高齢期の捉え方
本文へジャンプ 高齢期の特徴 

1.高齢期の表現
  高齢期は、「老化」「オールド」などト表現されるが、エイジングという言葉が妥当 である。
   「人生後半のプロセスとそこに生起する課題を、あるがままの自然なものとして見つめる」
  という姿勢がある。

  エイジングの定義(ジェームス・ビレン)
   「病気や外的な影響による変化とは区別された、人生後半の変化のパターン」

2.人生後半の変化
  社会学では「加齢」、医学や生物学では「老化」など、立場で捉え方が異なる。
  心理学では「発達」という見方で人生後半の変化を捉える。

  カール・ユングは、
   人生後半の「内面化」のプロセスを衰退としてではなく、成長・発達として捉え、
   「成人以降も人間は発達し続ける」と、生涯発達論を唱えた。

   「人生の後半では人生の前半で重要と思っていたことが重要でなくなり、逆に重要だと
   思われなかったことが次第に重要になってくる」

   「人生の正午」というユング説は、現在一日の過ごし方の例としても活用されている。

3.生涯発達とは
  生物的・生理的な成熟も発達であり、社会での役割の変化も発達であるが、どちらも、
  高齢期の変化を捉える言葉としては不適切である。
  「円熟」や「熟成」という言葉で表現される、人間の精神や自我に重点を置いた見方が
  適切である。

  生涯発達とは、「自己実現として発達という観点で後半の変化を眺めようとする考え方」
  であり、プラスの側面を見つめて生きることを教えてくれる。

4.高齢期の意味
  ユングは、
  「自分の内面の声を聞きながら、自分自身になっていく時期、即ち、個性化・自己実現の
  時期である」という。

  また、エリクソンは、
  「人間の自我は、人生のさまざまな段階で出会う心理ー社会的危機を克服し続けることで
  成長していくものであり、生涯は成長への一方通行である」という。

  高齢期は、人間としての仕上げに向かう時期である。