読書メモ

・「お金の流れが変わった!
(大前研一:著、PHP新書 \724) : 2012.01.07

○印象的な言葉
・中国バブルが崩壊すればサブプライム危機の比ではない。土地バブルの陰で、土地を追われた人がいる。年俸の20-30倍の借金をさせてマンションを買わせている
・毛沢東の最大の(今日的)貢献は土地を共産党の所有物に換えたこと
・新疆ウィグル自治区の西のはずれ、カシュガルを第二の深センにしようと開発を進めている。そこが繁栄すればイスラム勢力を平定しやすくなる。 中東の石油をパキスタン経由で持ち込める。中国はイスラムとの対立を選ばず、共存を選択
・世界には約4千兆円の金が投資先を探してさまよっている。金余り。需要が低調で、お金がモノに転換されなくなった。それは4%程度の利回りでは満足しない
・中東の原油の生産コストは1バレル=2ドル。それが100ドルを超える価格で取引されている
・バイオ燃料への注目で、トウモロコシの産地であるブラジルの農地が投機の対象となった。農地として開発されていないアルゼンチンにも資金が入った。ルーマニアにも飛び火。
・土地は不動産だったが、REITのように証券化されたとたん、動産化し、金融商品となった
・アイスランドはリーマンショックで一晩で事実上、国家破綻。実力のない国が高金利で資金を引き寄せる戦略の限界。足元を見失うと、資金の撤収というしっぺ返しを喰らう。
・財源がないのに公務員を増やして票稼ぎをしていたギリシャ政府
・英国は4年間で10兆円、50万人の公務員を削減(4人に1人の警官をクビにする)する計画
・日本のように外貨準備が100兆円もあれば、ヘッジファンドに仕掛けられても為替介入で充分に対応できる
・新興諸国では情報化革命により教育を受けた人間が一番の「資源」になった
・フランスのように出生数を増やしても、納税者の負担が増すだけで、それを上回る経済効果は見えてこない
・日本では失われた20年の間に、個人金融資産が倍増。金利がゼロでも増やしてきた
・インドネシアは覇権を求めないアジアの盟主になりつつある。過去の脱税を不問に付して税収を5割増加させた。人口は日本より1億人多い。世界最大のイスラム国家
・タイ:通過バーツも人件費も上がらないため、輸出競争力が中国よりも高い
・フィリピン:コンピュータ技術者がハッカーになるのも多い。セキュリティ対策ソフト会社は開発・研究機関をフィリピンに置いている
・シンガポール:人口500万。集団知が高い
・ロシア:BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)はインドではできない複雑な仕事も引き受ける。コンピュータシステム開発の請負など。
・日本の大卒内定率92%(2010年3月)は世界一高い。何十社受けても内定をもらえない人を支援するのは無駄
・マクロ経済政策が効かなくなった第一の理由は「ボーダレス化」。
・TED(Webサイト)では世界中の有名講師の名講義を無料で見ることができる
・中国への投資規制:鉄鋼はダメ。自動車は合弁しか認めない。その制約は日本よりは見えやすく、オープンだと見られている
・日立は時価総額は10兆円以上あってもおかしくないが、正味1兆円に満たない
・日本では価値にふさわしいものはちゃんと売れている。きわめて正常。いつかはよくなると黙って耐える国民によって支えられている
・日本で公共投資を行なえるのは用地買収の容易は僻地だけ。そんなところでは経済効果など生まれない。
・日本はすでに裸の王様。いつそれを指摘されて(国債大暴落して)もおかしくない。格付けがダブルB以下になれば、海外投資家はいっせいに売り浴びせる。彼らの保有比率は6%とはいえ、 決して無視できる額ではない。
・JALは資産内容のよいJR東日本に買ってもらえ。陸と空を機能的に融合
・自民党政権時代、北方領土問題は、二島変換から一歩進んで、面積等分くらいまではいけそうになっていた。それを民主党政権がぶっ飛ばした
・新興国ではかつて日本が通過してきた高度経済成長をいまやっている。そこで何をやればうまくいくかを知っているのが日本の強み。最先端技術で勝負しなくても戦える
・リーマンショック後、ホンダが黒字を確保できたのは、自動車の売上の落ち込みをバイクでカバーしたから
・日本最強の会社・JR東日本:鉄道を含めた地域生活・コミュニティ・総合サービス産業
・日本のような私鉄をもっている国はない。郊外から都心に乗り入れる私鉄が人口を分散させた。広範な地域が発達した
・日揮や千代田化工建設などは、中近東などで発電、海水淡水化、石化プラント、ガスプラントなどをワンセットで受注している
・より多くの税金を取るなら、所得より資産にかけるべき。本当の金持ちは給与所得者ではなく資産家。
・贈与税を免除せよ。子供がいない人の場合、贈与先は人でなくてもよい
・個人にも減価償却を認めよ
・減価償却期間の短縮は、税金を使わない景気刺激の起爆薬
・税金を使って繁栄を享受している国はない
・土地の使用に関する主導権は省庁から自治体へ移管せよ
・シャッター街を株式会社化し、株の2/3を売り出し、開発事業者に買い取らせる
・通勤時間の平均が一時間20分では近代国家といえない
・民主党のマニフェストは思いつきの願望集にすぎない
・世界の観光客はハイエンドとローエンドに分かれる。一泊10万円以上のホテルに長期滞在するハイエンド。日本にはこのクラスを満足させられるリゾート地がほとんどない。 一泊1万円以下を希望するローエンドへの観光施設も充実していない。目で見て、確認したい衝動に駆られる素材が日本には少ない。絵になる素材が少ない
・今のところ円(日本)はこれ以上落ちることはないと見られている

-目次-
第1章 超大国「G2」の黄昏
 アメリカ―「唯一の大国」はいかにして崩壊したのか
 中国―バブル崩壊はいつやってくるか
第2章 お金の流れが変わった!
 「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
 EU―帝国拡大から防衛へのシナリオ
 新興国―二十一世紀の世界経済の寵児
第3章 二十一世紀の新パラダイムと日本
 マクロ経済政策はもう効かない
 市場が日本を見限る日
第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
 新興国で成功するための発想
 日本経済再成長の処方箋