エッセイ アメリカ
World Wide Whale

No. 1 7/27/04

「どうしてこんなにアメリカが好きなのだろう?」

 豪快な自然と巨大なビル群のギャップが好き?気さくで陽気な人々や、なにか素敵なことが起こりそうな開放感が好き?それとも、心のどこかで大きなサクセスストーリーを期待しているのだろうか?

 「類は友を呼ぶ」という言葉があるけど、アメリカという国もある種の人々が集まって開拓してきた。彼らは自由と希望を夢見た経済的、社会的弱者というよりはむしろ、金(ゴールド)とアジアへの新たな経済経路を求めてやってきた、強欲のかたまりみたいな連中だったんだ。彼らの”欲”がフロンティア精神を生むエネルギーとなり、ものすごいスピードで巨大な新大陸を開拓していった。いつしか「アメリカンドリーム」という言葉が生まれ、さらに多くの自由とサクセスストーリーを夢見る人々が移り住んできた。

 国際政治学者で、読売新聞のワシントン支局長を努めていた浅井信雄さんが、著書「アメリカ50州を読む地図」のなかで、アメリカのとある農場の入り口に掲げられていた「私は米国人なり。私の信条」と題する言葉を紹介している。

 「私は凡人にならぬ。非凡たるは私の権利なり。私はチャンスを求むるも、安定は求めぬ。国家に庇護(ひご)される卑(いや)しき市民にはならぬ。ユートピアの保証された安穏より、人生のチャレンジを好む

(浅井信雄著「アメリカ50州を読む地図」新潮文庫 7頁より抜粋)

 地方の農場に掲げられていたこの言葉こそ、本来あるべきアメリカ人の精神(アメリカン・スピリッツ)なんじゃないだろうか?残念ながら、現代の多くのアメリカ人は安定した生活を守るために平凡で多忙な毎日に追われている。それでもこの国の根底にあるアメリカン・スピリッツが、今でも世界中の多くの人たちの心を惹きつけている。

 アメリカは時に、この精神から憎悪と暴力を生み出すことがある。OK!それは認めよう。でもさ、もっと良いところを見てみようよ。誕生して数百年しかたっていないこの国は、その短い歴史のなかでとてもすばらしいものをたくさん生み出してきた。経済、工業、科学技術、音楽や文学、現代アート、ファッション、スポーツ・・・。

 このエッセイでは、アメリカン・スピリッツが生み出した様々な文化を、それぞれのゆかりの土地とともに紹介していきます。ステレオタイプされたアメリカの、いままで気付かなかった部分を発見してもらえれば、アメリカ好きのボクとしては嬉しい限りです。

 意見や感想、質問、愛のこもった励ましの言葉があったら気軽にメールして下さい。

*このエッセイは、メルマガ「アメリカ生活アドバイザーの随想」創刊号(7/27/04)より抜粋、一部に手を加えて書き直したものです。


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