読書メモ

・「バブルの死角 〜日本人が損するカラクリ
(岩本沙弓:著、集英社新書 \760) : 2013.06.16

○印象的な言葉
輸出還付金:消費税税収が輸出大企業に還付されている。輸出企業は輸出販売をすると還付金が戻ってくる。 海外の消費者から消費税をもらうことができないため、消費税を国内の下請け会社に払うばかりとなるため。
・輸出還付金の約半分は輸出企業の上位20社に還付されている。将来、消費税が10%に引き上げられたら、還付金の額は2倍になる
・消費税は利益ではなく付加価値に課税される税金。利益が上がっていなくても納税しなければならない。価格への転嫁が保証されていない。
・多くの事業者は消費税を価格に転嫁できていない。大企業に値切られ、過酷な価格競争に巻き込まれ、自腹を切って消費税を負担している
・社会保険の診療報酬は消費税はかからないが、医療機関は仕入れにおいて消費税を負担している。しかし医療機関には還付金はない
・国税のうち、比率の高いのは所得税、法人税、消費税。消費税の比率は25%
・欧州で付加価値税が普及した背景は、輸出企業への補助金としての役割が期待されたため。還付金分だけ自社製品の価格を抑えることができる
・付加価値税制度は140カ国以上に普及
・付加価値税を採用しないアメリカ。アメリカは小売売上税(消費者が払う)。商品やサービスの提供者が消費者から税を徴収し、当局へ納税する。
・行き過ぎた輸出企業への優遇策が、世界的な中間層の没落の原因の一つ
・大企業優遇のみで、雇用拡大、下請け会社への利益配分などのスキームが壊れてしまった。日本経済低迷の最大の原因
・財源確保のためなら、消費税でなく小売売上税でよいはず
・財界は円高進行を理由に、消費税を上げて、還付金アップすることを政府に求めた
・グローバル企業は円建て、ドル建てを上手く使い分けて、為替変動に臨機応変に対応している。為替変動による深刻な影響は受けていない
・消費税は、引き下げられた法人税と高所得者層の減税分の穴埋めにしかなっていない。輸出大企業と高所得者層が負うべき負担を国民が背負う
・激増する株主配当金。従業員の賃金を削り取る株主資本主義。陰の原動力は時価会計。
・時価会計制度は短期的に利益をもたらさない設備や雇用はコストカットの対象。企業の現在の価値を示す指標としてうってつけ。 投資家の行動を短絡的なものにさせる。金融市場に生まれるトレンドを増幅する。
・日本は最も財政破綻から遠い国と見られている
・リーマンショック後、アメリカは金融機関の損失を先送りできるよう、一時的な時価会計適用の停止を可能とした
・子会社や孫会社からの配当金はほぼ全額が法人税の課税対象外となる。新型の株の「持ち合い」
・社会保障給付は主に年金と医療サービスに費やされ、高齢者には手厚いが、子供の貧困を加速させる
・非正規雇用が増えたのは企業が負担する社会保障費が上がったため。高齢者の社会保障費をカットすべき
・新興国との価格収斂によりデフレが進んだ。まだ価格の水準の訂正は終了していない
・ストが行われている欧米の賃金は上昇した。
・エネルギー資源の乏しい日本で最大の資源は人的資源
・米国債を買うことは、財政赤字のアメリカの借金を日本の資金が穴埋めしているだけ。小泉政権時代の42兆円のドル買い介入はブッシュ減税の 財源に回った。アメリカに貸し続けてきた日本は、ひたすら国富を奪われてきた
・アメリカは海外から資金を呼び込みドル高にし、借りるだけ借りたところでバブル崩壊により一気にドル安に転じさせ、借金を棒引きにさせる
・国民の資産を為替リスクに晒す為替介入に対する、アメリカ議会の目は厳しい。国益にそむく行為
・外貨準備を売れば消費税引き上げをせずとも財源は確保できる
・アメリカに生まれた新たな投資先「シェールエネルギー」。アメリカはエネルギー資源供給国になる。貿易黒字国になる可能性もある
・シェール革命がバブル化する可能性
・2011年末時点の日本の政府、企業、個人の対外純資産は265兆円。21年連続世界一。二番手の中国の倍。
・2013年から3年ほどは日米が牽引役となり、世界経済は未曾有のバブルに突入する
・バブルのツケを次のバブルで帳消しにすることが繰り返し行われてきた。帳消しにするには前よりも少しだけバブルの規模を大きくする必要がある
・スクリューフレーション:貧困化とインフレが同時に起きること
・日本が世界最大の資金の貸し手として各国のファイナンスを担っている。日本が先駆けて破綻することはありえない
・株主配当金の抑制策、正規雇用を積極的にすすめる企業への優遇策
・雇用創出には健全な公共事業も必要
・医療費がかさむ以上、医療費と生命の尊厳について国民がオープンに話し合うべき
・社会的弱者が強者に唯一対抗できる手段は、知的武装をして意を同じくする者同士が協力していくこと