寒冷低気圧 (2001年04月05日作成)





5月から6月にかけては、1年中でもっとも「ヒョウ」による農作物への被害が多くなります。

いったいその訳は何なのでしょうか?




5月は田植えのはじまる季節でもあり、若葉もみずみずしく、生命の息吹あふれる季節です。

天気は周期的に変化し、移動性高気圧におおわれると「五月晴れ」となり、発達した低気圧がやってくると「メイストーム」となります。




ところが、「寒冷低気圧」という聞き慣れないモノがやってくると、天気は周期性を失い、不順な天気となってしまいます。




「寒冷低気圧」とは、上空の偏西風の流れから切り離された上層の低気圧のことで、中心に非常に冷たい寒気を保持しています。

上層の寒気は大気を不安定にするので、積乱雲が発達します。

この結果、ヒョウや雷雨、突風といったシビアな現象が発生するのです。

この頃の若芽・若葉は寒さに弱く、冷たいヒョウの影響を強く受けてしまいます。




「寒冷低気圧」のこわいところは、まず、地上天気図にはその姿が現れにくい点です。

上層の現象なので高層天気図から把握する必要が出てきます。




また、高層天気図からその存在を把握できたとしても「寒冷低気圧」の下で発達する積乱雲は、1つ1つがスケールの小さな現象であり、
スーパーコンピュータを用いた数値計算では予測は困難となります。

つまり、「寒冷低気圧」がやってくるので、積乱雲が発生する可能性があることは分るが、「いつどこで発生するのか?」までは正確には分らないということです。




さらに「寒冷低気圧」は上空の偏西風から切り離された存在なので、その動きが遅く、数日に渡って積乱雲による被害をもたらします。




このような「寒冷低気圧」を察知する手軽な方法は「ひまわり衛星画像」です。

そこには、地上天気図には現れていなくても、コンマ形に渦を巻いた雲域がはっきり映っています。

また、今まさに降っている雷雨の動きを把握するには「レーダ画像」が有効です。

最近ではインターネットやFAXを利用して、これらの気象情報を取り出すことも可能になってきました。




「寒冷低気圧」は、上空の偏西風の流れから産み落とされた、いわば「かんしゃく玉」です。

事前に察知して、通り過ぎるのを静かに見守ってあげましょう。




(おしまい)




作成者; あら川しゅう一
電子メール; gn2s-arkw@asahi-net.or.jp

Last modified: 2001/05/16