ディリ騒乱=離脱東ティモール国軍兵士問題





2006年5月、ディリ騒乱=離脱東ティモール国軍兵士問題

今、東ティモールは独立後最大の混乱状態に陥っています。
既に新聞等で大きく報道されていますが、発生前の情報から現在日本で報道され
ているもの、現地からの報告、ウォッチャーの分析等をまとめてアップ致します。
(5月26日/文責:高橋)


★報道から

東ティモールに豪州軍が展開=首都で銃撃戦、独立後最大の危機

【ジャカルタ25日時事】東ティモール政府の派遣要請を受けたオーストラリア
軍の先遣隊150人が25日午後、首都ディリに到着し空港の治安確保の任務に就
いた。マレーシア政府も同日、治安部隊の派遣を決定した。ディリではここ数
日 間、政府軍と反乱部隊が銃撃戦を繰り広げ、死傷者が出るなど治安状況が極
度に悪化。
2002年5月に独立を達成したアジア最貧国は、最大の危機を迎えている。AFP
通信などによれば、首都では25日も中心部の大統領宮殿付近などで政府軍と反
乱部隊との間で銃撃戦が展開された。国連当局者によると非武装の警察部隊が
銃撃を受け、9人が死亡、27人が負傷。西方の町リキサでも衝突があり政府軍
兵士ら2人が死亡し流れ弾に当たった韓国人が負傷した。最近の一連の衝突で
これほど多くの犠牲者が出たのは初めて。(時事通信) - 5月26日1時0分

東ティモールで騒乱拡大、豪の緊急部隊が首都到着

【ジャカルタ=黒瀬悦成】元兵士の反乱で治安が悪化している東ティモールの
首都ディリで25日、銃撃戦が起き、AFP通信が国連当局者の話として伝え
たところによると、警察部隊9人が死亡、27人が負傷した。また、これとは
別に国軍兵士ら2人が死亡した。情報は交錯しており、死者数はさらに増える
可能性がある。銃撃戦は市内数か所で起きており、一般市民も流れ弾で負傷し
ている模様だ。
一方、同国から派遣要請を受けたオーストラリア軍の緊急展開部隊約150人
が同日、首都ディリの国際空港に到着。同部隊は、後続の豪軍本隊とニュージ
ーランド、ポルトガル、マレーシアの治安部隊とともに、治安維持や外国人の
移送、紛争当事者の調停に当たる。(読売新聞) - 5月26日0時59分

東ティモール事態収拾のため国連特使を派遣

アジア歴訪中のアナン国連事務総長は25日、東ティモールの事態収拾のため
特使として国連人権高等弁務官事務所(UNHCHR)のネパール代表イアン・
マーチン氏をディリに派遣した。マーチン氏は99年にアナン事務総長の東
ティモール特別代表を務めている。(毎日新聞) - 5月26日1時30分

ICA関係者ら退避へ 東ティモール治安悪化

国際協力機構(JICA)は26日、東ティモールの治安悪化を受けて、民間
チャーター機で現地のJICA関係者ら在留邦人を東ティモール国外に退避さ
せることを明らかにした。
外務省によると、東ティモールの在留邦人は95人。このうちJICA職員や、
JICAと契約している非政府組織(NGO)職員、政府開発援助(ODA)
関係の民間業者ら計60人以上が退避する予定という。チャーター機は26日午後
に東ティモールの首都ディリを出発、インドネシアのジャカルタに同日中に到着
する予定。
日本政府は25日、渡航の延期と、特段の事情がない限り早期の国外退避を勧
める渡航情報を出している。(共同通信)5月26日12時28分

東ティモール事態沈静化に向け始動=警察組織は「崩壊」−国連

【ニューヨーク25日時事】東ティモール情勢悪化を受け、同国の独立を全面支援
した国連も、事態沈静化に向け動きだした。安保理は25日、暴力の停止を呼び
掛ける議長声明を採択。ゲーノ平和維持活動(PKO)局長(事務次長)は同日、
現地情勢を安保理に報告し、警察組織が「完全な無秩序状態」に陥っていると
警告し迅速な外国部隊の展開を訴えた。 (時事通信) - 5月26日13時1分


東ティモール首都の治安権限、オーストラリア軍に委譲

【ジャカルタ井田純】国軍と反乱兵士の衝突で治安が悪化している東ティモー
ルで、ホルタ外相は26日、前日に現地入りしたオーストラリア軍に、首都
ディリの治安権限を委譲すると発表した。同外相はまた、治安回復を待って、
反乱兵士グループとの交渉を持ちたいとの意向を示した。しかし、現地からの
報道によると、ディリでは同日朝から再び衝突が発生、午後に入っても銃声が
続いている模様だ。
同外相によると、豪軍への権限委譲に伴い、政府は首都の国軍部隊に対して郊
外の兵舎に引き揚げるよう命じた。新たな衝突の発生を避けて治安の安定を図る
方針で、外相は「28日までに元兵士と交渉を行いたい」と述べた。豪軍は25
日に第1陣が到着。ハワード豪首相が26日明らかにしたところによると、計
350人がすでに現地に入った。装甲車などでディリ市内の警戒を行っている
ほか、東ティモール政府の要請で、病院や市民の避難先などを重点的に 警備し
ている。来週初めまでには、1個大隊1300人が展開する見通し。
前日までの衝突で、軍兵士や警官ら少なくとも12人が死亡、数十人の負傷者
が出た。さらに、一般市民にも死者が出ている模様だが、正確な実態把握はで
きていない。豪軍の展開後、大規模な衝突は起きていない模様だが、26日も
ディリでは銃声がとどろき、不安定な状況が続いている。
今回の一連の衝突は、国軍内部の出身地域による対立が原因とされる。西部出
身の兵士の間には、昇進を含む待遇面で差別されているとして、東部出身者中
心の軍上層部に反発が広がっていた。反乱兵士らは不満を表明するために命令
不服従や無断脱営を行い、解雇されたと主張しているという。元兵士らは「自
分たちが昇進できない間に、年に2回階級が上がった東部出身の兵士もいる」
「東部出身者には認められた休暇が取れなかった」などと訴えている。地域対立
の根は、同国のインドネシアからの独立闘争時にさかのぼる。当時、インドネ
シア国軍は中心都市であるディリ確保のため、主力部隊をディリを含む東部地
域に投入。対する独立派武装組織も東部を主戦場と位置づけ、長い独立闘争の間
激しい戦闘は主として同国東部で起きたとされる。独立派武装組織を母体とするに
国軍も、この序列が持ち込まれているとの見方が有力だ
(毎日新聞) - 5月26日19時5分

★現地からの情報

現地で活動するNGOからの情報です。(一部修正しています)

「今日5月26日、東ティモールは独立以来最大の危機といってもよい状況に
なっています。今週になってから、ディリ市内だけでなく、ロスパロスやリキサ
などの地方でも国防軍とそれを解雇された旧国防軍の人達、警察官などが銃撃
戦を行っています。
昨日は、ディリ市内で銃撃戦があり、一般市民は外出を控えています。午前中電話
をしてみると、JICA関係者の話では、JICA関連者は今日の3時の救援機でインド
ネシアに飛び立つということです。
そしてその後日本まで民間機で帰国する予定ということです。昨日の市内での
銃撃戦もどこでいつ始まるかわからず、毎日数人の死者がでている様子という
ことです。世銀やアメリカのピースコーなど援助関係者は約1ヶ月前から退避
勧告が出され、その時点から海外への移動が始まっていたそうです。昨日より、
オーストラリアマレーシアなどの国軍が入国を始めているということです。」

★日本人教会関係者の報告

「昨日は銃撃戦で買い物にいけなかったということで、スーパーに買出しなど
に来ている時に電話がつながったようです。ディリでも心配だが東ティモール
の各地に広がっているので、これが東ティモール政府軍と反乱軍との内戦とい
うような事態にならなければ良いがと心配していました。
教会関係者は当面は国外に避難するという事は考えていないし、外国人に特に
何か起きるというような事態ではないと考えているそうです。ある神父さんの
神学校でも避難民が食堂にもあふれるというようなことであれば、かえって、
国外に出るということもできないと思います。」

「今朝の新聞でご承知と思いますが、昨夜24日22時ころ、神父様より電話が
ありました。大体の概要は、今日の日本の新聞と同じような内容でした。
神学院には、4月末には、1000人の人々が避難。5月19日の時点では、700人
くらいに減少。その時点では、『5月22日頃には、人々も神学院を出てゆく
だろう。』とのことでしたが、昨夜の話では、逆に避難する人が激増し、神
学院の食堂まで人々で溢れているとのことです。」

★補足と分析

 アルカティリ首相は、オーストラリア軍とニュージーランド軍のみでなく
ポルトガル軍、マレーシア軍にも派遣要請している。マレーシア軍に派遣を
要請はオーストラリアやアメリカを牽制する意味がある思われる。マレーシ
ア政府はアメリカとは一線を画している。
オーストラリア政府とは石油の問題もあり関係は必ずしも良い訳ではない。さ
らにFDTLをトレーニングしたのはオーストラリア軍であり、この(軍の規
律問題も含め)トレーニングの責任問題も、オーストラリア内で持ち上がっている。
今回の事件に関し、軍関係者も政府も事件を軽く見てしまったために解決の糸
口を(自ら)失ってしまっているように思える。FDTL内の感情的なもつれ
は拗れてしまったようだ。
元抵抗勢力(ゲリラ)と政府高官の間にもかつては共に独立のために闘ったに
もかかわらず、相互の信頼関係が失われ、感情的対立
も見られる。




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