読書メモ

・「入門Trac with Subversion
(高山 恭介 :著、秀和システム \2,200) : 2009.05.10

内容と感想:
 
Webベースのプロジェクト管理ツール「TRAC」のリファレンス本。 Tracは多くのオープンソースソフトの開発プロジェクトで使われているという。 タイトルに「Subversion」がくっ付いているのは、Subversionとの連携により、 ソフトウエア開発プロジェクトで威力を発揮することを意味している。 また、Wikiと一体化しており、コミュニケーションツールとして活用する。
 本書ではTracの機能、インストールから運用、トラブル対策などを解説。 ツールの管理者は運用・保守のためにはコマンドライン操作が必要で、同種のツール「Redmine」と 比較すると操作性の点で劣る。それを除けばほとんど機能は「Redmine」と同じと言える。 Tracは「Issue Tracking System」と呼ばれる「チケット」ベースのシステムである(仕事・タスクの単位をチケットと呼ぶ)。
 実際にプロジェクトで使っていこうという人には本書はリファレンスとなることだろう。

○ポイント
・Edgewall社が無償で提供
・チケットシステム:ToDoやバグの管理
・ロードマップ:マイルストーン
・タイムライン:作業履歴、ログ
・ワークフロー:チケットの状態遷移
・Wikiによる文書共有
・プラグインによる拡張:Office文書の閲覧、ガントチャート、ブログ、フォーラム(掲示板)など。TracHacksというサイトで管理。
・Darcs、Mercurial(Pythonで書かれた分散型SCM)などのバージョン管理ツールとも連携可能
・Pythonで書かれている
・データベースはSQLite。MySQLなども使えるが余程大きなプロジェクトでない限りは十分
・Webサーバは独自のTracdが手っ取り早いが、Apacheやlighttpdなども使える
・フックスクリプト:Subversionの機能。コミット時にメールでdiffを送信するなど、外部プログラムと連動して動くプログラム。
・バグ報告や質問、改善提案は簡単であるべきという理念
・GanttProject:Javaで書かれた進捗管理ツール。WebDAVによるデータ共有。日本語化。オープンソース。
・dotProject:PHPで書かれたグループウエア。オープンソース。
・ProjectKeeper:Javaで書かれたプロジェクト管理ツール。開発元は日本企業。日本的な業務にマッチ。オープンソース。
・iCalender形式:RFCで標準化されたカレンダーデータの規格。スケジュールのやりとり。MS-OutlookやMacのiCalで利用可能。

-目次-
1 Tracの紹介
2 Tracの導入
3 Tracの基礎
4 Tracの征服