生活経営から見た健康管理

1.充実できる生活を目指すには、
   自分の現状と予測される将来の方向に照らして、ライフスタイルを改善していく必要が
  ある。それは具体的な生活改善の実践的な取り組みであるから、まず、当人がそれで
  生活の実態と問題点を確認し、改善の必要を認識することから始まる。
  特に、高齢期は、男女を問わず生活経営能力と生涯学習努力が必要。

2.高齢期の生活は、
   それまでの生活過程の集積された状態であるから、個人差が大きい。 
  その為、個々人が高齢期に関する正確な知識(例えば、高齢期と孤独意識に関する
  理解)を深めること、特に自分の健康状態―身体的・精神的・社会的―をよく理解できる
  ことが必要である。
  「自覚的健康感」は、高齢者の生活全体の現状を概観する有効な指標であり、個々人の
  固有な状態を理解する手掛かりになる。 

3.日常生活における健康管理は、
  「健康づくり施策」との関わりをもつこと。
  例えば、健康教育や健康相談への積極的参加などが重要である。

4.生活のあり方は、健康づくりの一角を担っている。
  「食生活バランスの自己評価」は、食生活の改善、特に具体的な改善目標を立てる上での
  有効な生活資源になる。
  評価は、個々人ごとー性別や年齢―でも異るので生涯かけての重要な学習対象となる。

5.自分を取り巻く人的・物的環境の現状を的確に認識していることが大切である。
  その上で生活リスクを最小にとどめながら、現状よりも良い方向を探るのが、高齢期の
  生活経営のあり方。
  自助努力出来る生活資源の見極めと福祉サービスを自分の生活資源へ組み入れる知識と
  方法の獲得が必要となる。 

6.様々な生活資源を有効に生かすには、
  生活者がもっている「価値観、知識・技術や態度」が、大きく関わってくる。
  高齢期を十分に享受できる活力ある社会を形成するには、高齢者及び高齢者を取り巻く人々
  が生涯に亘って社会の変化に対応できる生活の価値観、生活技術、生活態度を学習する必要
  がある。 

7.高齢者は、自らの人生がどのような状態であるにせよ、すべての現状を「受容」して自我の
  完全性を求め続けることが必要である。
  人生の終焉を如何に受け入れることが出来るかという問題への回答に繋がる。

             出典 放送大学テキスト 「生活経営論」より