読書メモ

・「誰が「地球経済」を殺すのか 〜真相を読み解く七つ道具
(浜 矩子:著、実業之日本社 \1,400) : 2012.01.02

東日本大震災後の9月に出た本。

○印象的な言葉
・縁辺部のほころびは予兆であり、そこに問題の核心はない
・ハード・カレンシー:信頼度の高い通貨。通貨の硬さと軟らかさ。
・経済的大惨事発生が近づくと、ファンダメンタル発言が飛び出す
・GDPは「どこで」の指標、GNPは「誰が」の指標:つくられたモノや提供されたサービスの合計金額。 「GDP>GNP国家」は他人のふんどし経済(外資によるかさ上げ)。「GNP>GDP国家」は成熟経済の一つの姿(国外に形成した資産が収入を生み出す。債権大国)。
・予測を行なう人の基本:「予測の前提条件」を設定し、きちんと答えられること
・グローバル・ジャングル:地球を舞台としたジャングル的な生態系。グローバル度とジャングル度を座標の縦軸と横軸に見る。 グローバル度は鎖国か開国か。ジャングル度は市場原理主義か計画経済的か。
・かつての英国人は自分たちを欧州人だとは思っていなかった。予定調和の大陸欧州と、海風のまにまに成り行きまかせで自然体の英国。
・ドイツは社会主義的市場経済。過度な弱肉強食を抑制。労働の経営参加、政策決定上の自治体の権限の強さ
・フランスはドイツに比べれば自由貿易に対するコミットメントは相対的に低い。巨大な農業分野を抱える。独仏は対照的。
・通貨と金融の視点で座標平面をつくる。固定為替相場か変動相場か。金融は自由か規制か。
・金融と財政の視点で座標平面をつくる。自由か規制か。大きな政府か小さな政府か。
・通貨と通商の視点で座標平面をつくる。固定か変動か。自由貿易か保護主義か。
・財政収支と対外(貿易)収支の視点で座標平面をつくる。
・閃きは粘りの産物。閃きは執拗な積み上げの先に待っている。
・正反対思考法:正確な現状把握につながる。正確に把握していないことの反対は考えようがない
・日本は「集権的管理型モデル」。このモデルがダメなことが分かった。集権と管理の正反対を考える。それは「競争的分権」。
・競争の冷や水は、氷のような無情さを帯びるようになった。格差と切り捨てが前面に出てきた。人々がメシを食っていけないような状況を作り出した。
・協調的分権:協調は分かち合い。自律的。
・ねじれていない国会:衆参両院を同じ政党が多数を占めている状態。一党独裁的体制。これは民主主義国家としては歪んだ状態。
・責任野党。野党なら無責任でいいということにはならない
・ギリシャの財政破綻問題を巡り、EUが右往左往しているのは、ギリシャの病弊が深いからではなく、それを治す体制を備えていないユーロ圏の体質が問題
・名目GDPは「カネGDP」(物価変動の影響が織り込まれている)、実質GDPは「モノGDP」。インフレ期は実質値が経済実態を反映し、デフレ期は名目値に注目すべき。
・インフレ・ターゲット:物価上昇率が一定の目標値以上に上がることがないようにしようとするもの。日本ではインフレ抑制策としてでなく、デフレ克服策として位置づけられている。
・僕富論:僕の富さえ増えればいい、減らなければいい。エゴ一色の自己保存本能のぶつかり合いが地球経済にとって命取りになっていく。
・君富論

-目次-
第1章 道具1 初めに「ドラマ」ありき―経済は人間のリアルや営みそのもの
第2章 道具2 「人」をして語らしむる―そのまま受け止めるとともに裏を読め
第3章 道具3 「数字」をして語らしむる―数字が語りかける言葉を読み取れ
第4章 道具4 「座標軸」を考える―問題点の在りかを整理する
第5章 道具5 これまでと「反対」を考える―推理が行き詰まったときの突破法
第6章 道具6 「歴史」を振り返る―遠い未来を見通すためには遠い過去を振り返る
第7章 道具7 終わりに「言葉」ありき―独り歩きする用語に注意