東北地方の紅葉は雄大でとても素敵だったが、日本アルプスの紅葉はどんなものだろうかと興味を覚え、何年か前になるのだが旅行社のツアーへ参加した。初日は上高地の美しい眺めを堪能したり、白馬の冬季オリンピックのジャンプ競技が行われたジャンプ台近くのメルヘンティックな宿に泊まったりした。翌朝、宿の前にあった冬季オリンピックが行われたジャンプ台のある広場から白馬連峰を遠くに眺め、朝食もそこそこに黒部第四ダムへ向かって出発した。よくもまあ、こんな大胆な工事をやったものだと関心するようなトンネルをトロリーバスを利用して黒四ダムへ到着した。ダム湖、紅葉、雪を頂くアルプスの山々、そのコントラストは素晴らしいものだった。
 立山から美女が原を経て富山まで下ってきた。宇奈月からトロッコ電車で黒川を遡り紅葉を楽しんだ。疲れを富山の温泉宿で癒して翌日に備えた。

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 最終日は有名な白川郷の合掌造りの集落を見物した。人口600人余りの集落、ユネスコの世界遺産にも登録済みの文化遺産である。日本人の心のふるさと、そういう雰囲気の集落である。観光客は「うわー田舎のにおい」「昔にもどったみたい」「日本だね」と感心しているが、そこに住んでいる人達は大変らしい。
 「洗濯物を干す地元のおばさんの前で観光客はむやみに歓声をあげる。群れて歩くので集落のあぜ道をふさぐ。はーん、ふーんとため息をついて民家を覗く。よく見えないと中に入る。町民が帰宅すると、中で観光客が弁当を食べていた、昼寝していた、仏壇におまいりしていた、などはかわいいほうで、植木を抜く、仏具を盗む、トイレが見つからなかったのか車庫の中でウンコする・・・・。観光客のマナーの悪さは呆れんばかりである。」(高橋秀美「からくり民主主義」)とか。便利さを享受すると「日本の原風景」も単に懐かしむ対象でしかない。

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