5月20日、公式に独立(主権回復)を果たした東チモール。独立記念式典 には、インドネシアによる不法占領を支え支援してきた米国や豪の代表、日 本の関係者等も列席していました。東チモールの人権団体ヤヤサン・ハック (法・正義・人権基金)はこの日声明を発表。過去と未来の関係、正義、大 義について静かなけれども力強いメッセージを人々に向けて発信しました。

独立を祝う裏で、インドネシア軍による人権侵害・戦争犯罪・人道に対する 罪を大規模に支援した米国政府は、議会が課した軍事関係に関する制約をす り抜け、自国の利権を守るためのテロ活動を進めるために、「対テロ戦争」 という名目を使って、インドネシア軍との軍事関係を再開しようとしていま す。

を紹介します。ラムズフェルドは元駐インドネシア米国大使で、スハルト の取り巻きとして、東チモールでの人権侵害に貢献していた人物。

背景としては、 「 米国、テロ支援の記録」、 「 米国のインドネシア軍支援:議会での証言」、 「 チモール虐殺:米国の共謀」をご覧下さい。


米国によるインドネシア軍支援

クルト・ビドル
2002年5月
原文


インドネシア軍は、世界で最も残忍な軍の一つという、ふさわしい評判を手にして いる。1990年代まで、米国は、このインドネシア軍に対し、訓練と武器提供を 公に続けてきた。1991年、米国製の武器を手にしたインドネシア軍部隊は、東 チモールのディリで270名以上の人々を虐殺した。この攻撃により、米国議会は、 翌年のインドネシア軍訓練のためのすべてのIMETプログラム資金を停止した。 けれども、1995年、拡張IMET(E−IMET)というプログラムのもとで、 訓練資金が再開された。

けれども、1998年、米国東チモール行動ネットワークは、1990年代を通し て、ペンタゴンは、議会の意図をすり抜け、インドネシア軍特殊部隊に対して、都 市ゲリラ戦、監視、暗殺、心理作戦の訓練を、共同統合交換訓練(JCET)プロ グラムの名のもとで行ってきたことを明らかにした [a]。共和党のレーン・エバン ス議員(イリノイ選出)が主導してこの訓練は停止された。

1999年の東チモール住民投票で人々が圧倒的な独立を選択したのち、インドネ シア軍とその手先の民兵は東チモール人に対する大規模な攻撃を開始し、1000 名以上の人々を殺害し、何千名もの人々に怪我を負わせ、東チモールのインフラの 75%もを破壊し、そして、25万人以上の人々を強制的にインドネシア領に連れ 去った [b]。米国市民がこれに対して示した憤りのため、クリントン政権はついに 共同軍事訓練とインドネシア軍への商業的武器売却をすべて禁止した。米国議会は この禁止を2000年の海外作戦予算法で立法化し、インドネシアに対するIME T及び海外軍資金(FMF)は、特定の条件が満たされない限り停止されることと なった。

この条件には、難民の東チモールへの帰還と、東チモール及びインドネシアにおけ る人権侵害・残虐行為に責任を負う民兵と軍人の責任明確化が含まれれている。法 律では、また、インドネシアが、東チモールへの民兵の侵入を阻止すること、東チ モールの国連行政機構とインドネシアが全面的に協力することが含まれている。軍 事関係を再開する前に、ホワイトハウスは、議会に対して、これらの条件が満たさ れたことを証明することが要求されている。

2001年9月11日、ニューヨークとワシントンに対して攻撃がなされたわずか 8日後、米国のブッシュ大統領はインドネシアのメガワティ・スカルノプトゥリ大 統領と面会し、非致死的な軍事関係品の商業的売却停止を解除する約束をした [c]。 これは、政府が進めていた、インドネシア軍に対する訓練停止という議会の試みを 撤廃する企ての中で大きな一歩であった。2002会計年度の海外作戦予算法案は、 国務省のプログラムも含むものであるが、そこでは、軍事関係禁止が保持され、条 件が強化された。けれども、最終段階で2002年の国防省予算法には、地域防衛 対テロ交流プログラムの設置のために1790万ドルの予算が組み込まれた。この プログラムは海外作戦予算法の適用対象外であり、どの国が参加できるかについて 制約がないため、これによりインドネシアへの訓練が可能となる。さらに、200 2年3月の政府補正予算要求は、「インドネシアにおいて対テロ(ママ)部隊を検 討し、訓練し、武器提供するため」に8百万ドルと、さらに一部を軍事支援にあて るさらなる8百万ドルが計上されていた。

ペンタゴンと政府の多くが、インドネシア軍のことを、インドネシアにおける唯一 の安定し組織された帰還であると言い、訓練再開を支持している。けれども、イン ドネシア軍は、議会が課した制約のどれ一つとして未だ満たしていない。そして、 長年にわたる米国の軍事訓練がわずかでもインドネシア軍の人権記録を改善したと いうことはなかった。最近公表されたオーストラリアの諜報文書は、1999年8 月の独立投票後に東チモールを破壊した民兵と、上級インドネシア軍諜報部は密接 に連絡をとっていたことが示されている [d]。2001年に、インドネシア軍は、 アチェ州だけでも、1400名以上の人々を殺害した [e]。インドネシア軍が(そ の予算と指令系統を含め)完全に文民統制下に置かれ、政治に介入することを止め、 対外防衛に集中し、人権侵害を止めない限り、すなわち、職業的な軍隊になること に徹しない限り、米国納税者のお金は、インドネシアに民主主義を建設しようとし ている市民社会グループの支援に使うのが最上であろう。

その間、2002年上旬、ニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、米国は、大 規模な国内軍事訓練プログラムよりも、FBIを通したインドネシア向けの包括的 な国内警察訓練に集中しようと計画しているという。警察訓練プログラムは、イン ドネシア政府が、米軍訓練者の滞在がインドネシアの民主主義強化を阻害すると心 配したところから出てきたと言われる [f]。

a. http://www.etan.org/を参照。
b. 国連東チモール国際調査委員会の国連事務総長への報告書、2000年1月。
c. 政府報道官 「アメリカ 合衆国とインドネシア共和国の協同声明」 2001年9月9日
d. Hamish McDonald, "Silence over a crime against humanity," The Age, March 14, 2002.
e. 米国国務省 人権状況国別レポート、2002年3月
f. David E. anger and Thom Shanker, "U.S. Rules out Training Indonesia Army, But Will Aid Its Antiterror Policy," March 22, 2002.


ラムズフェルド国防長官記者会見

米国国防省ニュース・ブリーフィング
国防長官ドナルド・H・ラムズフェルド
2002年5月13日(月)


ラムズフェルド:

おはよう。インドネシア国防相が米国を訪れている。私 たちは、ちょうど、世界のテロリズムに関して、そしてインドネシアが国内でその 問題に対処するために行っている活動について、非常に有益な議論をしたところだ。

私たちはまた、我々二国の関係についても良好な議論を行った。大統領と国務長官 と私は、議会に働きかけて、ある種の軍対軍の関係を再開することに関心をもって いる。これは、妥当なものだと私たちは信じている。我々は、議会の中でこの正し い方向へ向けた努力への支援を得られることを期待している。先月、米国とインド ネシアは、治安協力についての会談を行ったが、これは有益かつ有用であった。

さて、ここでインドネシア国防相を紹介し、マイクを彼に渡して、彼からいくつか 発言してもらうことにしよう。・・・

マトリ(インドネシア国防相):

おはよう、記者団の皆さん。防衛長官ドナルド・ラムズフェルドが述べたように、 私は、インドネシアと米国の関係を発展させ、インドネシアの出来事を説明するた めにここにいる。

インドネシアと米国には共通のプラットフォームがある。特に、民主主義といった 問題と、そして、テロリズムといった問題について。

私は国防長官に対し、インドネシア政府が行ってきた改革について説明し、また、 特に、インドネシアで現在、軍に対する文民の優位原則が実現したという事実を強 調した。そしてこうした献身をしているのは政府だけではなく、インドネシア軍の 側もそうなのである。私たちは今、インドネシアで軍改革のための一連の法案を準 備している。

私はまた、特に東チモールにおける、人権侵害の責任明確化の問題にも触れた。そ して、国防長官に対し、インドネシアでは今特別法廷が進められており、1999 年東チモールでの人権侵害を行ったものへの裁判が行われていると説明した。米国 と同様、民主主義国家として、政府は司法手続きに介入することはできないが、政 府は法廷に対して公平な裁判を行うよう奨励している。

私たちはまた、テロリズムに対する戦争への我々の献身についても改めて約束した。 これは、メガワティ・スカルノプトゥリ大統領が昨年ワシントンを訪問したときに も表明されたものだ。そして、我々の対応に確固たる法的基盤を与えるために、我 々は今、対テロ法案を準備しており、それはインドネシア議会に提出されることに なろう。

私は他にも多くの問題に言及した。例えばアチェの問題である。これについては、 私は、対立を解決するために政府は対話にコミットすることを強調した。

・・・私の米国訪問が、イ ンドネシアと米国との関係強化につながること、また特に、両国の軍事関係の正常 化につながることを期待したいと繰り返しておきたい。

ありがとう。

ラムズフェルド:

ありがとう。

翻訳:益岡賢 (東京東チモール協会)