読書メモ ・「世界の変化を知らない日本人 〜アメリカは日本をどう見ているのか」 全8章のうち、3つの章を割いて、地震と原発事故を取り上げて、米国や中国との外交問題に関連付けてレポートしている。 震災から早一年。米軍が「ともだち作戦」と称して災害救援に協力してくれたことは記憶に新しい。 しかし、それは単なる人道的支援という面だけでなく、安全保障上の目的もあったことを著者は教えてくれる。 その米軍の支援活動に対して、民主党政権が非礼な態度をとっていたと指摘しているが、これは私も知らない事実であった。 中国が軍備増強を続け、アジアの覇権を確立しようとしている今、そして、指導者が交代した北朝鮮と、 日本の周辺では緊張が続いている。なのに普天間基地移設問題も停滞し、アメリカも議会から軍事費の削減を迫られ、 アジアでの軍事的なバランスも不安定になっている。日本は難しい立場に置かれている。そうした状況を日本人は自覚できているだろうか。 そうした現実を著者は我々に突きつけている。 それとは関係ないが、「あとがき」には日本に増えているアメリカ型アントレプレナーたちの存在を懸念する記述がある。 日本が「こつこつ努力する代わりに、うまく立ち回って成功」しようという人ばかりになったら、「安定した日本はなくなってしまうだろう」と 述べている。日本もバブル期を経験し、更にアメリカ金融資本主義の影響を受けて、「一攫千金」、「楽して儲けよう」という人が増えているのかも知れない。 それが今の日本社会の不安定さの原因ではないかという著者の指摘には考えさせられる。 ○印象的な言葉 ・カリフォルニアにある2つの原発は太平洋に近く、津波と地震の危険があるる ・福島原発事故についてアメリカは、技術的な問題ではなく、監督官庁(レギュレータ)の許認可に問題があったと見ている。 監督官庁の任務は、もっと大きな見地から安全性を考えて建設許可を出すこと。日本はそれを怠った。 (→アメリカでは金融に対するレギュレータは機能していたと言えるのか?)る ・原子炉の格納容器を60年間使った経験はどこの国もないる ・米軍には核兵器使用だけでなく、核戦争後の処理も行う。その任務には原発事故も含まれている。 スリーマイル島の事故のときは核戦争用の備品が転用された。る ・アメリカでは常に最悪の事態を想定する。そうした事態に備える軍特殊部隊や連邦緊急事態管理庁(FEMA)がある。る ・日本にはもともと核に対する強いアレルギーを持つ人々が多いる ・空母ロナルド・レーガンには海水から1日150万リットルの真水を作る能力があるる ・アメリカの艦艇は核戦争を想定し、緊急の際には艦内の圧力を高めて、外部から放射性物質や放射線が入らない仕組みになっているる ・東日本大震災での米軍の大規模な援助活動は、中国への無言の圧力を加える目的ももっていたる ・被災地の救済に自衛隊の半数を出動させた結果、日本の防衛態勢は空になっていたる ・民主党政権は思想や政治的信条を持たず、単なる反権力主義、反米主義者の集まりにすぎないる ・アメリカには緊急災害活動のための組織が軍とは別にあり、特別な予算を使って補給や通信体制を確立し、人集めを行うる ・日本はアメリカの核兵器により守られている。その代償として在日米軍の費用を分担し、米軍基地を維持しているる ・小沢一郎は「中国と日本が同盟してアメリカに対抗する」と言った(→それを阻止するために米国寄りの検察は動いた?)る ・田中角栄もアメリカに対抗するために石油資源を獲得しようとしてアメリカに敗れた。アメリカの石油メジャーと激突した。る ・日本をアメリカから離反させることは、戦わないでアメリカに勝とうとしている中国の陰謀(孫子の兵法)る ・日本のマスコミの無責任さ。芸能紙やスポーツ紙のように政治を伝えているる ・中国政府はブッシュ政権を嫌い、オバマに莫大な資金を投入していたる ・太平洋戦争のミッドウェーの戦いでアメリカは、運がよかったので勝った。当時の日本海軍は米海軍の2倍の戦力があったる ・戦後、アメリカは日本人を豊かな生活に慣れさせることにより戦いをさせないようにしてきた。 将来に対する不安を抱かなければ戦争をする気にはならない、と考えた。る ・アメリカ政府首脳は中国との間にホットラインを作ろうとしたが諦めた。中国とはまともな話しができない、 中国は嘘ばかり言うと感じている。る ・中国はアラブの民族主義者をけしかけているる ・アメリカは民主党政権は民族主義的ではなく、有能な指導者がいないだけだと見極めた。恐れる必要がないことが分かった。 自民党が政権を取り戻すのも難しいと考えている。る ・北朝鮮はあらゆる意味で弱体化している。それを隠すために強気に振舞っている。長期間に渡って戦争する能力はないる ・イスラエルはイランを爆撃したいと思っている。アメリカ抜きで爆撃すれば、国際的に政治的に全て自分で処理しなくてはならなくなるる ・日本円が高いのは、日本が政治的に安定しているから(ステルツァー博士)る ・日本にはアメリカ型のアントレプレナーが増えている。いっきょに成功しよう、こつこつ努力する代わりに、うまく立ち回って 成功しようという人。る -目次- 第1章 アメリカは原発事故をどう見ているか 第2章 アメリカ軍はなぜ全力をあげて日本を助けたか 第3章 中国はアジア覇権確立に大震災を利用する 第4章 アメリカは日本と中国の同盟体制を許さない 第5章 民主党は日米関係の歴史を壊した 第6章 アメリカはこれからも日本を必要とする 第7章 一九五一年以来、アメリカは日本を必要としてきた 第8章 日本の周辺が大きく変わった |