの選手がほとんどスパイク決定率の争いに出てこなかった。とはいえ、スーパーエースのポジションで打数も多いにもかかわらず、決定率60%を大きく上回るヤコブレフはやはり驚異。ヤコブレフは総得点部門でもパスカルと最後までタイトルを争い、世界のスーパーエースの座を不動のものにしたと言えるだろう。

Best Blocker
韓国の若手センター、パン・シンポンが受賞。この部門はもともと誰がとるのかわからない部分が大きいが、韓国はブロックは少ない部類のチームであり、そのチームからベストブロッカーが出たのは失礼ながらかなり予想外だった。

Best Server
強いサーブということにかけてはやはりキューバが一頭抜けており、その中でもオズワルドのサーブは最も強烈である。どうやって受けるのだろう、という感じのサーブが来る。

Best Digger, Best Receiver
イ・ホが堂々の二冠を達成。世界最高のリベロであることを証明した。実際試合を見ていても、この選手のところにボールが来ると、普通では上げられないようなボールでも上がってしまう。もともと前年の世界選手権では、韓国が決勝ラウンドに進出できなかったためタイトルを獲得できなかったのであって、総当たりの今大会では当然に受賞すると思われた。

Best Setter
今大会台風の目となったアメリカのボールが受賞。このタイトルは必ずしも見ていてうまいというのとは一致しないこともあるけれども、ボールのトス回しはやはり安定している。超大型セッターでトスの出所が高いため、相手ブロッカーにとっては見づらい。

MVP
女子のキューバチームの場合、誰を選ぶか難しいところがあったと思うが、男子のロシアはヤコブレフ以外にあり得ないと言ってよいだろう。

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非公式チーム集計

Caution!
この集計は私が手元で計算したものであり、公式に発表されたものではありません。計算誤りなどがある可能性もあります。あらかじめご了承ください。

Attack, Block

攻撃の集計

Rank Team            Hits Succ. Blocked Succ. % Blo. %
  1  Russia          1043  623     89    59.73   8.53
  2  Brasil           975  571     85    58.56   8.72
  3  United States   1161  665     99    57.28   8.53
  4  Cuba             936  534     88    57.05   9.40
  5  Italy           1014  559     88    55.13   8.68
  6  Spain           1137  604    104    53.12   9.15
  7  Korea           1091  569    128    52.15  11.73
  8  Canada           980  510     90    51.78   9.14
  9  China           1043  518    111    49.66  10.64
 10  Japan           1149  538    107    46.82   9.31
 11  Argentina       1137  526    106    46.26   9.32
 12  Tunisia          997  453    123    45.44  12.34
Total Tournament    12668 6670   1218    52.65   9.61
守備の集計
(順位はアタックを決められた割合からシャットの割合を引いた値による)
                     Nb.  Opp. Opp.         Opp.           Block
Rank Team            Set  Hits Succ. Block Succ. % Block % by Set
  1  Cuba             38   901  449   123   49.83   13.65   3.24
  2  Italy            40  1047  511   105   48.81   10.03   2.63
  3  Spain            44  1123  571   121   50.85   10.77   2.75
  4  Russia           42  1065  538   104   50.52    9.77   2.48
  5  Canada           41  1025  540   120   52.68   11.71   2.93
  6  Brasil           42  1012  523    99   51.68    9.78   2.36
  7  Korea            39  1051  534    93   50.81    8.85   2.38
  8  Argentina        41  1142  590   105   51.66    9.19   2.56
  9  United States    45  1201  635   118   52.87    9.83   2.62
 10  Japan            43  1152  645    98   55.99    8.51   2.28
 11  Tunisia          38   909  520    58   57.21    6.38   1.53
 12  China            41  1040  614    74   59.04    7.12   1.80
Total Tournament     247 12668 6670  1218   52.65    9.61   2.47

Serve

                     Nb.             Avg.
Rank Team            Set  Hits Succ. by Set Succ. %
  1  Cuba             38   881   48   1.26   5.45
  2  Spain            44   993   53   1.20   5.34
  3  Russia           42   989   48   1.14   4.85
  4  Brasil           42   952   47   1.12   4.94
  5  United States    45  1050   41   0.91   3.90
  6  Argentina        41   912   33   0.80   3.62
  7  Italy            40   928   31   0.78   3.34
  8  China            41   854   24   0.59   2.81
  9  Tunisia          38   774   22   0.58   2.84
 10  Japan            43   909   24   0.56   2.64
 11  Canada           41   886   22   0.54   2.48
 12  Korea            39   873   15   0.38   1.72
Total Tournament     247 11001  408   0.83   3.71

攻撃面では、ロシアが高さを生かしてトップ、ブラジルがそれに続いた。アメリカは速攻の決定率が極めて高く、アタック全体としても上位に入っている。スペインは攻撃面ではまだトップのチームとは差がある。韓国は決定率自体は低くないが、ブロックされる割合が極端に多い。韓国は意外にも徹底的に強打するチームで、意図的に軟攻をした場面はほとんど思い浮かばない。そのあたりがシャットされる要因かもしれない。アルゼンチンは、ミリンコビックの不調が響き、最下位グループにとどまった。

男子バレーは高度に戦術が発展しており、サーブを打つところからブロック・レシーブまでを一体として考えないと、守備の議論はできないと感じられる。強いサーブで相手を崩す→相手の思うとおりに攻撃させない→ブロックで止める、レシーブもしやすくなる。キューバ・ロシア・スペインあたりは、その流れの中で組織的な守備ができていることがわかる。ただし、ロシアは超大型チームながらブロックはそれほど多い方ではない。イタリアは現代の組織バレーの第一人者だけあって、組織的な守備では数字で見てもやはりトップと言えよう。この観点では、日本・中国あたりは全く逆の悪循環になっている。韓国がアジアの中で一頭抜けているのは、サーブレシーブが安定しており速攻が多く使えたことと、個人技のレシーブが優れていることによると思われる。(サーブが極端に弱く、ブロックも少ない部類では、よほど各選手のレシーブがよくないとトータルとしてまともな守備にならないと思われる。)カナダはサーブが強くなく、ここには書いていないがサーブレシーブも極端に悪い(サービスエースを食らった本数は断然多い。)。それにもかかわらず攻守両面で中程度の数値を出している。サーブとサーブレシーブが改善されれば、急上昇する可能性も大きい。

ただし、上位の4,5チームに関しては、11試合平均の数値で議論するだけではなお十分でない。つまり、どれだけ安定して実力を出せたかどうかが、結果に大きく影響しているのである。特に、現在の25点ラリーポイント制は試合が短いため、試合開始で出遅れるとそのまま終わってしまう場合が非常に多い。キューバは、本来の力を毎試合出せれば当然に優勝できるのだが、目に見えて、数字に見えて好不調の差が大きい。ブラジルも、本来の強さが持続しない試合が何度かあった。イタリアも、チームがかみ合わないまま終わった試合が序盤にあった。今大会最も安定して実力を発揮したと言えるのは、やはりロシアである。

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