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読書メモ ・「中村伊知哉の「新世紀ITビジネス進化論」」 角川歴彦氏や夏野剛氏ら10人のゲストとの対談も挿入されている。 "Cool Japan"をテーマにした5章では著者は、次の大きなビジネスの芽は「ものづくりの技術力とコンテンツ力、文化力が組み合わさったところ」にあると述べていて、日本の新 たな産業分野に発展することを期待している。これだけでは抽象的で、新産業になりうるのかピンと来ないと思うが、同章の次のような一 文なら分かりやすいだろう。 マンガ、アニメ、ゲームを足しても市場規模は年間2~3兆円しかないが、それが「ファッションやグッズ、(略)レジャーや観光につ ながったり、(略)周りの産業を巻き込んでいく」と大きな市場になるとしている。ポップカルチャーだけに依存する姿は、違和感がある が、GDPの何割かを占めるだけの力を持ちえるだろう。 「あとがき」では本書の元になった番組のプロデューサーの相川氏が、電子書籍やクラウド、スマホなど「個々の要素はある程度出尽く し、これからは、それらをどう組み合わせ」るかが焦点になってきたと書いている。また、「コンテンツがキング」で、「好きな時に好き なメディアを利用すればいいという時代になりつつある」とも言う。それは、端末などのハードウエア、クラウドなどインフラよりも、そ れを利用したコンテンツやコミュニケーション、コミュニティにこそ、より価値があることを意味している。これをビジネスに結び付けて いくためには、総合的なプロデュース力が必要となりそうだ。杉山知之氏との対談で出てくる「クリエイティブ・プロデューサー」という 役割を担える人材だ。 ○印象的な言葉 ・マルチデバイス、融合ネットワーク ・一人数台のユビキタス。常時つながっている環境 ・ITが場所や世代を超えて使える環境 ・被災地ではラジオ、ワンセグ、壁新聞のほうが活躍 ・コンテンツ産業の市場規模は13-14兆円。規模は変わらないが、中身が変わっている。 ・放送業界の年間トータルの売上は約4兆円。通信は16兆円。 ・ネットの価値はコンテンツからコミュニケーション、コミュニティに移っている ・電子辞書:売上400億円。日本で特殊な発展を遂げた ・電子商取引の売上は1.8兆円。小売の売上は135兆円。教育コストは20兆円。医療は30兆円。 ・日本の映像コンテンツは、時間で見ると92%がTV、売上では57%がTV ・アメリカの放送局は日本のTV局ほどコンテンツ制作力がなく、電波インフラ業の色彩が強い ・日本の製品の「ものづくり力」が高いのはユーザーが厳しいから ・世界中が映像でつながり、互いの情報を知れば、違いが際立って戦争に発展したりする。憎しみも増す ・日本では新しい機器やサービスに飛びついて新しい使い方を開発していくのは女子高生や、ゲームに興じるような子供 ・世界中のブログで使われている言語の37%は日本語、36%は英語(2007年)。日本は世界一の情報発信力をもつ ・日本の放送番組に対する規制は緩い。戦後、アメリカが政府の介入を減らそうとしたため ・ローカル放送局には真夜中までコンテンツで埋めるのが重荷。夜中の電波を有効活用した通信ビジネスもいい。(⇒夜間電力のようなも の) ・IPDC:IPを放送の電波に乗せる ・商店内のデジタルフォトフレームをサイネージに。パパママ商店でもコンテンツビジネスが成り立つ。★ ・地デジ化で空いた周波数帯を新しいメディアで使う「マルチメディア放送」。V-Low(VHSの低い帯域。地域密着型の地方ブロッ ク向け)とV-High(高い帯域。全国向け)を使う。 ・放送局の問題:制作力、世界に発信できるコンテンツ。面白いものを作り出そうという雰囲気を作れるか。雰囲気から生まれてくる発 想。 ・失敗もあるのがクリエイティブ ・センセーショナルな災害映像より、苦労している人に寄り添って必要な情報を送るラジオ ・韓国では街灯の点灯の制御命令を放送波で送る ・新聞のWeb版を放送波で一斉同報。スクランブルをかけて有料放送に。折込チラシも送る。デジタル教科書や絵本も配信。 ・Twitterは日本での利用度が他国より高く、親和性がある。情報を地域別に整理したり、地理情報をベースに投稿を集約。 ・人と人がつながることの値打ち ・ソーシャル・メディアの役割:政府、関係機関、放送局に対する国民監視の圧力。気分の醸成 ・ネット上では全体の雰囲気が躁になることがある。一体となることは取り返しがつかない危険をはらむ ・SNSは「お互いに誰だか分かっている」というのが重要。実名か匿名か半実名かはそれほど重要でない。(⇒信頼できればいい) ・Facebookはpublicでopenなスタイル。mixiはprivateでcloseなコミュニケーション。(⇒市場が国 内だけでは時代に逆行。鎖国的、国粋主義的) ・みんなで集まって一緒に楽しむことの価値 ・アメリカの「Connected TV」 ・「マス」ガ消滅し始めている。「ミドルメディア」がやってくる。特定のテーマについて情報発信。特定の年齢層や場所について情報発 信。ターゲットがはっきりしている(佐々木俊尚) ・日本はITが引き起こすリスクに対する恐怖心が強い。不安社会 ・最近、検索エンジンの性能が弱体化している。よりよい情報にたどり着けなくなった。パーソナライズされていない問題(佐々木) ・Ustreamは広告媒体としての評価が高まった。日本ではTwitterと連動、アメリカではFacebookと。配信インフラ としてのOEMビジネス。ライブイベントの有料配信(中川具隆) ・サイネージ:広告というより「おもてなし」。地域情報。 ・マス広告市場は3兆円。ローカルのセールスプロモーション(交通広告やチラシ)が3兆円。 ・地方放送局の2つの力:コンテンツの力(ローカル情報)と電波(従来と違う使い方) ・誰もが作れるコンテンツがサイネージの決め手。ポップなコンテンツ。みんなが漫画を描いてアニメを作れる日本の力。★ ・ホームサイネージ:普段は孫や子供の写真や時計、カレンダーを表示。そこにNWで学校からの連絡、行政からの緊急情報、スーパーの タイムセールス案内などが入ってくる。 ・霧のサイネージ:霧をスクリーンにして投影。通り抜けることができるスクリーン。(⇒人工虹。人の少ない広い場所で) ・米国で進むボイスコントロール。「Siri」はiPhone向け音声アシスタント。Apple社が買収した技術 ・HTML5:いろんな端末をつなぐ共通言語として浮上 ・電子書籍は「本を読む権利を取得する」形へ。異なるデバイスで読め、書き込み、付箋を付けたり。 ・アメリカのTV局の番組はGoogleTVでは見られない。Googleは番組の自主開発に乗り出す ・通訳電話:サーバが通訳機能を担う ・マルチメディア放送:一斉にコンテンツを一方通行で渡すため容量問題はない ・IDやお金など大事な情報を携帯電話で管理するようになり、携帯電話事業者は責任が増えていく ・日本の教育の最大の問題は「やる気」。学力向上よりモチベーションを上げること。 ・電子教科書:映像や音楽を使った教材。自分で作って表現。表現力を高められる。書き込みできるべき ・先生が優れた教材を開発する事例。先生方の実践が全国で共有されていない。 ・電子黒板なら黒板に字を書く時間は短くなる。英国では広がっている。テスト結果の採点、成績管理はコンピュータにやらせる ・公教育では遅れている子より、進んでいる子が置き去りにされている。もっと勉強したいのに。トップをどう世界に通用するレベルまで 伸ばしていくか。 ・TV会議システムで地域の人たちに授業に入ってきてもらう ・ネットの普及で人類はそれ以前より3倍も字を読むようになった ・クリエイティブ・プロデューサー:審美眼があり、社会の仕組みや時代の潮流に目配りでき、プレゼン能力があり、法律や経済知識に長 ける。仕事を作る人が必要。デザイン力。 ・未来予測。デジタルの世界、技術の世界は右肩上がりで、簡単に予測がつく ・日本の本の発行部数の7割は漫画 ・日本は大人と子供の文化がごっちゃ。境目がない。欧米は大人と子供がはっきりと分かれている。ティーンエージャーのジャンルがな い。 -目次- part1 ALL DIGITAL 通信と放送の融合 「メディア融合」がいよいよ本番を迎える part2 SOCIAL MEDIA 誰もが主役に ソーシャルメディアが我々の生活に寄り添う part3 SIGNAGE&CLOUD どこでもメディア モバイル、サイネージ、クラウドでユビキタス環境が実現 part4 DIGITAL TEXTBOOK&TEACHING 電子教科書 デジタル教育が変える日本の創造力、競争力 part5 COOL JAPAN クールジャパン ?日本のコンテンツやデザインが世界を席巻する |