あとがきよりの抜粋
2001.5/1 角川スニーカー文庫「放課後退魔録 ロストガール」のあとがきより一部を抜粋。



九堂「……そんなことよりも、サヤさん、みなさまより頂いた妖怪の目撃情報を発表するのです」
サヤ「はーい。えーと、最初は東京都にお住まいの、ペンネームR子さんからの電子メールです。

―― 私、妖怪を見たんです。スクランブル交差点で、青信号になって、人が一斉にわたりだしたら、むこうがわに居たサラリーマン風の男の人が、急に、風船みたいにふーって浮いたんです。うわ、なんだろうって思ってたら、その人、そのまま風に流されて空へ飛んでっちゃいました。見た目は完全に普通の人でしたけど、私にしか見えなかったみたいで、誰もさわぎませんでした。あれ、きっと妖怪ですね。ああ、びっくり」

「なるほど。この妖怪はおそらく小形の入道系の妖怪。R子さんはなかなかよい妖怪を見る波長を持ってらっしゃるようで、今後とも妖怪目撃情報をお待ちします」
「続いて、岡山県の宝塚浩美さんからのおハガキです。

―― 学校の職員室で、時々、白い紙が飛ぶのをよく見ます。コピー用紙みたいなのが、スーッ、っていう感じで部屋の中を横切るんです。最初に見た時は、風で飛んだのかと思って拾いに行ったんですけど、どこにもそんな紙なんて落ちてませんでした。月に一回くらいのわりあいで、よく見ます。目の錯覚でもないし、誰かが飛ばしているわけでもありません。これって、妖怪でしょうか?」

「まぎれもなく妖怪です。一反木綿の現代バージョンではないかと推測できます。ぜひ、トリモチのついた棒を職員室の隅に忍ばせて、捕獲することをお勧めします」
「捕まえると、なんかいいことあるんですか? 願いを書いて窓から放すと適うとか?」
「なにもありません。むしろ傷つけたりすると、呪われます。その妖怪の詳しい生態をわたくしたちに報告して欲しい、ただそれだけのことです」
「……。次は、福島県でペンネーム犬マルさんからのお手紙からの抜粋です。

―― バスの窓から外を見てたら、へそ出しルックの女が歩いてて、よく見ると顔が腹にもついてた。女が横をむいたら、頭の横にも、同じ顔がついてた。横にある顔が、薄笑いを浮かべていて、すごく怖かった。そんな夢を見た」

「夢だからといってあなどってはいけません。本来、妖怪を目撃しても意識には残らないのです。けれど、のちに夢の中で思い出すことがしばしばあるのです。おそらくこの夢も、それです」
「先輩、この手紙から嫌な妖気が出てます。この夢の妖怪、妖魔かもしれません」
「ふむ。犬マルさん、この夢をくり返し見るようであれば、危険です。くれぐれもお気をつけて。ではサヤさん、告知を」
「えーと、えーと、紅椿学園妖魔術クラブでは、みなさまよりの妖怪目撃情報を募集しております。スニーカー編集部気付で作者さんに送ってください。もしくは、作者さんのEメール、gq3k-okmt@asahi-net.or.jpへお願いします」
「後日、妖魔術クラブが責任を持って、作者より回収します」
「えーと、えーと、謝礼などは……」
「なにもありません。以上。よしなに」
「せめて、私から感謝をこめてウサギの投げキッス。チュッ。ということで情報、待ってまーす」

−−(以下略)

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