マッキMC200 (1/144 SWEET)製作記

新興メーカー、SWEETからかつての三共ピーナツシリーズの再来を目指して発売されたこのキットは、1/144スケールの世界に新風を吹き込むものといえる。

※パッケージ

 いうまでもなく、パッケージはそのキットの顔である。MC200のそれはBOXタイプ(トジ箱)で、実機のカラー写真とカラー三面図をセンスよく配置したアメリカナイズされたもの。模型人口の減少が叫ばれて久しいが、こうしたポップなパッケージで少しでも一般人を引きつけることも市場戦略として必要だろう。組み立て図と塗装図はパッケージの裏にあり、ミシン目を開いて見るようになっている。特筆すべきは国際マーケットを意識したためか、日本のメーカーの製品にもかかわらず、日本語がどこにも見当たらないことだ。アビエーションUSKのパッケが垢抜けたような無国籍感がある。

※アッセンブリング

 中にはダークグリーンとサンドイエローの2種類の成型色のキットが各1機ずつ、計2機入っている。これはメーカーの弁によると、ぱっと素組みするためと、こだわり仕上げの2種類の楽しみ方をしてもらうため、ということだ。キットの塗装図/解説にはベースがサンドイエローのものと、ダークグリーンのもの用意されているので、塗装に合わせて選べばいい。
 上品な凹モールドが施されたパーツは部品点数こそ少ないものの要所はしっかり押さえられている。熱帯用サンドフィルターが別パーツになっているのがうれしいところだ。また、機首機銃の細さには確かな技術を感じさせる。アクセサリーパーツは両翼に取りつけるラック一体の爆弾が入っている。

※組み立て

 まったく注意すべきことはない。各部品のハメ合いはピタリと決まり、スキ間はまったくといっていいほど生じない。ゲートも細く、それでいて部品をもぎやすいという年少者にも配慮した設計が光る。色を塗らず、単なる素組みなら箱絵のコピー通り「1分で完成!」というのも夢ではないだろう。実際、手の遅い私が組立て開始わずか3時間であとはデカールはるだけ、というところまで持っていったのだから。しかも、ここには細かいパーツを落として探していた時間や、手塗りに失敗して一度シンナーで洗って落としていた時間も含まれているので、実質2時間かかっていない。

※気になった点

 とはいえ、いくつか気になった点もある。まず、キャノピーが透明部品ではないこと。気になる向きはバキュームで絞り出してもいいが、ウインドウ部分を黒で塗るなどしてデスクトップモデル風に仕上げても一向に気にならない。(SWEETの社長さんいわく、透明な「自由樹脂」を使って複製するといい、とのこと。)次に、脚収納部の彫り込みがないこと。普通の筋彫りがあるだけだ。しかし、小スケールではあるし、こちらも黒く塗装するだけでも充分な気がする。また、飛行姿勢に組立てる場合にも楽なので、あながち欠点とはいえないと考える。
 一番気になるのは、カウリングのイボ部分に若干パーティングズレが出ていること。作例ではなにもせずそのまま仕上げている。あとは脚カバーの厚みが気になる程度。総じて1/144スケールの平均を考えると非常に高いレベルにある製品といえる。

※プロポーション他

 とにかく実機とかけ離れたキットが多いこのスケールだが、このキットに関してはそんな心配はまったくいらない。細かなことをいえばややネコ背の具合が足らないとか、カウリングの後半のしぼりがやや不足とか気になる点もないではないが、このへんはより大スケールの基準を当てはめれば、の話であって、少なくとも「サエッタだ!」といっても誰からも文句が出ない程度のグッドなプロポーションを持っている。
 付属のデカールは2機分なのは当然として、部隊マークなど細部のマーキングも入り、しかも1機あたり6種類のマーキングが楽しめる大判なもの。デカール変えだけで新製品でございといったキットがまかり通る昨今の業界事情からするとまさに大盤振る舞いといえるだろう。なお、同社では別売りのデカールも企画しているとのことだ。

※終わりに

 いろいろ書いてきたが、今までマトモなキットがなく苦労してきた1/144ファンにとってはまさに夢の製品ということができる。このメーカー、次期発売予定としてサボイア・マルケッティSM79、コモンウェルス・ブーメラン、ポリカルポフI16、グラマンF6F/F4Fなどもラインナップされており、期待はいやが上にも高まるというもの。
 願わくばこうしたラインナップが幻で終ってしまうことのないように、本駄文に少々でも共感を覚えた諸兄はぜひ1箱(といわず何箱でも)ご購入いただくことをお薦めして筆をおく。

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Writen by Hiroshi Ohide (nbh01510@nifty.ne.jp)