●ARIEL[15] 笹本祐一著 ソノラマ文庫●

「……あなた、何者です?」
「ただの、通りすがりの地球人です」

 この一言を言いたかったかがために、都内の某女子校に通う女子高生Nが東奔西走する話。
 今回の話を簡潔にまとめるとこうなるであろうか(笑)

 昔、OVAが発売されていた頃のエリアルしか知らない人間が、今のエリアルを読んだらかなり面食らうのではないだろうか?
 かつてのエリアルは一話完結型のものが多く、それこそ元々のコンセプトであったTVシリーズのような小説といった感じであったが、最近のエリアルは明らかに大河ドラマ的な連続物となってきている。
 この変化は、掲載誌であった「獅子王」休刊後、朝日ソノラマ刊の雑誌「Griffon」(現在は休刊)にて連載が再開された頃から始まっている。文庫では[8]の頃であるから、かなり前の事となる。
 星間侵略企業ゲドー社の倒産に端を発したこの展開により、物語の主軸は地球側を離れ、宇宙人側に傾いていく。新たな登場人物、新たな勢力、旧キャラの再登場などを経て、今では地球という辺境の物語から、銀河帝国の根幹を揺るがす全銀河的な陰謀話へと物語は移り変わっている。
 昔のエリアルしか知らない人にはまさに隔世の観があるであろう。
 個人的には昔ながらの、のほほんとしたお気楽な話の方が好きなのだが……。
 ともあれ、この作品自体ももうクライマックス。
 後書きの記述からすると全52話中、42、3話(ガンダムで言ったら宇宙要塞ア・バオア・クー、脱出あたりだそうで(笑))まで来ているそうなので、単純に計算すると後3冊くらいで完結する事になる。
 これはこれで寂しい話であるが、いつ完結するか分からないキマイラシリーズよりはある意味で良いのかもしれない(笑)

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