第１番　那智山　青岸渡寺　 如意輪観世音菩薩 補陀落や　岸うつ波は　三熊野の　 那智のお山に　ひびく滝つせ
	第２番　紀三井山　金剛宝寺 十一面観世音菩薩 ふるさとを　はるばるここに　紀三井寺 花の都も　近くなるらん
	第３番　風猛山　粉河寺 千手千眼観世音菩薩 父母の　恵みも深き　粉河寺 ほとけの誓い　たのもしの身や
	第４番　槇尾山　施福寺 千手千眼観世音菩薩 深山路や　ひばら松原　わけ行けば 槇の尾寺に　駒ぞいさめる
	第５番　紫雲山　葛井寺 十一面千手千眼観音 まいるより　頼みをかくる　葛井寺 花のうてなに　紫の雲
	第６番　壺坂山　南法華寺 千手千眼観世音菩薩 岩をたて　水をたたえて　壺坂の 庭のいさごも　浄土なるらん
	第７番　東光山　龍蓋寺 二臂如意輪観世音 けさみれば　つゆ岡寺の　庭の苔 さながら瑠璃の　光なりけり
	番外　豊山　法起院 御自作徳道上人像 極楽は　よそにはあらじ　我が心 おなじ蓮の　へだてやはある
	第８番　豊山　長谷寺 十一面観世音菩薩 いくたびも　まいる心は　初瀬寺 山も誓いも　深き谷川
	第９番　興福寺　南円堂 不空羂索観世音 春の日は　南円堂に　かがやきて 三笠の山に　晴るるうす雲
	第１０番　明星山　三室戸寺 千手観世音菩薩 夜もすがら　月を三室戸　わけゆけば 宇治の川瀬に　たつは白波
	第１１番　深雪山　醍醐寺 准胝観世音菩薩 逆縁も　もらさで救う　願なれば 准胝堂は　たのもしきかな
	第１２番　岩間山　正法寺 千手観世音菩薩 みなかみは　いずくなるらん　岩間寺 岸うつ波は　松風の音
	第１３番　石光山　石山寺 勅封二臂如意輪 後の世を　願う心は　かろくとも 仏のちかい　おもき石山
	第１４番　長等山　園城寺観音堂 如意輪観世音菩薩 いでいるや　波間の月を　みいでらの 鐘のひびきに　あくる湖
	番外　華頂山　元慶寺 薬師如来 待てといわば　いともかしこし　花山に しばしとなかん　鳥の音もがな
	第１５番　新那智山　今熊野観音寺 十一面観世音菩薩 昔より　たつとも知らぬ　いま熊野 仏のちかい　あらたなりけり
	第１６番　音羽山　清水寺 千手観世音菩薩 松風や　音羽の滝の　清水を むすぶ心は　涼しかるらん
	第１７番　補陀洛山　六波羅蜜寺 十一面観世音菩薩 重くとも　いつつの罪は　よもあらじ 六波羅堂へ　参る身なれば
	第１８番　紫雲山　頂法寺 如意輪観音菩薩 わが思う　心のうちは　六の角 ただまろかれと　祈るなりけり
	第１９番　霊鹿山　行願寺 千手観世音菩薩 花をみて　今は望みも　革堂の 庭の千草も　盛りなるらん
	第２０番　西山　善峰寺 千手千眼観世音 野をもすぎ　山路に向かう　雨の空 善峰よりも　晴るる夕立ち
	第２１番　菩提山　穴太寺 聖観世音菩薩 かかる世に　生れあう身の　あなうやと 思わでたのめ　十声ひとこえ
	第２２番　補陀洛山　総持寺 千手観世音菩薩 おしなべて　高きいやしき　総持寺の 仏のちかい　頼まぬはなし
	第２３番　応頂寺　勝尾寺 十一面千手観世音 重くとも　罪には法の　勝尾寺 仏をたのむ　身こそやすけれ
	第２４番　紫雲山　中山寺 十一面観世音菩薩 野をも過ぎ　里をも行きて　中山の 寺へまいるは　後の世のため
	番外　東光山　花山院 薬師瑠璃光如来 有馬富士　ふもとの霧は　海に似て 波かときけば　小野の松風
	第２５番　御嶽山　清水寺 十一面千手観音 あわれみや　あまねき門の　しなじなに なにおか波の　ここに清水
	第２６番　法華山　一乗寺 聖観世音菩薩 春は花　夏は橘　秋は菊 いつも妙なる　法のはなやま
	第２７番　書写山　円教寺 如意輪観音菩薩 はるばると　登れば書写の　山おろし 松のひびきも　みのりなるらん
	第２８番　成相山　成相寺 聖観世音菩薩 波の音　松のひびきも　成相の 風吹きわたす　天の橋立
	第２９番　青葉山　松尾寺 馬頭観世音菩薩 そのかみは　幾世経るらん　便りをば ちとせもここに　松の尾の寺
	第３０番　厳金山　宝厳寺 千手千眼観世音菩薩 月も日も　波間に浮ぶ　竹生島 船に宝を　つむここちして
	第３１番　姨綺耶山　長命寺 千手十一面聖観音三尊一体 八千年や　柳に長き　命寺 運ぶあゆみの　かざしなるらん
	第３２番　繖山　観音正寺 千手千眼観世音菩薩 あなとうと　導きたまえ　観音寺 遠き国より　運ぶ歩みを
	第３３番　谷汲山　華厳寺 十一面観世音菩薩 万世の　願いをここに　納めおく 水はこよけり　出づる谷汲