女子決勝トーナメント

「今度はヨーカドーの応援」(3/2)
初戦「ガビー、力尽きる」(3/6)
準決勝「Good Job, キュウ!」(3/7)
決勝「有終の美」(3/8)
個人タイトル「バーバラを落とすか?!」(3/9)


「今度はヨーカドーの応援」(3/2)

初戦のヨーカドー対ユニチカ戦、チーム力はヨーカドーのほうが上だとみている。しかし、今シーズンヨーカドーはどういうわけかユニチカに相性が悪い。1勝2敗、勝った1試合もフルセットである。

私としては本来はどちらが勝ってもよいところだが、今度はヨーカドーの応援に回るつもりである。ユニチカにそこまで恨みがあるか、第3回とおあいこなんだから根に持つのはやめなさい*1>自分
*1 第3回Vリーグは、第1レグ終了時点で4勝3敗でヨーカドー、デンソー、ユニチカが並ぶ展開だった。ところがこの中から第2レグでユニチカが2勝5敗と脱落する。第3レグ、デンソーは3勝4敗と苦しんだものの最終戦に勝ち、ユニチカの追い上げをかわし滑り込みでプレーオフ進出を決めた。つまり、前回と今回では、ユニチカとデンソーの立場が入れ替わった形である。

しかし、ユニチカが勝ったとしても、次のNECにはまず勝てないと思う。まさかNECに3-1で勝つほどの爆発力はないだろうし、フルセットに持ち込むことができたとしても、NECと最終セットをやって勝てるとも思えない。
NECは今シーズンフルセットには圧倒的に強く、5勝1敗である。NEC以外で強かったのはデンソー(3勝1敗)・ヨーカドー(2勝1敗)・東洋紡(3勝2敗)、NECはともかくとして*2、それ以外は強力な外国人エースのいるチームである。一方ユニチカはフルセット1勝3敗、小田急(0勝4敗)・東芝(0勝2敗)と並び弱い。これらはいずれも決定力不足が指摘されているチームであり、決定率でも最下位〜下から3番目である。今シーズンを見る限り、「フルセットは決定力のあるエースがいる側が有利」という傾向がはっきりと出ている。
*2 今シーズンのチューリナ、アタックではやや影が薄かった。むしろサーブでの活躍が目立った。もともとチューリナはバーバラやアルとは違い純然たるアタッカーではないのだが。

ヨーカドーなら、第3レグのときのように一発当たれば「奇跡」を起こす力はある。あの試合、ガビーがレーナ(チューリナ)を立て続けに止め、レーナがガビーのブロックをいやがってアウトにしているのが素人目にもはっきりとわかった。そこまでできれば、試合はどうなるかわからない。

もっとも、ヨーカドーにしても、その試合まではNECに勝てるとは思っていなかった。その意味ではユニチカでも同じことかもしれない。

上で「奇跡」と書いてしまったが、どちらが勝ち上がるにしても、第2戦NECに勝つのは至難である。ただでさえチーム力の差が大きい上、前回を見る限り、ステップラダー方式は万全の準備ができる上位チームに有利である。

ページの先頭に戻る
Barbara Jelic FanClubのホームページに戻る
制作者のホームページに戻る


初戦「ガビー、力尽きる」(3/6)

いよいよ女子の決勝トーナメントの初戦である。第1戦、NHKの放送は、昨年と同じで深夜である。しかも、実家滞在中のため、試合を見るより先にニュースステーションのスポーツコーナーは否応なしに見ることになる。
しかし、Vリーグは取り扱われなかった。人気のほどが知れる。しかし、私にとっては、観戦の興をそがないので幸いである。

この試合はビデオにも録画していないので、あまり細かい観戦記は書けない。一応、「リソースとして使う可能性のあるもの以外は録画しない」という方針である*1。すでに熱烈バーバラファンであることは実家にもかなりばれている*2。この試合まで録画したら、本当にバレーきちがい(実際その範疇に入りかけているが)と思われかねない。日曜の決勝戦はマラソンとだぶっているのでおそらく録画することになるので、これも録画してもよかったわけだが。
*1 もちろん、日本人選手がオリンピックで金メダルを取ったなど、よほどのビッグニュースなら別である。
*2 NHK-BSのデンソーの試合を全部録画するように頼んでいるから当然である。

大ざっぱな印象としては、セットの中盤までは競り合いが続き、そこからどちらかのチームが抜け出すというセットが多かった。

第1セットは、まず序盤にガビーのブロック、バックアタックなどでヨーカドーが5対1とリード、そこでユニチカがタイムアウトを取る。そこからはユニチカが次第に追い上げ、7対6の1点差まで迫る。ところが、これで接戦になるかと思った矢先、一気に流れがヨーカドへ。このセットはユニチカはこの後1点も得点できず。14対6で迎えたヨーカドーのセットポイントも、ユニチカは何度かアタックするものの全部拾われる。「あ、これでガビーが打てる形になる」そしてガビーにトスが上がりきっちり決めて、このセットは15対6でヨーカドーが取る。

放送は第2セットが全部カットされ第3セットの先頭からになる。カットされたことからしてユニチカが取ったことはすぐに推測ができたけれども、15対7という得点がわかったのは第3セットの中盤になってからだった。このセット、ヨーカドーは序盤から勝負に出る。ガビーにほとんどのボールを集める。ところがなかなかヨーカドーのペースにならず、序盤は1〜2点ユニチカのリードで進行する。その後、何度か流れが両チームを行き来した。1点入るまでに何度となくサイドアウトを繰り返すことも多く、このセットが試合全体の山場と感じられた。両チーム9点くらいまでほとんど差がない状態が続く。ところが、そこから一気にユニチカのペースになった。14対9でセットポイントを迎える。ところがこのセットポイントをガビーが断ち切ったところから、流れは突然ヨーカドーに変わる。サイドアウトなしで連続3点。ユニチカもタイムアウトを取ったけれども、さらに1点を追加され、その後ようやくサイドアウトにこぎつけた。ここで決まらなければデュースの可能性が大きい、と思われたけれども、今度は決めた。ユニチカが15対13でこの競り合いの続いたセットをものにする。後から思えば、ガビーにボールを集め勝負をかけたこのセットを落としたことは、ヨーカドーにとっては致命的だった。

第4セットも前半がカットされ、ヨーカドー9対8でリードしていたところから放送となる。この時点で、放送残り時間から、「ヨーカドーがこのセットを取りフルセットに突入」は予想された。このセットの中盤、ヨーカドーのセッター内田は意図的に全部日本人選手に打たせていた。明らかに、ガビーに休みを取らせていた。そしてセットの終盤になったらガビーで勝負をかけようということである。このときですでにガビーの打数は100本を超えている。休みを取らせても、疲労が極限に達していることは明らかだった。ジャンプが目に見えて低くなっていた。
試合自体は、第3セットの全く逆の展開になった。終盤一気にヨーカドーが突っ走り、セットポイントを迎える。その後ユニチカが追い上げ、(リアルタイムで見ていれば)どうなるかわからないような流れになる。しかし、ヨーカドーが再び迎えたセットポイントで、ヨーカドーの選手がかろうじてレシーブしたボールが、ユニチカコートの後ろのほうへとんだ。ユニチカの選手は全員コートの前半分に集まっており、その後ろにボールが落ちてしまった。ヨーカドーに幸運な15点目が転がり込み、試合はフルセットに突入した。ラリーポイントの最終セット、本来はヨーカドーに分がある。第4回の通常シーズン、フルセットの試合は、ヨーカドー2勝1敗に対し、ユニチカは1勝3敗である。しかし、問題は、ここまでで明らかにガビーを使いすぎていることである。第4セット終了時点で、すでに打数は110本を超えている。ジャンプ力も素早さも目に見えて落ちている。

最終セット、前半は両チーム一歩も譲らない。どちらかが1点リードするともう一方がすぐに追いつくという展開で、7対7まで全く差がつかずに進む。ところが、そこでヨーカドー・内田が痛恨のダブルコンタクトを取られる。そこから一気にヨーカドーが崩れてしまった。ガビーはもはやジャンプもほとんどできないような状態だった。打点が下がり、得意の移動攻撃も全てユニチカのブロックにワンタッチを取られた。これではヨーカドーに打つ手はない。あっという間にユニチカが得点を重ね、14対8でマッチポイントとなった。ガビーも最後の意地を見せ1点を返すけれども、ラリーポイントでこの差がついてはどうしようもなかった。最終セット15対9で、ユニチカがこの激戦をものにした。

「ガビー、力尽きた」

この試合、ユニチカは伝統のレシーブに加えブロックの出来がよかったと思う。ブロックポイントはそれほど多くはなかったものの、第2セット以降はガビーのアタックも多くはワンタッチをとっていた。

一方のヨーカドーは、やはりガビーに負担をかけすぎた。ガビーの調子自体はよかったというか、いつもの通りだと思うけれども、ブロックは意外と少なかったような気がする。特に後半はほとんどブロックが決まったシーンが記憶にない。

この試合、ガビーの総打数は130本近くに達した。今シーズン、バーバラは130本前後かそれ以上の打数が珍しくなかった。第3レグ東芝戦の157本(決定82・総得点45・アタック得点39)をはじめとして、第2レグ東洋紡戦の138本(決定70・総得点38・アタック得点33)、第2レグユニチカ戦の135本(決定59)、第1レグNEC戦の131本、第3レグ小田急戦の129本(決定69)と、私の確認した限りで5試合もある。アルも、第2レグバーバラと打ち合ったときの131本(決定50)、第3レグ小田急戦の128本(決定63)がある。しかし、ガビーはおそらくレギュラーシーズンにこれだけの本数を打ったことはなかっただろう。年齢も若くエースアタッカーのバーバラやアルと違い、ガビーはセンタープレイヤーでしかも線が細い。年齢的にもかなりのベテランである。そのガビーに1試合130本は、どう考えても無理があった。
昨シーズンまでは1試合で一人の選手の打数が3桁になれば、大変なことと感じられた。昨シーズンのステップラダー第2戦、バーバラ(52/108)とアル(40/89)の打ち合いを見て、すごい打ち合いだと思ったものである。今年は120、130程度は「当たり前」である。
昨シーズンと比べても、バレーボールの人気低下は著しいけれども、女子でこれだけの打ち合いが見られるシーズンというのは、これまでなかったであろう。全体の傾向としても、ラリーが長く続く試合が増えている。昨シーズンに比べ総打数は1割近く増えている。サイドアウトを繰り返すことも多く、いつ終わるともしれない競り合いが続く試合が少なくない。

それにしても会場の代々木第一体育館はがらがらだ・・・。前回のなみはやドームも空席が目立ったけれども、それに比べても客足の鈍さは際だっている。新聞(朝日新聞)での扱いは、結果(セットカウントと各セットの得点)と記事は1段、10行程度。これを見てもVリーグの将来は非常に不安になる。

ユニチカ3 (6-15, 15-7, 15-13, 12-15, 15-9) 2イトーヨーカドー

ページの先頭に戻る
Barbara Jelic FanClubのホームページに戻る
制作者のホームページに戻る


準決勝「Good Job, キュウ!」(3/7)

「あれれえ!?」
今、この日の試合の直後に打ち込んだ分がごっそり消えていることに気がつき愕然としているところである。そういえばDOSのファイラーでファイルの移動をしようとしたときにハングしてしまい、強制的にシャットダウンするしかなかった。

ということで、ただでさえいい加減な記録がさらにいい加減になってしまう。このページを読んでくださる方にはまことに申し訳ない。

第1セットは一方的なNECのペースだった。特に、このセットの後半は、NECのサーブでユニチカが崩されて失点を重ねたことと、ユニチカの新セッター磯辺のトス回しが単調になってNECのブロックに読まれたことが目立った。15対7でNECが第1セットをとった。

ところが、第2セットは逆にユニチカが一気に突っ走る。最初の得点はNECに入ったものの、その後サイドアウトもほとんどなしでユニチカが5点を入れる。たまらずNECはこの試合最初のタイムアウトを取るけれども、流れは変わらない。一時9対1まで差は開いた(この時間、ちょっと重要な話があり、バレーボール観戦に集中できなかった。)。このセット、NECは、大貫をアタッカーとしてコートに残したままセッターを竹下に変えるというシフトを、公式戦で初めて試した(練習ではかなりしているらしいが)。その効果があったかどうかはよくわからなかったけれども、サイドアウトを繰り返しながら徐々に差を詰めて、9対6まで追い上げる。ところが、そこから再びユニチカの流れに変わった。ボールがチューリナに集中し、そのチューリナが立て続けにブロックにつかまった。15対8で、このセットは逆にユニチカがものにする。

第3セットは全てカットされる。競り合いの結果NECがとったことはすぐに伝えられたけれども、15対12という得点がわかったのは第4セットも終わりに近づいてからだった。

第4セットは、ユニチカがいきなり4点を連取する。ところがこの後は流れがNECに変わり、サイドアウトを挟み逆に6点連取、6対4となったあとはしばらく膠着状態となる。7対5、8対7などでサイドアウトが繰り返される。ところが、ここから後、ユニチカに得点が入らなくなる。サイドアウトは繰り返すけれども、サーブ権を持っているときにどうにも決められない。このセットも、後半大貫はチューリナにボールを集めたけれども、第2セットと違いブロックで止まらなかった。このセットを15対8で取り、NECが順当に決勝進出を決めた。

やはり奇跡は起こらなかった。しかし、ユニチカは予想以上のよい試合をしたと言えるだろう。第1セットを一方的に取られ、しかも1セットと2セットの間のインターバルもカットされなかったときには、ストレート負けかと思った。ユニチカは、第2回Vリーグ、通常リーグ4位ながら、決勝リーグでは3連勝しチャンピオンに輝いた。伝統の粘りとともに、4強戦になると通常リーグ以上の力を発揮するという伝統もまた生きていた。
NECの監督、選手のインタビューの後、今シーズンを最後に現役引退する中村和美キャプテンがインタビューを受けた。3位という成績には満足しているとのことだったけれども、これがVリーグの最後の試合になるということに話題が変わるとさすがに目に涙が浮かんだ。この節のタイトルである「Good Job, キュウ」とは、ユニチカの応援の横断幕にあったフレーズを引用したものである。

ユニチカは、名セッター中西が昨シーズンを最後に実質的に現役を引退し、2年目の磯辺がセッターに起用された。しかし、他のチームも大規模な世代交代期を迎えたこともあり、3位の好成績をあげた。ところが中村、鳥居の両選手が今シーズン限りで引退するという。まだまだやれるという印象があったのだが・・・。今シーズンで世代交代の終わった各チームは、来シーズンは安定することが予想される。するとユニチカにとっては来シーズンのほうがむしろ厳しいかもしれない。

NEC3 (15-7, 8-15, 15-12, 15-8) 1ユニチカ

ページの先頭に戻る
Barbara Jelic FanClubのホームページに戻る
制作者のホームページに戻る


決勝「有終の美」(3/8)

この日は名古屋国際女子マラソンである。沿道で応援できる機会は、今回が最後かもしれない。今回帰省を早めた最大の理由はこれである。
しかし、通過予定時間を30分間違えるというまさかの大失敗のため、観戦場所に着いたのは本当にぎりぎり、先頭集団はちょうど角を曲がっていくところを交差点の反対側からかろうじて見ただけだった。先頭集団の中ではっきり認識できたのは、そのとき先頭だった別の外国人選手と、ワレンティナ・エゴロワだけだった。

折り返しを終わった後の帰りを見ることも考えられたけれども、そうなるとゴールシーンを見るのが難しくなるので、行きを見ただけで戻った。今から考えてみれば高橋選手の驚異のスパートをじかに見ておくべきだったかもしれない。

それにしても、あのマラソンでまさか日本記録が出るとは。30-35キロ、35-40キロは、いずれも16分少しという驚異的なスピードだった。このマラソンは毎回後半にペースが上がるけれども、ここまで上がるとはもちろん予期できなかった。5キロ16分、10キロで32分、これはマラソンではなくトラックの1万メートルのペースである。高橋は、30キロ走った後に、1万のレースをやってしまったようなものである。

高橋以下何人かのゴールを見た後、バレーボールに切り替える。

この試合は、マラソンと競合したため、ビデオに録画してある。しかし、詳細な観戦レポートは通の方がとっくに書いていらっしゃると思うので、これまでの試合と同様、できる限り簡潔に印象をまとめることにする。(こら!手を抜くな!)この試合を簡潔にまとめるとなると、その解答用紙にはたった1行しかない。

「ダイエーのブロックが、NECの攻撃をシャットアウトした」

NECはチューリナ中心の単調なトス回しが多く、ダイエーのブロックに面白いように引っかかっていた。ダイエーは45得点のうちブロックが4割近くの17得点、ブロック決定本数は20本を大きく超える。レギュラーシーズンにも一度もなかったほどの大当たりである。

第3セットになるとレフト以外の攻撃もいくらか見られたけれども、これもダイエーのブロックの餌食となるだけだった。特にこの日は津雲がほとんど決まらなかった。そのあたりが封じ込められたことで、NECはチューリナにボールを集めるしかなくなり、そうなるとますます簡単にブロックに止められてしまう、という悪循環に陥ったことがうかがえる。

3セットとも、8点〜10点あたりまでは競り合うが、そこからダイエーが抜け出してセットをものにするというパターンが続いた。初戦・準決勝と違い、一本調子の試合だった。

ステップラダーは上位チームに有利の傾向が出ている。さらに、前日、NECは有利なはずの試合でユニチカにかなり手こずっている。この調子では、ダイエーに勝つのはかなり難しいだろう、と思われた。しかし、レギュラーシーズンには一度もなかったストレートで決着してしまうとは、やや残念である。テレビで観戦している側としては、4セット以上にもつれてもカットされるだけなのだが。

この次の月曜が一般紙の休刊日に当たることもあるけれども、昨シーズンに比べて準決勝・決勝の記事も小さくなっているような気がする。バレーボールがどんどんマイナースポーツに追いやられているような気がしてならない。次回は、日立がVリーグ復帰するから少しはましかもしれないが。

ダイエー3 (15-11, 15-10, 15-11) 0NEC

ページの先頭に戻る
Barbara Jelic FanClubのホームページに戻る
制作者のホームページに戻る


個人タイトル「バーバラを落とすか?!」(3/9)

記者投票による個人表彰の結果を知ったのは、決勝戦の次の日だった。

実は私は、個人表彰を自分なりに選んでみたけれども、一致したのはベスト6のうち3人だけだった。
まずMVPと敢闘賞。MVPが斎藤で敢闘賞が大懸である。これは両方とも一致しなかった。私としては吉原とチューリナだろうか(どちらが優勝するかで、どちらがMVPでどちらが敢闘賞かが変わる)と思っていた。両選手とも、数字以上にチームのまとめ役としての貢献が大きいと思っていたのだが。しかし、これについては納得できる。
昨シーズンも、敢闘賞は、アルタモノワではなく大林だった。数字面でも、今シーズンのチューリナは決定率では大幅に大懸を下回る。このことからすれば、チューリナの敢闘賞は可能性が低かったかもしれない。

ベスト6は、結局、レギュラーシーズンの上位3チームから全員が選ばれた。今シーズン、ダイエー・NECの両横綱ばかりが目立ち、それにわずかに食らいついたのはヨーカドーだけである。それ以外のチームは、最終3位のユニチカも含め、惨憺たる有様だった。そのことからすると上位チームに集中したのもやむを得ないかもしれない。

私がベスト6を独自に選んだとき、まず真っ先に選んだのがペレスである。スパイク賞獲得でMVPあるいは敢闘賞の可能性も大きい(と思っていた)吉原も当然入る。これでセンターは確定。
セッターはゼッターランドで決めた。結局、一致したのはこの3人だけだった。
実は結構迷ったのがエースアタッカーである。ダイエーの斎藤、NECの大懸とチューリナのうち、誰を落とすか決まらなかったのである。まさかこの3人で決まってしまうとは・・・。

バーバラ落とすか、普通?
言うまでもなく、私の考えではバーバラを真っ先に選んでいる。

もちろんベスト6は記者投票であり、チームの上位進出への貢献が重視されるだけに、チームが5位のバーバラは落ちる可能性があるとは思っていた。しかし、第1回Vリーグでは、チームは7位だったにもかかわらずバーバラはベスト6に選出されている。今シーズンのバーバラは、このときに比べれば内容的には格段に上である。だからチームの5位もそれほどマイナス要因にはならないと思っていた。というより、それが問題にならないほど、今シーズンのバーバラは、他のエースアタッカーを数・率の両面で圧倒しているのだ。

ただし、どう見ても選ばれるべき選手が選ばれなかった事例は、何も今回が初めてではないようである。記者投票はしょせんその程度のものかもしれない。また、記者投票の傾向から言えば、第1回Vリーグで選出されたことを引き合いに出して考えたのは間違いであった。上位チームの選手、それも日本人選手に偏る記者選出では、7位チームのしかも外国人選手が選出されるほうが異例中の異例の事態である。このことは、数字的なものだけでなく、Vリーグ初年度のバーバラの活躍がバレーボール界全体にそれだけ大きな衝撃を与えたことの証明にほかならない。男子では、猛打賞とサーブ賞の二冠、しかも3位チームの選手でベスト6に選出されなかったという例もある。このときは富士フィルムの5連覇時代の3年目にあたり、ベスト6は全員富士から選出されていた。だから、今回バーバラが選ばれなかったことは驚くに値しないのかもしれない。

だからといって、今回バーバラを落としたことを正当だと認めるつもりは全くない。主要なエースアタッカーの個人成績を表1に示す。表1で、かっこ内の数字は順位、(-)とあるのは11位以下を示す。
表1.主要なエースアタッカーの成績
選手 アタック ブロック サーブ 総得点
打数 得点 得権 決定本数 決定率 セットあたり決定数 効果率
ペレス 1360 166(4) 498 664(3) 48.47%(2) 1.59(1) (-) 276(3)
イエリッチ 1988 305(1) 626 931(1) 46.83%(3) (-) 13.62%(2) 366(1)
大懸 920 148(5) 251 399(6) 43.37%(8) (-) (-) 204(5)
アルタモノワ 1712 253(2) 473 726(2) 42.41%(10) 0.78(9) (-) 310(2)
チューリナ 1226 187(3) 317 504(4) 41.11%(-) (-) 14.66%(1) 249(4)
斎藤 128(6) 227 355(10) (-) 0.92(5) (-) 192(6)

投票した記者は、投票前に技術集計を見たのだろうか。見た記者は少ないのだろう。全員が見ていれば、バーバラが落ちることは考えられない。
「ガビーかバーバラかで迷った」という可能性も考えられる。この二人のうちどちらかを選ぶとなると、大筋でガビーになってしまうだろう。ガビーのほうがアタック決定率は高く、割り算のタイトルであるブロック賞も取っている。そして何より決定的な差は、ヨーカドーは通常シーズン3位、デンソーは5位であることである。
しかし、上記のような集計を見れば、「この二人のうちどちらか」という考えがそもそも出てこないはずである。二人とも真っ先に選ばれなくてはならない。
技術集計も見ずに投票したとすれば、あまりにもお粗末な話ではないか。

今回バーバラがベスト6に選ばれなかったことは、「個人としてどれほど優れた成績を残していても、チームが上位進出できなければベスト6に選ばれることはない」という意味を持つ。投票した記者にそのような意図はなかったとしても、このシーズンの個人技術集計とベスト6のメンバーを照らし合わせれば、おそらく誰もがそのように受け取るに違いない。
今回のバーバラを内容的に上回る成績を残すことはきわめて難しい。不可能に近いと言ってもいいと思う。この点に異論はあるまい。単に数字で上回るのも十分不可能に近いと思うけれども、「内容的に」とは、単に数字で上回るだけではなく、

などの悪条件を考慮しなくてはならないということである。

今回が悪しき前例となって、今後の選出で、

ような事態が起こるおそれがある。このような傾向が改められることを強く願う。

もちろん数字だけで決まってしまうのなら記者投票を行う意味はない。しかし、これは、記者投票そのものに大きな疑問を投げかけるような事態ではないだろうか。

ページの先頭に戻る
Barbara Jelic FanClubのホームページに戻る
制作者のホームページに戻る