uni



偶然なのか運命というやつなのか、uniはある日突然私の前にやって来た。
仕事から帰って家に入ろうとしたところに、まだ子猫のuniがいたのだ。
もともと猫は好きなので、しゃがんで顔をのぞき込んだ。家のドアの鍵を開け、入ろうとするとその猫も一緒に入ってくる。
「まあ、いっか」と、その時は軽く考えて家の中をしばらく探索させた。その頃私が住んでいたのは、よくテレビのCMなどでやっている"転勤中の間だけ誰かに家を貸しておく"というタイプの借家だったので、生き物は飼えないことになっていた。まりもや鳥ならまだしも、犬や猫はもってのほかだろう。そんな事情もあったので、情がわかないうちにその猫を外に出したのだ。

外に出してからも気になり、少し経ってから外に見に出たが既に姿がない。ノラと思い込んでいたけれどきれいな猫だったし、もしかしたら誰かが飼っているのかもしれないと思いその晩は過ごしたのだ。

翌日、雨戸を開けている私の耳に子猫の鳴き声が。見てみると庭の植え込みの中に昨晩の猫がいた。驚いているうちに、その猫は家の中に上がり込む。しばらく遊ばせてから外に出し、私も仕事に出た。やっぱりノラだったのかなぁ。仕事中も少々気にはなったが、ひとなつっこい性格の子猫なら、もう誰かが自分の家に連れていったかもしれない。そんなに深刻に考えることもないか。時間が経つにつれ、いつの間にかその猫の事は忘れていた。

その日はひどい夕立があり、丁度その時間に帰宅した私は慌てて家に入ろうとした。そこにまたしても子猫の鳴き声が。見ると、朝、雨戸を開けた時に見かけた同じ場所に子猫がいた。ものすごい勢いで雨が降っているのに、植え込みの中で鳴いている。ドアを開けると、ちゃんと入ってくる。その瞬間「飼ってしまおう」と思ったのだ。

しかしここは人の家。飼うといっても、どうしたもんだか・・・。しばらく考えたが、考えたところでどうしようもないので、なにしろ飼うことにした。いいじゃん、別に。何か壊したら、弁償すればいいんだし〜なんて、開き直ってしまった。そうするしかなかったし。

そんなわけで、uniは私の同居猫となった。最初に私がuniの顔をのぞき込んだ瞬間、「この人間なら一生食事を与えてくれるに違いない」と思われてしまったんだろうな。私も新しい同居人(猫だけど)にわくわくしていたし、今のuniなしでは考えられない私の生活を思うと、あの出会いには本当に感謝なのだ。


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