ホントーに困ったモンである。いや、何がってJRAのCM(数年前のものです)。SMAPの木村拓哉が出てるヤツなんだけど、JRAが何を意図してこんなCMを作っているのかがサッパリ分からないんである。普通考えればCMを作る事によって競馬人口を増やして行きたいという事なんであろう。しかしこのCMを観て何人の人が競馬場やWinsに行きたくなると言うのであろうか?

少なくとも昔のJRAのCMは「競馬をやりたい!」と思わせるものは少なかったが、馬の素晴らしさや人と馬との触れ合いを表現する事によって、競馬そのものではないにしろ馬に興味を持てるものであったように感じていた。しかし今のキムタクのCMは企業のPRにもなっていない酷いモノなのである。断わっておくがキムタクが嫌いだからこんな事を書いている訳ではない。俺が言いたいのはCMの作りの問題なのだ。最近はとにかく何を言いたいのかサッパリ分からないようなCM等が多い。それがギャグである場合も多いのだが、そういったギャグももう飽きたと言うのが正直な感想だ。だから最近では笑えるCMというのには結構出会えるが、わずか15秒間で本当に感動させられるようなCMや、商品を購入したくなるようなCMに出会う事は希になってしまっているように感じるのは俺だけではないはずだ。

実はこれはCMだけに限った話ではなく、映画や音楽でも大問題になっているであろう事なのである。中身の伴わない見た目だけのモノはもう沢山なのだ。スターが出ているというのは、それはそれで大きな売りになるであろう。しかし映画も音楽もCMにとってもそれはあくまでも二次的な要因なのである。作り手はそういう意味では本質的な事を忘れているようにも見えるのだ。では、何が最も重要な事なのか。俺が言うまでもない事であるが、映画にとってはシナリオや演出であり、音楽にとっては優れた楽曲と演奏能力である。CMにとってはその目的にもよるだろうが、限られた時間の中で的確なメッセージを伝える事であろう。それが出来なければクリエイター(あえてアーティストなんていうマヌケな言い方はしない)としては失格であるのである。

しかし現在では本物と偽物の区別がつかなくなっている情報の受け手がとても多い事も問題である。別に俺が本物と偽物を見分ける事ができる人間であるなんていう自意識過剰な事を言うつもりは全くない。しかし多くのモノを見る事によって本物と偽物の区別をつけられるようになるように努力は続けているつもりであると言う事である。たまに混じっている本物を見逃さない事こそが我々にとって最重要なんである。