『あとがき』

 

 あとがきです。いつものように、なにを書いたらよいのかまるでわかりません。
『実は、本書のような各巻の主人公たちが一堂に会する話を書きたくて、この銀河冒険紀をはじめたのです。そして、ぶちぶちと全員、殺す。うひひひーっ。よしなに』
 で終わってしまってもなんだし、
『七人といえばやはり「七人の侍」であろうか。「荒野の七人」とか「七人の刑事」「ワイルド7」とかもあるし、「宇宙の七人」は「タイタニック」で売れているジェームス・キャメロンが……』
 といった話題もなんだかです。かといって、
『うちで飼っている猫の名前は、にゃんポコ丸です。海苔が好物で、パリパリと食べます』
 という本書にまるで関係ない話題、ましてや、
『××論争の内幕、〇〇氏は***をやっている、と△△氏は言った』
 などという危ない話題は口が裂けても言えません。無論、口が裂けたら痛くてしゃべれません。
 そんなとき、担当のI氏に「リジィはどうなるのか?」と聞かれたので、リジィが登場するこの世界の今後の展開を記してみることにしました。
 次にリジィが登場するのは、銀河聖船記・外伝「ディアスの女神」で、ほんのちょい役です。階層大宇宙に危機が迫り、眠っていたリナ・グレイの精神が招喚される。リナはディアスをポケットにしまい、人化したベルドネスとスズシロを引き連れて冒険するという話。これがリナとリジィとの最初で最後の接触となります。
 次はNR97年(Nの年号は232年まで)、十六才のリジィとビビが永眠カプセルから目覚めます。嘘に嘘を重ねたリジィはディアスに乗り込み、全艦隊をひきいて宇宙崩壊を招こうとしている謎の異空間へ挑むはめになってしまう。新・銀河聖戦記「タイトル未定」全五巻。
 これの他にも、リジィの活躍する外伝的な巻がいろいろあります。
 ナーシャにしても「キャノン・ガールズ」という、装甲機部隊長として活躍する話があったり、アドラとネズミの冒険も、まだ序の口ほどにしか語られていません。
 リナの祖父バルトが活躍する銀河聖船記・正伝(全十二巻)も忘れるわけにはいきません。
 そして、リナ自身の物語もあります。
けれど、これらをすべて書くと百五十巻ちょっとになってしまうので、今回でこの世界は終わりです。全部、忘れることにしました。
 他にも書きかけだったり、書きたいと思っていたりする壮大な物語世界が現在だけでも七本ほどあるのです。さらにそれらが今後増殖してゆくのはあきらかであり、二十人ほど自分をクローニングしないと、手をつけるのさえ不可能なことに最近やっと気付きました。
 つまり、次々と出て来るバイキング料理をひとりで食べてる状態なのです。ですので、読者にとってどれがおいしい話なのかをさぐりながら、少しずつつまみ食いするしかありません。
 語り残した謎もちょっとありますが、よしとしましょう。
 いずれ語れることもあるかもしれません。
 ただ、僕にもひとつだけどうしてもわからない、答えることのできない謎があります。

 それは、
 −− ネズミの本名 −−
 御存じの方は、ぜひ教えてください。
                             よしなに。


[付記]
参考までに、銀河冒険紀と銀河聖戦記、各作品を物語の年代順に並べ、本書にかかわる登場人物を抜き出してみました。( )内は作品が発表された現実世界の西暦です。

N227年
「ギガミリオンの幸運」(96年)ルオ、ナーシャ、ラボス、タンヤオ。
「キャノン・ガール」(97年)ナーシャ、ルオ、ベルドネス。
「ダイヤモンドを噛み砕け」(97年)クープ、ルーレイ、ニーア。

N228年
「タイム・クラッシュ〔上・下〕」(97年・98年)ルーレイ、リナ、アドラ。

N231年
「MONSTER7」(本書、99年)

N232年
「ディアスの少女」(94年)リナ、アドラ、ネズミ、デク、おババ。
「ディアスの戦士」(95年)リナ、アドラ、ネズミ、デク、ニーア、ベルドネス。
「ディアスの天使」(95年)リナ、アドラ、ネズミ、デク。


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