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幸福への憧れは人間の本来的な願いであり、その実現は生涯の願望である。
ダンテの次の言葉は、非常に印象的である。
「幸なくて幸ありし日をしのぶよりなほ大いなる苦患(なやみ)なし」
(山川丙三郎訳)
若い時は苦労は買ってでもせよというが、高齢期の不幸感は挫折に繋がる。
若い時にラッセルの幸福論を読んだことがあるが、生涯目標としての意識はなかった。
人生の幸福を真剣に考え、自問自答できるのは「高齢期の特権」である。
高齢期は人間としての仕上げの期間である。
幸福を自己の生涯目標に位置づけ、豊かな価値ある人生設計を構築したい。
人は誰しも幸福になりたいと希っているが、その受け止め方は人それぞれに様々である。
不幸の中での幸福感や幸福の中での不幸感があるように思う。
また、日常生活の中でそれを感じ取る仕方もまちまちである。
幸福感とは、平穏無事な状態を幸福と感じ取れる感性かもしれないとも思う。
人生に対する肯定的な態度とも云える。
この意味で、価値観とも結びつくテーマである。
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