移民の絶えた日系アメリカ人の悩み




 サンフランシスコは、ハワイのホノルルを除いて、アメリカでもっともアジア系の多い都市である。それがいちばんよくわかるのが、市内でバスやBARTと呼ばれる通勤列車に乗ったときだ。ふと周囲を見回すと、乗客の半分近く、ときには半分以上がアジア系。「ここは本当にアメリカなのか」と、一瞬、目を疑うことも珍しくない。
 それもそのはず、サンフランシスコでは人口の30パーセントがアジア系。近郊のオークランド、バークレーでも、アジア系は人口の15パーセントを占めているからだ。
 アメリカのアジア系人口(ハワイ系、サモア系など「太平洋系」を含む)の人口増加はめざましい。最大のアジア系人口を持つカリフォルニア州では、アフリカ系、中南米系、先住民を合わせたマイノリティ人口は、白人人口をしのぐまで、あと一歩の勢いだ。同州では、1996年、州民投票でアファーマティブ・アクション(差別是正措置)が廃止されたが、これは“多すぎるマイノリティ”の存在に、いかに白人マ ジョリティが危機意識を持っているかの現われだろう。
「アジア系の存在はもう無視できない」という言葉は、この数年来、アメリカを訪れるたびに、アジア系の友人たちから何度となく聞いていた。実際、政治や労働組織から、ビジネス、文化、福祉、メディア、法曹、研究者、果てはゲイ・レスビアン組織まで、“アジア系”を名乗る団体や組織は、年々その数を増している。活動資金集めのパーティなどに参加すると、“アジア系パワー”の威勢のよさには、圧倒されるばかりだ。 >>


Page 1 サンフランシスコのアジア系パワー
Page 2 元気なアジア系、元気のない日系
Page 3 アジア系のアイデンティティ探し
Page 4 日系文化と人口問題
Page 5 ジャパン・タウンの町おこし運動
Page 6 日本が多文化と共生するために



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