読書メモ

・「原発のウソ
(小出 裕章:著、扶桑社新書 \740) : 2012.04.30

東日本大震災直後の6月に出た本。
100万年の管理が必要な放射性廃棄物。我々は将来世代に責任が持てるだろうか。いや持てない。 第7章の「はるか未来の子孫に全ての負債を押し付けることで原発が成り立っている」という言葉は重い。

○印象的な言葉
・原子力はメリットよりもリスクがずっと大きい
・原発事故現場は「進むも地獄、退くも地獄」
・風と雨が放射能汚染を拡大する
・被曝すると若ければ若いほど死ぬ確率が高くなる
・結局、事故の補償をするのは国民
・地球を温め続ける原発。日本近海は異常な温かさになっている。
・「もんじゅ」が事故れば即破局。ナトリウムで冷却しているため、ひとたび事故が起きれば、水で冷却できない。 水をかければナトリウムと反応して大爆発する。
・廃炉にしても大量に残る「負の遺産」
・100万年の管理が必要な放射性廃棄物。
・必要なのはエネルギー消費を抑えること
・原発を動かしているのは人間。時に間違いを起こす
・福島原発の事故では海水冷却する判断の遅れにより、燃料が焼け落ちた
・制御棒で核分裂を止めても、崩壊熱がなかなか止まらない。
・水蒸気爆発は原発の圧力容器、その外側の格納容器を吹き飛ばす
・2,800度のウラン燃料は厚さ3センチの格納容器を溶かす
・事故現場では被曝しながら必死で働く人たちにより、最悪の事態を押さえ込んでいる
・被曝限度量を超えた作業員は、その後一年間は現場で働けなくなる。次から次へと作業員を集める必要がある。 覚悟のある人を集めるのは容易でない。(→徴兵制のようになりかねない。死刑囚の活用)
・中性子は核分裂反応が起きているときに発生
・臨界を持続的に起こし続けるのは難しい
・事故を過小評価し、「小さく見せよう」とした政府は、避難が必要だった住民を長い時間放置した
・チェルノブイリでは松林が真っ赤に焼けるほどの放射能に侵された。チェルノブイリはいまだに終わっていない
・ヨウ素とセシウムは揮発性が高く、飛び散りやすい。ストロンチウム、プルトニウムは飛び散りにくい
・人体はストロンチウムカルシウムと勘違いして、骨に蓄積してしまう
・ガンマ線を放出する物質を体内に取り込んだ場合、ガンマ線は体外に飛び出す。アルファ線は飛び出さず、近傍の細胞だけが 濃密に被曝する。
・ウラン燃料が燃えた後の「死の灰」。それは二酸化炭素よりはるかに直接的に生命を脅かす。
・年間50ミリシーベルトの被曝量でも癌や白血病になる確率が高くなる
・風速毎秒4mなら、放射性物質は1時間に14km流れる。風の向きと直角の方向に逃げる必要がある
・放射性物質を身体に付着させない、呼吸で取り込まない。空調は止める。飲料水、保存食の確保。井戸水、水道水も飲まない
・事故があったら、電力会社の社員や原発職員(特に幹部)の家族の動きを注視する(→逃げるかどうか判断)
・被曝量年間1ミリシーベルトという基準は、1万人に1人が癌で死ぬ確率
・放射能で汚染された食品。放射能「レベルが低いから安全」とは絶対に言えない
・だまされた人には、だまされた人なりの責任がある。これまで原発を容認してきた責任
・政府や電力会社は原発が危険なことは知っていた。だからそれを人口の多い地域には作らなかった
・日本の電気料金は世界一高い。耐えられなくなった企業は自分で発電所を作った
・原発に必要なウラン燃料の採掘から製錬、濃縮・加工など各工程で莫大な資材やエネルギーが投入されている。 原発を動かすまでに大量の化石燃料を消費している。また、各工程で放射性物質を含むゴミが出る。
・広島・長崎の原爆から生き延びた人は「ヒバクシャ」というレッテルを貼られた(→今後、福島県民もそう言われかねない)
・六ヶ所村の再処理工場が稼動すれば、その危険性は群を抜く。プルトニウムを分離する際に放出する放射能の量が段違いに多い。
・日本の原子力産業に、外国に輸出する資格はあるのか
・命より電気が大事なのか
・地震と原発事故のあと、電力不足になったのは、火力発電所も被害を受けていたことが大きな理由。 原発を全て止め、火力発電所が復旧し、稼働率を7割まで上げれば、十分に電力は間に合う
・何十年間か稼動した原発は巨大な「核のゴミ」と化す

<その他>
・土壌を汚染した放射性物質を吸収した植物、動物は大丈夫なのか

-目次-
第1章 福島第一原発はこれからどうなるのか
第2章 「放射能」とはどういうものか
第3章 放射能汚染から身を守るには
第4章 原発の“常識”は非常識
第5章 原子力は「未来のエネルギー」か?
第6章 地震列島・日本に原発を建ててはいけない
第7章 原子力に未来はない