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1.高齢者と教育の必要性
「人間の可能性を引き出す」ことを心理学では教育という。
従来の知識・技能を伝える、教えるという教育は高齢者には必要ではない。
経験によって自らを変容させていく発達が学習であり、学習と教育は表裏一体のもの。
福祉の論理だけでなく、高齢者を教育の視点で眺める必要がある。
高齢者を自らの生活の主体として捉える教育の論理や実践と高齢者自身の主体的な
学習への取り組みが期待されている。
2.高齢者特有の教育的ニーズ
マクラスキーは、
@ 対処的ニーズ (パワー低下への対処と生存のためのニーズ)
A 表現的ニーズ (活動それ自体に見出される喜びへのニーズ)
B 貢献的ニーズ (参加と貢献を通し認められたいというニーズ)
C 影響的ニーズ (生活する環境に影響を与えたいというニーズ)
D 超越的ニーズ (精神的には伸び続けたいという欲求・ニーズ)
という5つのニーズを掲げ、
ローウィーが
E 回顧的ニーズと人生のレヴュー (高齢期ならではの発達課題)
を追加している。
3.対処的ニーズ
マクラスキーは、次のような階層をなしているという。
基礎教育→身体的健康のための教育→経済的自立のための教育
↓
合法的判断のための教育
居住環境選択のための教育
家族関係の変化への適応のための教育
↓
余暇時間利用のための教育
4.学習ニーズの多様性と個別性
高齢期の生き方は、これまでの生活経験と現在の生活環境で異なる。
人間の能力や人格は、
遺伝による生得的なものだけでなく、環境から学習してきたもので決まる。
経験の違いが今後の学習(新しい経験)に大きく影響する。
高齢期の学習は他人と競うものではありません。
「自分に合った学習」「自分を高める学習」それが高齢期における高齢者の学習です。
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