読書メモ

・「日本復興計画
(大前研一:著、文藝春秋 \1,143) : 2012.01.01

東日本大震災直後の4月に出た本。

○印象的な言葉
・時限の消費税引き上げ。全国一律とする。被災地を明確に定義できないため
・ラスムッセンの確率論:原子炉の安全の基本であった確率論。これが通用しなかった
・原子炉の石棺は危険
・今後、原子炉の増設は不可能。電力は長期にわたり不足。日立、東芝など原子炉メーカーの未来も終わった。増設を引き受ける自治体があるはずがない。 スリーマイル事故後、30年間、アメリカは一基も作れなかった。
・原発の冷却には3から5年かかる。周囲5キロには未来永劫、人は住めない(⇒広島、長崎には人は住んでいるが?)
・日本の危機はこの20年にわたり続いていた。国民の家計所得は1991年に比べ、12%減った。米英仏では約2-2.5倍になっている
・政府に頼らず、横と同調せず、自衛自立する。自身を救うことが、結果的に国を救う
・原子炉は地震で緊急停止しない方がよかった。一基でも動いていれば、そこで発電し冷却できた。自動停止の設計思想に問題がある
・オペレータの判断がおかしいとき、機械の方が緊急停止する
・放射性の微粒子は洗い流せばいい
・原子炉を6基も同じ敷地に並べて置くのはリスクが高すぎる。住民対策がやりやすいから
・東電という一民間企業が原子炉という巨大リスクを抱えるのは無理。事業を続けるなら公営会社でやるしかない。プルサーマルもできなくなる
・日本経済は成長を止めているから、エネルギー需要がいま以上に高まることはない
・日本の所得税の限界税率は世界一
・東芝は原発と半導体に注力してきた。日立も原発に相当傾斜いていた。三菱重工も影響を受ける
・原発事故のグレードの指標は「人々への影響の程度」
・米国の放射能レベルのガイドライン:30ミリシーベルトが予想される場合、80キロ以遠に避難。アメリカ大使館は主要な機能を大阪に移転
・青森むつ小川原の使用済み燃料の中間貯蔵施設の建設は2010年に始まったばかりで、大幅に遅れている。第二期工事が完成しても福島第一の冷却プールにある燃料を全て収容できない。
・東電社内では原子力担当は嫌われてる
・原子力保安院は天下り組織、お飾り組織
・オバマは原子炉建設を再開すると宣言していた矢先だった
・電気料金は工場などの大口顧客には安く設定されている
・災害保険や自動車保険は多くの場合、津波や地震は免責
・津波と地震と原発という組み合わせは世界中で日本とカリフォルニアにしかない
・再臨界が起こると4、5千度の高温となる。大量の水も一瞬で水蒸気になる
・核廃棄物はシベリアのツンドラ地帯に埋設させてもらえ。それが受け入れてもらえない場合、現地に深い穴を掘り埋めるしかない
・東北は日本の「最後の工業地帯」。自動車、電気の基幹部品が生産される。生産拠点が次第に東北に移っていった。今やタイが自動車関連部品の一大拠点
・日本の農家の8割以上は「利権農家」
・半導体工場は2時間停めただけで、おいそれとは再起動できない
・東電は一度潰れる。補償など債務を負う整理会社と。事業会社に分割。再生しても配電会社になる
・原子力を規制する機構は独立した機関とするべき
・原発を電力会社が推進しようとしたことはない。トラブルが多い日本の原発の稼動率はたった5割。原発推進政策を後押しするのは、原子炉メーカーを擁する経団連など。 住民への説得などは電力会社に押し付けられてきた。国策の犠牲者との思いがある
・裏の国策:プルトニウムを抱えていれば90日で原爆が作れる。それが核抑止力になる
・米独では地域が「街並み」を気にして金をかける。ロケーションの価値が高い。
・日本では住宅価格の下落により債務超過状態になっている人が約700万人。その中心は45歳。
・日本人の持ち家熱、クルマ熱、教育熱という三大熱病
・夢がないのに節約するとくたびれる。家は買わない。親は子供の勉強を見てやる時間を作る。金でなく時間を投資する。奥さんにも投資し、資格を取らせる

-目次-
第1章 これで原子力の時代は終わった
第2章 三分の二に縮小する生活
第3章 日本復興計画