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自らの選択でムスリムになったのではなく、結婚のために入信した人たちも多い。十分に理解しないまま、イスラームの世界に入ったがゆえの葛藤もある。しかし、夫との生活と子育てのなかで異文化への理解も深まり、遠かった世界が身近なものになってくる。

 以前、モスクを取材したとき、居合わせたパキスタン人が、何とも嬉しそうな顔でこう言ったことがある
「これから日本のムスリムはもっと増えていきますよ。結婚すれば子どもが二人くらいできます。ムスリムの子どもはムスリムですから、ムスリムが日本人ひとりと結婚すれば、日本のムスリムの数は四倍になるんです」
 日本の国際化を反映して、一九七〇年代には六〇〇〇組だった国際結婚は、八九年には二万組、九七年には三万組を超え、現在では四万組近くとなった。その背景には日本人男性とフィリピンを中心とした東南アジア女性の結婚の急増があるが、九〇年代に入ってからは、イスラーム圏からの移住労働者と日本女性の結婚も増えてきた。最近では一時ほど多くはなくなったものの、イスラーム圏出身者と日本人の結婚は、約一割と推定される。登場から一〇年以上の歴史を持つこうしたカップルには、二人以上の子どものいる家庭が多いので、先のパキスタン人の“四倍増の法則”で単純計算をすると、国際結婚によるムスリムは、今や八万人近くということになる。 >>


Page 1 イントロ
Page 2 アンチ・イスラームが今やガウンの重装備
Page 3 子どもが生まれて初めて神に感謝した
Page 4 異文化との格闘の末に神を見た妻たち
Page 5 肌の色や国境を越えるイスラームの世界



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