紙のがんだむ製作記　(1999/04)

承前

　某所よりの依頼によって急遽作った「ペーパークラフトのガンダム」。ここまで細かいペーパークラフトものは初めてな上、締め切りが迫っていたためにとりあえず組んだだけ、という感じで仕上がりのほうはかなり雑なのだが、とりあえず紹介することにする。

製品の紹介

　これはインナーブレインというところの製品で、ＣＤ−ＲＯＭにデータと製作説明の画像やムービーが入っている、というもの。型紙はプリンタで印刷していくつでも作れるのがメリット。たとえ失敗しても、そのパートだけ印刷しなおせばリカバリーも簡単にできる。また、印刷の用紙サイズや倍率を変えることによって（標準はＡ４）、自由にサイズを変更することができる。マッチ箱サイズとか、等身大、実物大なども理論上は可能。とはいえ、糊しろの問題などがあるので実際には小はＢ５版くらい、大は紙の剛性なども考えるとＡ３くらいまでが限度なのではあるまいか？ちなみに標準でスケール30分の１、全高600mmであるから、Ａ３なら全高1200mm、Ａ２であれば2400mmとなって着ぐるみへの応用も可能なのだが･･･。
　標準的な製作時間は３０時間とのこと。が、実際には軽く見積もってこの倍はかかると思っていたほうがいい。このシリーズは他にもスターウォーズものやスコープドック（ボトムズのＡＴ）、またエヴァやセーラームーン（！）なども発売されているが、パッケージ裏の完成写真で見るかぎりではこのガンダムがいちばん出来がいい。これは比較的直線を主体としたロボットだからだろう。

製作の実際

　実は製品にはパソコンがない人、またはパソコンはあるがプリントアウトできない人のために一体分の型紙が同封されている。時間がなかったこともあり、プリントアウトは諦め、これをそのまま使ってみた。

ＣＤ の起動

　ＣＤ−ＲＯＭを立ち上げるとガンダムの作品世界をモチーフとしたなかなかカッコイイオープニングのあと、メニューが立ち上がる。ここでＣＤ−ＲＯＭそのものの使い方なども教えてくれる。音声ナビゲーターは、ガンダム本編でブライト艦長役をつとめる鈴置洋孝氏が起用されている。

製作はパートごとに

　製作は腕、頭、シールド、ライフルといったパートごとに行い、最後に各パートを接合して完成させる。完成全体像が表示されていて、ここから各部をクリックすることによりその部分の製作解説に入るといった作りだ。
　このためどのパートからとりかかってもＯＫなのだが、通常は自然に頭部からとりかかることになる。だが、これは大きな間違い。頭部は部品が多いうえに小さく、製作が面倒な上、なんといっても目立つポイント。ここを最初に作ってしまうと失敗したり、出来が悪くなる確率が高くなる。最初は形状が単純なシールドあたりから始めて、慣れてきたら頭などにトライすれば失敗が少ない。とはいえ、ここに気がついたのは製作後で、やはりイキナリ頭から作ってしまった。

切り抜き

どのパートから作るにしても、最初にやらなければならないのが型紙からパーツを切り出す作業。場所によってはミリ単位の糊シロなどもあるので、慎重に切り出すことが必要になってくる。いろいろやりかたもあろうが、今回はまず切り出しを全部やってしまい、パーツ裏面にパーツ番号を記入しておいて、各パートごとに袋に入れて分けておくやり方を採用。これだけでだいたい２０時間くらいはかかる。（写真左） ※　切り出しはもっとも面倒な作業。細かい糊シロが多いので気を抜かないこと。切り取ったら裏に部品番号を書いておくと混乱しない.

組み立て

　ＣＤ−ＲＯＭ内の組立説明図やムービー、音声ガイドに従って組み立てていくのだが、説明が不十分でよくわからない箇所が多い。たとえばＡとＢのパーツを組み合わせる解説はあるのだが、元となるＡとＢのパーツをどうやって組み立てるのかが全然記されていないのだ。部品を見ればわかる、ということなのだろうが、複雑な形状のものなどは完成した姿がどうしても頭に浮かばず、かなり苦労させられた。
　また、通常の紙によるマニュアルも付属しているのだが、これも単にＣＤ−ＲＯＭ内の組立写真を印刷しただけのもので、しかも途中から「ザク」の組み立て写真に入れちがっているという楽しい状態で、ほとんど役に立たない。
　組み立てには、木工用ボンドを利用する。今回使ったのはコニシのやつだが、思ったより接着力も強く乾燥も早くストレスは感じなかった。
　組み立ての手順としては、ラウンドしているパーツなどはあらかじめエンピツなんかでシゴいて丸みをつけておき、パーツに印刷されてる指示線を目安に糊シロを曲げたり切目を入れたりしておき、仮組みしてみる。ＯＫなら糊を両面に付け接着する。細かい糊シロが多いのでピンセットは必需品だ。
　前述のようにまず頭から作りはじめて、胴体上部、胴体下部、腕、足、シールド、ライフルという順番で作っていった。（下が製作途中の写真）

１ 胴体下部を半分作ったところで、とりあえず頭を載せてみる。思ったよりリアルだ。	２ だるまさん状態のガンダム。物語の冒頭、サイド７でザクにやられて斜面を転がってくるシーンを思い出す（あれはガンタンクだったか？）	３ 腕の取付中。関節はある程度ポーズが付けられるようなっている。今回はとりあえずシールドとライフルを持った状態の設定書ポーズに合わせた
		← ５ なんとかカタチになったので、作業部屋（パソコン部屋）でとりあえず記念撮影。 台にしてるのはスキャナーだったりする
４ シールドとランフルの製作中。ライフルは各パーツ接合時にセンター出しをキチンとやること。特に銃身は重要

おわりに

　完成するとこのように堂々としたモデルになる。さすがに全高600mmともなると運搬するのも大変だが、脚部を接着せず、必要に応じて両面テープで固定するようにすればコンパクトに収納できる。性質上、どうしても断面に白く地が出てしまうのが欠点だが、これはカラーマーカーなどで修正するといい。 　部品の構成や合わせ位置などはなかなかよく考えられているのだが、なんといっても説明が不十分なのが痛い。このへんさえ解消されればより作りやすいモデルになると思う。

完成写真1

完成写真2

完成写真3

完成写真4

完成写真5